• 一日も早く
    一日も早く

       ロシアがウクライナに侵攻してついに3年がたった。戦争の終結はいまだ見通せない。政権に復帰した米国の大統領が、和平や停戦に向けて多々発言しているが、目的のためには手段、脅しをもいとわない人物だけに、その手法も今後の展開もまったく予想はつかない。 自国第一の考え方に基づく政治的、経済的、軍事的な成果を

    • 2025年2月24日
  • 失われた時間
    失われた時間

       カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞して以来の坂元裕二氏による新作映画とあって話題の「ファーストキス」。事故で夫を亡くした妻が、ひょんなことから出会った15年前の2009年にタイムスリップできるようになり、未来を変えようとする。事故当時2人は離婚寸前。何も知らない若き夫の前に現れては試行錯誤を繰り返し、

    • 2025年2月22日
  • 日々の暮らし
    日々の暮らし

       岡本おさみさん(故人)が作詞し、吉田拓郎さんが作曲し、森進一さんが歌った作品に「襟裳岬」がある。時代は1970年代。当時は演歌とフォークの融合と業界の話題をさらい、歌もヒット。日本レコード大賞まで受賞した。 放浪の作詞家だった岡本さんが、その思い出を自著の「旅に唄あり 復刻新版」(山陰中央新報社)

    • 2025年2月21日
  • 優先順位
    優先順位

       開会中の国会で注目されている議論がある。従前もここで指摘した「高額療養費制度」だ。入院や手術などで医療費が高くなる場合に備え、所得に応じて自己負担額に上限を設ける仕組み。政府は上限額の大幅な引き上げ案を示したが、患者団体が反発。一部は据え置くが、制度としての引き上げ方針は変えていない。 制度見

    • 2025年2月20日
  • 歴史
    歴史

       ロシアのウクライナ侵攻が始まった3年前、ロシア軍の攻撃から逃れ、ウクライナの西部を目指して泣きながら避難する高齢者や子どもたちの姿を、テレビニュースで繰り返し、見た。ザックに八つ当たりして泣いていた少年は、ちょうど孫と同じぐらいの年頃だった。泣き顔を見るのは不快でつらかったが、今、世界で何が起きて

    • 2025年2月19日
  • 知

       「無知は罪なり、知は空虚なり、英知持つもの英雄なり」。知ろうとしない、学ぼうとしないことは無知であり罪である。また、知識だけあって行動しないのはむなしい。知識があって行動する人が優れた人だという意味で訳される。「哲学の父」ソクラテスの言葉とされるが、その根拠ははっきりしないそうだ。 誰の言葉で

    • 2025年2月18日
  • 先生
    先生

       小学時代、担任が社会科授業で「アスファルトの道路がきらきら光っているのはなぜか分かる?」と質問した。級友が誰も答えられずにいると「それはみんなの親が汗を流して働いて納めた税金でできているからだよ」と言った。覚えてほしい大切なことは心に残るように教えてくれる、この先生が大好きだった。 先生は子ど

    • 2025年2月17日
  • 進撃の女子
    進撃の女子

       第9回冬季アジア大会が14日、中国・ハルビンで閉幕した。アイスホッケーも最終日を迎え、女子は決勝リーグ最終戦で日本が中国に8―1で快勝し、3戦全勝で2017年札幌開催時以来の2大会連続金メダルを獲得。男子はプレーオフ決勝で日本が格上の世界ランキング15位カザフスタンに0―5で敗れ、2大会ぶりの銀メ

    • 2025年2月15日
  • 大切な人
    大切な人

       2期目のトランプ米大統領がロシアのプーチン大統領と初めて公式に電話会談し、ウクライナとの戦争終結に向け交渉を開始することで合意した。「大勢の人が死ぬのを止めたい」との認識で一致したとされるが、戦争を始めてしまえば大勢の命が失われるのは明白だ。何をいまさらとは思うが、「そう遠くない将来に停戦が実現す

    • 2025年2月14日
  • 除雪隊
    除雪隊

       除雪車両10台がまるで渡り鳥のように、雁行(がんこう)の隊列で進む。かなり前の話になるが、新千歳空港の滑走路で、除雪訓練を目の当たりにした。幅60㍍、長さ3000㍍の滑走路を素早く、くまなく除雪するための工夫だ。 運航時間内除雪は基本、2本ある滑走路の片方を閉鎖して除雪し、もう一つの滑走路は運

