▶9「マッネポ(娘)」
- 2020年12月26日
かやぶきの家(チセ)のいろりのそばで、母が娘に伝統の刺しゅうの技を手ほどきする。アイヌ民族の母親は、自分の知る手仕事の全てを娘に教え込んだ。愛に満ちたまなざしを向けながら…。 コロナ禍の中、自宅で家族と過ごす時間が増えた。幼い娘の笑顔が心を癒やしてくれる。アイヌ民族の母親も娘
かやぶきの家(チセ)のいろりのそばで、母が娘に伝統の刺しゅうの技を手ほどきする。アイヌ民族の母親は、自分の知る手仕事の全てを娘に教え込んだ。愛に満ちたまなざしを向けながら…。 コロナ禍の中、自宅で家族と過ごす時間が増えた。幼い娘の笑顔が心を癒やしてくれる。アイヌ民族の母親も娘
アイヌ民族は、雪をウパシと呼んだ。雪が降る―はアイヌ語で「ウパシ アシ」と言い、アシは、走るという意味。雪は天からアイヌのコタン(村)へ競争して遊びに来ると考えられていた。自然の中に神を見いだし、美しい響きで表現したアイヌの言葉は数々ある。ポロトの森の木々は葉を落とし、生き物たちも冬支度に急ぐ。白
アイヌ民族は、身の回りのすべてに神が宿ると信じた。森の木々もそう。シリコロカムイ(木の神、大地をつかさどる神)と呼んで尊んだ。木は地面を守り、草や動物の命を育み、森を豊かにする。だから、無駄に切らず、舟や道具の材料として必要な時は最小限に―。環境の悪化が進む現代。自然を敬ったアイヌ民族の精神性に学
アイヌ民族の物語には、さまざまな妖怪が登場する。アザラシなど海の動物霊ルルコシンプもその一つ。絶世の美女に姿を変え、人間に取りついては命を奪う。妖艶な歌声で男たちを海へと誘い込むこともある。そんな恐ろしい魔物も、好きになった男には…。「それで、どうなったの」。アイヌの娘は胸をときめか
アイヌ民族の世界では、人が死を迎えると肉体から霊が抜け出し、自分のコタン(集落)近くの洞窟を通ってあの世へ行くと考えられていた。白老町のアヨロ海岸に伝承の岩穴「アフンルパロ」(あの世への入り口)がある。この世の人生を全うしたり、少し悔いを残したりと、亡くなった人々の霊はいろんな思いを抱きながら、こ
精神文化を大切にしたアイヌ民族は、自然の中にカムイ(神)を感じた。人に恩恵を与える神はピリカカムイ(美しい神)、災いをもたらす神はウェンカムイ(悪い神)。そうした神々の存在は、ユーカラやウエペケレなど口承文芸として親から子へと語り継がれた。アイヌ民族の神話が残る白老町の郊外に、野生のハナショウブが
花はアイヌ語でノンノという。美しく、かわいらしい言葉の響きをそのまま形にしたような、ピンクの花をポロトの森で見つけた。清流のそばでひっそりと咲くその名はクリンソウ。アイヌ民族の物語が残るポロト湖の辺りの森でも古くから自生し、初夏の訪れを告げる草花だ。花言葉は「幸せを重ねる」。アイヌ民族の女の子たち
狩りや漁などを糧とし、自然と共に生きながら独自の文化を育んだアイヌ民族。人間に恵みを与える山や川、海、動植物には神(カムイ)が宿ると信じ、感謝の念をささげた。環境破壊と悪化が進む地球。大自然と共生したアイヌ民族の営みは、今を生きる私たちに大切な何かを思い出させてくれる。 企画「Kamuy」
ポロトの森。動物たちは白銀世界の長い冬から目を覚まし、植物たちもこれから芽吹き始める。自然のエネルギー、命の輝きを感じさせる季節を迎えた。木々に宿る神々が春の訪れをそっとささやく。 身の回りの自然や事象にカムイ(神)が宿ると考えたアイヌ民族。アイヌ文化が根付く白老町を舞台に、その精神世界を