第3部 4 厚真町 犬飼 正規さん 寄り添い合い育む絆 災害公営住宅で「コミュニティー再生」
- 2023年9月19日
「俺はただのくそじじいだ」―。厚真町新町の災害公営住宅「のぞみ団地」に住む犬飼正規さん(69)は自身のことを、そう語る。2018年9月に起きた胆振東部地震で住んでいた自宅が全壊し、避難所生活や表町の応急仮設住宅で2年ほど過ごした後、今の住まいに移った。仮設住宅に入居していた当時から、住民の悩みや愚
「俺はただのくそじじいだ」―。厚真町新町の災害公営住宅「のぞみ団地」に住む犬飼正規さん(69)は自身のことを、そう語る。2018年9月に起きた胆振東部地震で住んでいた自宅が全壊し、避難所生活や表町の応急仮設住宅で2年ほど過ごした後、今の住まいに移った。仮設住宅に入居していた当時から、住民の悩みや愚
「被災地のありのままの姿を通して、一人でも自分事として考えてもらえるように伝えたい」―。胆振東部地震の記憶や教訓を語り継ぐ「ガイド」を務める厚真高校1年の蹴揚葉月さん(16)=厚真町上厚真=は真剣なまなざしで語る。 地震で37人が犠牲となった同町では今年度から、町観光協会が町の公営塾「より
「自分に何ができるかを問い続けた5年間だった」―。安平町の総合型地域スポーツクラブ「NPO法人アビースポーツクラブ」のクラブマネジャー、鳥實(とりみ)裕弥さん(29)は神妙な面持ちで語る。胆振東部地震の道外ボランティアとして活動し、そのまま安平に移り住んで町の復興に尽くしてきた。 &t
「もし、あの時、家を出るのが10分遅かったら…」―。8月下旬、むかわ町役場本庁舎横でたい焼き店「いっぷく堂」を営む工藤弘さん(70)が、5年前の胆振東部地震で受けた自身の被災体験について、地元の中学生たちに語った。 見せた写真は1階部分がペタンと押しつぶされた自宅兼店舗の様子
―震災から5年をどう受け止めているか。 「復旧から復興にフェーズ(局面)が切り替わってきており、復興は道半ば、未完了の部分がある。コロナ禍で町内の集いやイベント、活動の自粛を余儀なくされ、町民の意欲やにぎわいの創出に影響があった。復興計画は2025年度までの達成に向けて取り組み、(上位計画
―震災から5年をどのように捉えているか。 「思い返すと、たくさんのことがあった。大きな事業は現時点で95%を完了した。早来町民センターの耐震化改修、防災支援倉庫の整備が残っており、そこが終われば一通りめどがつく。町民センターは大ホールを体育館に、3階部分は個室約20部屋を用意し、普段は合宿
―震災から5年間、どのように過ごしたか。 「被災者の皆さん、復旧作業に当たった方々の感覚は違うが、大規模な自然災害を経験した町として、この5年間は重要な期間だった。一刻も早い復旧期から復興期を目指す私たちにとってあっという間だった」 ―吉野地区の整備について。 「被災した当
「カムイサウルス・ジャポニクス(通称むかわ竜)を軸に、恐竜を中心にした施設と考えている。実物を展示できるのは新しい博物館しかない」―。今月28日にむかわ町内で行われた集会。穂別地区で進める穂別博物館と周辺一帯、同地区市街地のまちなか再生を図る「復興拠点施設等整備事業」に関する意見交換の場で穂別博物
「震災と新型コロナウイルスの二つの『災害』を乗り越え、やっと日常が戻ってきた」―。6月24、25両日に厚真町の表町公園で開催された「あつま田舎まつり」で、事務局員として携わった町職員の森田綾さん(31)はほっとした表情を見せた。胆振東部地震が発生した2018年以来、田舎まつり音頭パレードが市街地に
「町の人口が減少し、特に20~40代が少なくなった。単純に人口を増やす施策ではなく、教育や子育てを魅力化しようという話が以前からあった」。安平町政策推進課の木村誠課長補佐は、現在進めるまちづくり施策の背景について説明する。同町は教育を柱にしたまちづくりを掲げ、子育て世代をターゲットに移住定住施策を
「いざという時に、ゼロから始めるか、一から始めるかでは、大きく違う」―。今月7日、むかわ町役場に併設する産業会館で開いた会議で、竹中喜之町長が集まった研究機関の関係者、町職員らに向けて結束を呼び掛けた。むかわ町は海と山に囲まれ、何かと自然災害を受けやすく、「防災先導のまちづくり」を推進している。次
「なぜかこうして5年も続いた。振り返ると、よくやったなと思う」―。厚真町内で町民向けに体操教室を開講する本郷地区在住の高橋康夫さん(72)が笑みをこぼす。 暑さの厳しい今夏、厚真町総合福祉センターの和室に、地域の高齢者ら20人ほどが集まり、手や足を動かしながら体操を楽しむ光景が広がる。1時