    • 2025年2月13日
  • 占冠
    占冠

       混んだ飲食店のカウンターの向こうから若い女性客が板前さんに大きな声で尋ねる。「『占冠』って『しめかんむり』って読むんですかァ」。何度か、テレビ広告で見たやりとり。コロナ禍がヤマを越しにぎわいの戻った繁華街の光景。ヒソヒソと隠して話す時代は変わった。 「旅の恥はかき捨て」とは思いつつも土地の歴史

    • 2025年2月12日
  • ウナギ
    ウナギ

       絶滅危惧種のニホンウナギの稚魚が胆振日高の河川で増えているという。思わずまさかと口走るようなニュース。時事通信社から配信を受けて掲載した1月9日付の本紙記事だ。北大、東大、海洋研究開発機構の研究チームが発表した。 ウナギの産卵場はマリアナ諸島の西方海域といわれる。ふ化した幼魚は黒潮などに乗って台湾

    • 2025年2月11日
  • キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
    キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

       「クリームが入ったバケツに2匹のネズミが落ちた。最初のネズミは諦めて溺れ死んだが、2匹目のネズミは激しくもがいた。するとクリームがかくはんされてバターになり抜け出せた。今の私は2匹目のネズミです」。スティーブン・スピルバーグ監督の映画キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャンで文具店を営む主人公の父親が何

    • 2025年2月10日
  • 雪

       シンガー・ソングライターの浜田省吾さんの代表曲に「悲しみは雪のように」がある。1990年代にドラマの主題歌に使用され、ヒットした。浜田さんの父が体調を崩した際に、書いたとされる。こんな詞だ。〈君の肩に悲しみが 雪のように積もる夜には…〉、〈誰もが泣いてる 涙を人には見せずに…〉―。少し切ない歌で、

    • 2025年2月8日
  • 介  護
    介  護

       年を刻んでいくと、体のどこかの痛みや思うように動かないところが出てくる。いかに、うまく付き合っていくのか。そう思いながら生活している人も多いのでないか。それでも誰かの助けを借りなければならないこともある。 そんな時に頼りになるのが介護事業者だが、その事業者の経営は厳しい状況にあるようだ。民間調

    • 2025年2月7日
  • 生きる
    生きる

       出窓に置いたペチュニアと小輪の花カリブラコアが少しずつ緑を広げて花を咲かせ、狭いスペースを陣取るゼラニウムと共に窓辺を彩っている。前2種は昨年5月に鉢植えにして外に出していたもので、氷点下の外気にさらされた昨年11月末に家の中に取り込んだ。既にしゅんとしていたので、もう駄目かと思っていたが、かすか

    • 2025年2月6日
  • ニトペ
    ニトペ

       早朝の薄暗い窓の外を、雪が南風にあおられて飛んでいく。昨日の道東や十勝の雪嵐を「テレビ鑑賞」していたことを改めて反省する。申し訳ないと思いながらも、実は心の中で、自分たちの選んだ土地の雪の少なさ、春の訪れの早さを喜んでいたのだ。昨夜、布団に入る時、風のざわめきを感じながら「もしや」と、一瞬は考えたも

    • 2025年2月5日
  • 2025年問題
    2025年問題

       今年は「団塊の世代」の約800万人全員が75歳以上になり、超高齢化の影響が多方面に現れる「2025年問題」が何かと取り上げられている。「増える」と問題視されるのは、国の社会保障費や認知症高齢者、孤独死、空き家。「足りない」と指摘されるのは、医療・介護人材。ただ、どれも相当前から分かっていた問題であ

    • 2025年2月4日
  • 応援の力
    応援の力

       アイスホッケー世界ランキングの直近1位は男女ともカナダ。過去4年間の世界選手権と開かれた五輪の順位をポイント化する仕組みで両大会各優勝には最大点数が付与され、2位以下にも順位に応じた点数が付けられる「パワー」の尺度だ。日本は1998年自国開催の長野大会以来五輪出場がない男子が24位。 一方の女子は7

    • 2025年2月3日
  • 穴

       埼玉県八潮市で道路が陥没しトラックが転落した事故。現場の映像を最初に見た時、AIが人間に取って代わるだの、月で暮らす時代が来るだのと言っているこの時代に、現実に起きたことなのかと目を疑った。突然、道路に穴が空いて落っこちる。そんな危険性を意識して生活している人がどれだけいるだろう。 原因は、腐食した

