• 11 染織品の科学分析 色が持つ意味と役割
    11 染織品の科学分析 色が持つ意味と役割

       アイヌにおいて物を染めることは、さまざまな色で美しく見せることだけでなく、色が持つ意味や役割を考慮して行われていたと考えられている。赤色には魔除けとしての意味があり、裾や袖口に赤色布が用いられることがあった。黄色は格式の高い色であり、祭事などに使用されていた。  このようにアイヌの暮らしの中

    • 2021年5月8日
  • 10 カンピ(紙)―蝦夷風俗彙纂、日本初のアイヌ文化大辞典
    10 カンピ(紙)―蝦夷風俗彙纂、日本初のアイヌ文化大辞典

       国立アイヌ民族博物館・収蔵資料展「イコロ」のカンピ(紙)コーナーの一部では、アイヌ文化を外側から記録した資料を紹介している。第3期では、開拓使が1882年に刊行した「蝦夷風俗彙纂(いさん)」を展示している。  「蝦夷風俗彙纂」は、日本初のアイヌ文化大辞典である。箱館戦争に参加した文学者であり

    • 2021年4月24日
  • 9 アットゥシ(樹皮衣) 複数の技法で構成
    9 アットゥシ(樹皮衣) 複数の技法で構成

       アイヌ民族の衣服などに施す文様の技法には大まかに分けて3種類ある。(1)刺しゅうのみのもの、(2)テープ状に切った布を縫い付け、その上に刺しゅうを施したもの、(3)幅広の布を文様の通り切りながら縫い付け、その上に刺しゅうを施したものがある。この他に(1)~(3)の技法の二つを併せて作った文様もある

    • 2021年4月10日
  • 8 「カンピ」(紙)―アイヌ絵 往時の生活知る手掛かり
    8 「カンピ」(紙)―アイヌ絵 往時の生活知る手掛かり

       国立アイヌ民族博物館の収蔵資料展「イコロ」に設けているカンピ(紙)のコーナーでは、アイヌ文化を見詰め、外側から記録した資料としてアイヌ絵を紹介する。  「蝦夷国風図絵」は、約250年前に松前の絵師・小玉貞良がアイヌの生活や熊送り儀礼等を描いた絵巻物である。衣服を見ると、黄色は樹皮、白色は草皮

    • 2021年3月27日
  • 7 山田秀三の『北海道の旅と地名』  古人の心に触れる
    7 山田秀三の『北海道の旅と地名』  古人の心に触れる

       『アイヌ語入門』は今でも座右に置いてある―。アイヌ語地名研究家の山田秀三(1899~1992年)は、『北海道の文化』(1961年)でそう記した。国立アイヌ民族博物館収蔵資料展「イコロ」のカンピ(紙)のコーナーでは、アイヌの言語学者・知里真志保(1909~61年)の『アイヌ語入門』などの原稿の隣に、

    • 2021年3月13日
  • 6 繊維の染色と科学的調査 伝統的染色技法を再現
    6 繊維の染色と科学的調査 伝統的染色技法を再現

       衣服や織物などに色合いを施すために、生地となる布や糸の染色が行われる。国立アイヌ民族博物館の収蔵資料展「イコロ」では、シキナ(ガマ)のコーナーで花ござなどに染色された植物繊維が織り込まれているのを見ることができる。鮮やかな黒や赤の色は、資料によってその色みや濃淡が異なる。アイヌ民族は、赤色染料とし

    • 2021年2月27日
  • 5 ニ(木材)―マキリ(小刀)・イタ(盆)実物資料とCT画像展示
    5 ニ(木材)―マキリ(小刀)・イタ(盆)実物資料とCT画像展示

       国立アイヌ民族博物館で開催中の収蔵資料展「イコロ」では、ニ(木材)のコーナーでマキリ(小刀)とイタ(盆)を展示している。ここでは実物資料と最新の分析機器であるX線コンピューター断層撮影装置(CT)で撮影した画像を使った展示をしており、今回はそれについて紹介したい。  アイヌ民族は生活の中で、

    • 2021年2月13日
  • 4 カンピ(紙)―知里真志保の原稿(物語) アイヌ語研究の記録
    4 カンピ(紙)―知里真志保の原稿(物語) アイヌ語研究の記録

       国立アイヌ民族博物館収蔵資料展「イコロ」の「カンピ―紙―」のコーナーでは、絵や文字によって記録された資料を紹介している。文字による記録としての中心的な展示資料は、アイヌ民族自身によるアイヌ語の記録、知里真志保(1909~61年)の原稿である。  知里真志保は現在の登別市出身で、「アイヌ神謡集

    • 2021年1月23日
  • 3 アットゥシ(樹皮衣) 縫い付け方に違い
    3 アットゥシ(樹皮衣) 縫い付け方に違い

       アイヌ民族の衣服には、自製の物と交易や労働の対価により手に入れた物がある。自製の物には獣皮衣、魚皮衣、鳥皮衣、樹皮衣、草皮衣があり、交易などで入手した物には、木綿衣や陣羽織、小袖などがある。  国立アイヌ民族博物館の収蔵資料展「イコロ」の本コーナーでは、木綿衣と樹皮衣を素材と技術に焦点を当て

    • 2021年1月9日
  • 2 科学分析装置の活用 内部観察、深く安全に
    2 科学分析装置の活用 内部観察、深く安全に

       国立アイヌ民族博物館の初めてのテーマ展となる収蔵資料展「イコロ」は、資料にみる素材と技に着目した展覧会である。資料の素材や巧みな技を知るには、目視で細かく観察することが最も重要であるが、内部の構造や素材の元素など直接目では見られない領域を調べることで、より深く資料を知ることができる。当館では、資料

    • 2020年12月26日
  • 1 【シキナ(ガマ)】 ござ・花ござ 敷物や間仕切りなど多彩な用途
    1 【シキナ(ガマ)】 ござ・花ござ 敷物や間仕切りなど多彩な用途

       アイヌ民族は身近にある植物を材料に用いて、さまざまな生活用具を作ってきました。アイヌ語でシキナと呼ばれるガマを材料としたござもその一つ。ガマ、スゲ、フトイなどの植物を材料にござを作ってきましたが、収蔵資料展「イコロ」の本コーナーでは、ガマを材料としたござに焦点を当てて展示しています。  アイ

    • 2020年12月12日