• ポツンと
    ポツンと

       今の場所に住んで25年以上になる。でも、自宅周辺の数軒を除くと、どこに誰が住んでいるのか、ほとんど知らない。「○丁目○番はどの辺りですか」と聞かれても、返事は「ちょっと分からないんですけれど」。「ポツンと一軒家」というテレビ番組を見ながら、わが身を振り返った。 衛星写真に写っている、木々が

    • 2019年9月17日
  • 長寿の幸せ
    長寿の幸せ

       超高齢社会の日本。自立して生活できる年数を表す健康寿命は、女性が74・79歳、男性が72・14歳(2016年時点)で、男女ともこの数字に10を足すと、ほぼ平均寿命になる。つまり10年は誰かに介護されて生きるということ。ピンピンコロリ(元気に長生きしてコロリと死ぬこと)を望んでも、実現は難しい。

    • 2019年9月16日
  • 手本
    手本

       良識や常識の有無を年齢だけで判断できるとは思わない。とは言いながらも40代と言えば中年、壮年とも言われる年代。社会経験を積み、判断の訓練を受け、少年とは違うと思いたい。 ところが、現実は甘くない。恐ろしくて、不快な「あおり運転」が後を絶たない。しかも事件化したあおりの容疑者は40代が多い。

    • 2019年9月14日
  • 海よ
    海よ

       事象を男性的に表現する際は男性名詞、女性的に表現するときは女性名詞を使うべし。スペイン語にそうしたルールがあるのだと、米文豪、ヘミングウェーの小説を読んでから知った。 〈海のことを考えるばあい、老人はいつもラ・マルということばを思いうかべた。それは愛情をこめて海を呼ぶときに、この地方の人々

    • 2019年9月13日
  • 愛

       結愛(ゆあ)ちゃん、心愛(みあ)ちゃん、璃愛来(りあら)ちゃん。「愛」の字に目が留まる。虐待を受け、幼い命を落とした子どもたち。まさに愛らしい写真に一層胸が締め付けられる。 昨年3月、東京都目黒区で死亡した船戸結愛ちゃんは当時5歳。保護責任者遺棄致死罪に問われた母親の優里被告は夫の暴行につ

    • 2019年9月12日
  • 里山
    里山

       胆振東部地震で震度7の激しい揺れに襲われて崩れ、住民の命を家もろともに押しつぶした厚真町の山々の、地震から1年後の航空写真に声を失った。 木が滑り落ち、赤茶けた土や岩がむき出しになった小高い山が続く。地震の直後の無惨な光景と、ほとんど変わりがない。耕地から山へ入った谷や沢筋の一本一本に林業

    • 2019年9月11日
  • 芸術家集まる町
    芸術家集まる町

       白老町の喫茶店に木の葉や流木を使ったアートが並ぶ。マレーシアの芸術家による展覧会だ。近所の宿泊施設では国内外で活躍する影絵師の作品展、その近くの商業施設で若手アーティストのシルクスクリーン展も。著名なダンス集団によるストーリー仕立ての公演があったり、音楽と朗読の上演が予定されたりと、各所で同時進行

    • 2019年9月10日
  • 強力タッグ
    強力タッグ

       何年も前になるが、当方が恵庭に住んでいたころの話。千歳で飲んでいて、つい終電を逃してしまった。タクシーで3000円も掛からないが、そこは酔いどれの怪しい帰巣本能。歩いて帰る決心をした。時間にして約1時間半。行政境界付近の上り下りが意外ときつく、ちょっぴり後悔しながら、両市の近さを体で覚えた。

    • 2019年9月9日
  • カムイ
    カムイ

       むかわ町穂別地区で発掘された恐竜化石の学名が決まった。カムイサウルス・ジャポニクス。「日本の竜の神」の意味。6日の英科学誌に掲載された。 先住民族のアイヌと、後に移住してきた和人との間には、差別や収奪など負の歴史が残るが「萱野茂のアイヌ語辞典」(三省堂)を見ると、クスリ=薬など幾つかの言葉

    • 2019年9月7日
  • 再生と新生
    再生と新生

       収穫の時が近い。 思い出すのは田んぼの周りに残る匂い。野の草を一握りむしり取ると手に残る青っぽい匂いに似る。稲は、穂の先が黄金色に染まって重たそうに垂れても、支えている茎はしっかりしている。だからコンバインで刈り取られたばかりの田んぼは新鮮な香りをまとう。コラム子はその匂いが大好きだ。

    • 2019年9月6日
  • 食欲の秋
    食欲の秋

       両親の古里は共に道北だが、どちらの実家も「大盛り」がもてなしの基本だった。夕飯でも菓子でも、客に出す食べ物はすべて器に山盛り。相手が年寄りや若い女性だろうと関係ない。「残してもいいよ」「お構いなく」は社交辞令。もてなされる側もその心意気に応えてよく食べた。かつて、田舎に行くと少なからずそんなやり取

    • 2019年9月5日
  • 後悔
    後悔

       3%の税率で消費税の徴収が始まったのは1989年4月。「売上税」の名前で議論が始まった頃の、中曽根康弘首相が舌を出しあっかんべェをしたイラストのポスターを覚えている。 消費税スタートの当時、長男は小学校中学年。次男が小学校入学を控えていた。以来30年。税率は子どもたちの食欲増進と胃袋の成長

    • 2019年9月4日
  • 分断
    分断

       日が短くなった。日中はまだ暑さが残るのだが、もうあの真夏の勢いはない。気が付けば二百十日も過ぎて、9月に入った。道端に咲いているキバナコスモスも、初秋の風に揺れている。 歳月は容赦なく流れる。8月下旬に札幌で週末に2週続いた、二つの野党の道連定期大会を取材して、そう感じた。自民党を下野させ

    • 2019年9月3日
  • 心の理解
    心の理解

       白老町で2020年4月に開設するアイヌ文化復興のナショナルセンター「民族共生象徴空間(ウポポイ)」。菅義偉官房長官の方針を踏まえ、年間来館目標100万人を設定しているが、知名度はいまひとつ。開設まで1年を切った現在、鈴木直道知事をはじめ関係者が躍起になってPRのてこ入れをしていると聞く。

    • 2019年9月2日
  • 距離
    距離

       人もヒグマも互いを恐れ、安全な距離を確保し合うのが北海道のおきてだった。そんな関係が崩れ、札幌でも白老でも、危険なすれ違いが続いている。  「となりの野生ヒグマ いま何が起きているのか」(北海道新聞社)に一昨年、札幌市と道立総合研究機構、酪農学園大が合同で行った札幌の市街地近辺のヒグマ生息

    • 2019年8月31日
  • 学習まんが
    学習まんが

       書店で「学習まんが」と手書きされたかわいらしいポップ広告を目にした。「漫画で学ぶ~」という本かなと思ったが、少し違う。自慢にはならないが、60代半ばの今も漫画が大好き。早速、3冊買って読んでみた。  最初は「ドクターストーン」。人間が突然、石になる謎の現象が起きた。3700年後、高校生の千

    • 2019年8月30日