木版画の窓【下】 動植物を描く 鑑賞者を花畑へ誘い込む
- 2019年12月19日
自然を愛した浅野武彦は、緑があふれる世界に憧れていた。画面を埋め尽くすように多数の植物を描き込む作風は、一連の作品の中でも特徴がある。 同じ状態のモチーフを反復させるのではなく、つぼみが開花するまでや、さまざまな方向を向く花を描くことで、植物の多様な側面を映し出している。 植物の豊
自然を愛した浅野武彦は、緑があふれる世界に憧れていた。画面を埋め尽くすように多数の植物を描き込む作風は、一連の作品の中でも特徴がある。 同じ状態のモチーフを反復させるのではなく、つぼみが開花するまでや、さまざまな方向を向く花を描くことで、植物の多様な側面を映し出している。 植物の豊
浅野武彦は生前、好きなものとして生物(生命)、美術、文学の三つを挙げ、このうち文学については、作品の題材にも取り入れている。 本作品「犍陀多(かんだた)」はその一つで、カンダタという男がお釈迦(しゃか)様が垂らす1本のクモの糸をつかんで、地獄からはい上ろうとする芥川龍之介の小説「蜘蛛(くも
苫小牧市美術博物館で、企画展「浅野武彦の木版画の世界」が開かれている。同展では川上澄生に師事した木版画家で、医師でもあった浅野武彦さん(1927―2016年)の作品が並ぶ。同館学芸員の大谷明子さんが、3回にわたり作品の魅力を紹介する。 ◇ 浅野武彦は札幌市生まれで、北海道大学医学部を