• 天然の筋トレ
    天然の筋トレ

       ついに冬がやって来た。  私が働く穂別は「寒いけど雪は少ない」と聞いていたが、どうもそれは「豪雪地帯に比べれば」という意味だったらしい。週末にちょっと穂別を離れて戻ってくると、家の前の階段や玄関ポーチが雪に埋もれていて驚いた。意を決して雪に足を突っ込み、なんとか玄関までたどり着いたが、夜も遅

    • 2022年12月24日
  • 霧も寒さも
    霧も寒さも

       週末、東京での会合に参加した。昼休みに参加者の1人が言った。「ここの会場、庭園が有名らしいから、ちょっと見に行きましょう」  参加者たちが連れ立って外に出ると、広い庭園には池やこんもりした小山までがあり、なかなかの見応えだ。「東京はまだ緑が青々してるな」と大勢の見物客に混じって見ている時に、

    • 2022年11月26日
  • 初めての冬は
    初めての冬は

       穂別に来てから、「人は自然の中で生きてるんだな」と思うことが多くなった。診察室では、「もう寒くなったね。ストーブつけてる?」「暗くなる時間が早いから次の診察は午前中に来ようかな」など、天候や季節に関係した話題がよく出る。  東京にいると、極端に言えば「夏も冬も、朝も夜もない生活」になりがちだ

    • 2022年10月22日
  • 心の中の先生
    心の中の先生

       「東京時代といちばん変わったことはなに?」と聞かれたら、迷わず「クルマの運転ができるようになったこと」と答えるだろう。  私は若いときに一度、自動車の運転免許を取ったのだが、あまりに運転が苦手で何度か怖い思いもしたので更新をやめてしまった苦い経験があるのだ。「いずれ地域医療の仕事がしたい。そ

    • 2022年9月24日
  • 思い出は宝物
    思い出は宝物

       北海道でも新型コロナウイルスが猛威を振るっている。私が勤める穂別診療所でも、8月半ばあたりから検査数、感染者数がいきなり増加した感がある。  多くの専門家が分析するように、夏休みやお盆で親族や知人に会う機会が増えたからだろう。このウイルスは強烈な感染力があるから、たとえ無症状でもウイルスを持

    • 2022年8月27日
  • 原則禁止だけれど
    原則禁止だけれど

       私が勤務していた東京の診療所では、「患者さんから贈答品をもらうのは原則禁止」となっていた。今はほとんどの医療機関がそうだろう。中には、「どうしても先生に受け取ってほしくて」と患者さんが置いていったお菓子や小物もすべて送り返す、というところさえある。「ちょっと徹底し過ぎでは」とも思うが、それが今のル

    • 2022年7月23日
  • 「当たり前」が驚き
    「当たり前」が驚き

       「これすごいじゃない、おもしろいね!」  東京の友人の間に笑いが広がる。週末に帰京したときの食事会で、いま勤務しているむかわ町で撮った写真を見せたときのことだ。写っているのは、同町の交通安全の旗。「交通安全」の4文字の下には、むかわ竜ことカムイサウルス・ジャポニクスの全身化石がプリントされて

    • 2022年6月25日
  • 北海道が好き
    北海道が好き

       北海道生まれの私だが、人生のうち40年近くを東京で過ごした。そこでずっと感じてきたことがある。それは、「東京をはじめ全国の人たちは、道民が思っているよりずっと北海道が好き」ということだ。  出身を聞かれて「北海道」と答えると、誰もが「いいですね」「うらやましい」と反応する。中には、尋ねてもい

    • 2022年5月28日
  • 朝からファイターズ
    朝からファイターズ

       「おはよう。昨日はいい試合だったね」「まさかあそこでホームランとはね」  まるで高校の野球部の会話のようだが、これは私がいま勤務する職場の朝の一こまだ。もちろん、話題になっているのは北海道日本ハムファイターズのこと。  長く東京の立教大学で教授を務めていた私は、この4月からむかわ町国民

    • 2022年4月23日