    • 2025年2月1日
  • 適正
    適正

       中華圏の旧正月「春節」の大型休暇を迎えている。連休自体は28日から2月4日までの8日間だが、中国ではその前後を含めた40日間に延べ90億人が移動する見込み。大型連休を海外で過ごす人も多く、本道も人気の観光地となっている。  新千歳空港で取材をしていると、訪日客の増加を肌で感じる。大声でまくし

    • 2025年1月31日
  • 記者会見
    記者会見

       元タレントの中居正広さんの女性トラブルを巡る問題で、フジテレビが行った27日の記者会見は異常に長時間となった。10時間以上も続けて新たに得られた情報や回答はどれほどあるだろう。  芸能の話題に関心がなかったので昨年の週刊誌報道は読んでいない。けれど中居さんが引退をネット上で発表し、フジテレビ

    • 2025年1月30日
  • 明日は淵瀬
    明日は淵瀬

       「なかなか注目されることもなく、もう無理かなと思ったこともあったが諦めずに書いていてよかった」と語ったのは第172回直木賞に選ばれた伊与原新さん(52)=東京都在住=。元富山大学助教で、作家デビューから15年を経ての受賞をそう振り返った。  受賞作「藍を継ぐ海」は田舎町の歴史や自然を題材とし

    • 2025年1月28日
  • セーフティーネット
    セーフティーネット

       治療が高額になった場合に利用ができる「高額医療制度」を知っている方も多いだろう。高額な治療を受けたり、その治療が長引いた時に患者の負担が重くならないように年齢や収入に応じて、ひと月当たりの医療費の自己負担に上限を設けているものだ。まさに、社会のセーフティーネットとして位置付けている。  この

    • 2025年1月25日
  • ハチとヘビ
    ハチとヘビ

       人生とはどういうものか。一つの示唆を与えてくれるイソップ物語に、今年のえと「巳(へび)」を題材としたものが少なくない。その一つ「ハチとヘビ」は、ハチがヘビの頭に立て続けに針を刺し、痛くて我慢のならないヘビが通りかかった馬車の車輪に頭から突っ込み、ハチと一緒にひかれて死んでしまう話。攻撃してくる憎い

    • 2025年1月24日
  • フードバンク
    フードバンク

       良い活動も両立しないことはある。一例が、家庭などで余った食品を集めて必要とする人に提供する「フードバンク」の活動が、食品ロス(食べられるのに廃棄される食品)を減らす活動の広がりで持続の危機にあるというものだ。  10年余り前、家庭には買いだめしたが食べ切れず、賞味期限が過ぎて捨てられる食品が

    • 2025年1月23日
  • 軽音楽
    軽音楽

       アメリカの第47代大統領に当選したドナルド・トランプ氏の就任式が行われた21日、日本のテレビニュースは早朝から始まった「アメリカの黄金時代」の話題で埋め尽くされた。元大統領の得意げな笑顔に対抗できたのは、元人気歌手の醜聞と、その後始末の失敗の話題だけ。 4年前の大統領選挙の時、トランプ陣営の集会には

    • 2025年1月22日
  • 冬の歩き方
    冬の歩き方

       今冬、積雪した駐車場を急いで駆け足している若い後輩に「危ないよ」と忠告した。九州から昨年ここへ来て「粉雪を初めて見ました」と感心して報告してきた人だが、降雪と合間の降雨や暖気が影響する加減で凍った地面がこの上なく滑り、危険性が高くなる近頃。過去、重傷はなかったにせよ数々転倒した当方の助言を聞いても

    • 2025年1月21日
  • 足元
    足元

       アメリカのトランプ大統領がきょう(日本時間では21日未明)就任する。当選前のテレビ討論会では「ハイチ移民は犬や猫を食べている」と発言し、最近も不法移民の強制送還、一律関税、グリーンランドを買いたい―と世界を騒がせ続けているが、パレスチナ自治区ガザ地区でのイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦合意に「

    • 2025年1月20日
  • 謝罪
    謝罪

       われながら悪趣味だと思う。最近、晩酌をしながらネットサーフィンし、芸能人らの不祥事ニュースをあさり読みするのが日課になった。とりわけ謝罪文に注目しており、この文面では炎上しそうとか、よく練り上げられて株を上げそうとか、独りごちつつ杯を傾けている。  競馬界のレジェンド武豊騎手が公式サイトにつ

    • 2025年1月18日