(8) ポルアンナイ かつては祭壇も 現代に続く文化財
- 2020年1月27日
白老のアイヌ語地名を紹介して、今回で8回目となりました。今までは、海岸線に近くて、比較的行きやすい場所を紹介してきましたが、今回は山の中に付けられた地名を紹介します。 社台川に沿って上流へ行く林道を進むと、やがて「ポルアンナイ」と名付けられた社台川左岸支流の小さな川を渡ります。ただし、川に
白老のアイヌ語地名を紹介して、今回で8回目となりました。今までは、海岸線に近くて、比較的行きやすい場所を紹介してきましたが、今回は山の中に付けられた地名を紹介します。 社台川に沿って上流へ行く林道を進むと、やがて「ポルアンナイ」と名付けられた社台川左岸支流の小さな川を渡ります。ただし、川に
白老町の社台地区には「ヨコスト」という地名があります。かつては白老のコタンから社台のコタンまでの間に集落はなく、漁場を営む人たちの民家が海岸線にあるだけでした。伝承者の方からも、「白老から社台へ歩いて行くと、途中には原野とカシワの林しかなかった」と聞いたことがあります。ヨコストは、やがて温泉付き分
人類にとって、太陽はなくてはならない存在です。そのため、人類の多くは太陽を神、もしくはそれに近いものとして、信仰の対象としてきました。そのことは、世界中の民話からもうかがい知ることができます。 アイヌ文化でも、太陽は偉い神様としてあがめられました。人びとを暖め、生活に必要なものの多くを作り
白老町の礎を築いたシラオイコタンの人びとは、幕末期には白老地区だけでも400人近くが住む大きなコタン(集落)を形成していました。今でこそ400人しか人が住んでいない町は、小さな町ですが、当時の北海道に点在したコタンとしては比較的大きなものでした。 ではなぜ、シラオイコタンが400人近くも住
白老には、知床という地名が2カ所あります。知床と言えば、世界自然遺産に指定された道東の知床半島が有名ですが、この”シレトコ”という地名は、アイヌ語地名としては珍しい名前ではありません。ただし、現在も地名として使われている場所は少なく、道東の知床半島や釧路市の知人町など、数カ
白老町虎杖浜の名前は、アイヌ語地名の「クッタルシ=イタドリの多いところ」から付けられました。現在は、「クッタラ」というアイヌ語を日本語に訳し、その意味の「イタドリ」を漢字に直した「虎杖」が使われ、「クッタルシ」は土地の名前としては使われなくなりました。ただし現在も、「クッタリウス川」や「窟太郎山」
白老町の西側、虎杖浜地区のポンアヨロから登別漁港にかけての一帯は、アイヌ語地名でも特殊な地域です。前回の「オソロコッ」でも紹介したように、地名が物語やカムイ(神)の伝承などから付けられています。一般的なアイヌ語地名は、そこがどのような場所なのか―を示しています。例えば「クッタルシ=イタドリの多いと
白老町虎杖浜地区のポンアヨロ川河口左岸に立つアヨロ鼻灯台から、海岸に沿って虎杖浜側を眺めると、海岸からやや上がった場所に、陸地が湾のように内陸側に入り込んだ地形が見えます。そこはアイヌ語で「オソロコッ」と呼ばれ、昔から物語と共に言い伝えられてきた場所です。 「オソロコッ」とは、そのまま日本
岡田 路明(おかだ みちあき) 札幌市生まれ。札幌商科大卒。1977年から白老のアイヌ民族博物館に勤務。各地の伝承者を訪ね、アイヌ文化の調査と収録を行う。98年の苫小牧駒沢大開学時から非常勤講師として「アイヌ語」の市民講座を担当。2006年、アイヌ文化関連科目の専任教授に就任。現在、同大の客員教授。