• 第一
    第一

       東京が暑いのは最初から分かっている。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は「選手の健康が第一」と、2020年東京五輪のマラソン、競歩の会場を札幌に決めた。だが開催まで9カ月しかないこの時期に、花形競技の会場を移すほどの大胆な決断ができるくらいなら、そもそも酷暑ではない時期の開催に努力すべき

    • 2019年11月4日
  • 依存症
    依存症

       自分の行動は自分の意志で制御できる―と思いたい。しかし現実はそうでもない。甘い物やお酒につい手が伸び、体重や肝機能の数値に悩む人は多い。  深刻さや悲惨は比べようがないが、賭け事もそうだろう。家族にうそを言い、消費者金融の世話になりながらマージャンや競馬、パチンコをやめられず家庭や家族関係を

    • 2019年11月2日
  • 増える外国人
    増える外国人

       有名な白老牛を生産する白老町の牧場主に近況を尋ねたら、人手不足の問題に話題が及んだ。業種を問わず、人材確保に悩む経営者はこの町でも多い。牧場主は、ついに東南アジアの労働者を受け入れたと言った。この業界に限らず、食品製造や水産加工、建設業など町内のさまざまな職場で働く外国人の姿が目につくようになった

    • 2019年11月1日
  • 天災
    天災

       文化庁が公表した国語に関する世論調査の結果。当方も冷や汗交じりに慣用句の意味を確認した。例えば「ぶぜん」。本来は「失望してぼんやりする様子」だが、多数派は「腹を立てている様子」。漢字は「憮然」で心が無くなるという文字通りだが、時代とともに使われ方も変化している。  「天災は忘れた頃にやってく

    • 2019年10月31日
  • 冬支度
    冬支度

       ユキムシの舞う日が増え、先日は、取り込まれた洗濯物に付いていたらしい一匹が居間を飛んだ。この虫が飛ぶと7~10日後には初雪という説がある。  虫たちは季節を知っているのだろう。人間だって、経験したことのない暖かさや雨の多さに判断を狂わされながらも、ふと季節の変わり目を感じて行動を決めることが

    • 2019年10月30日
  • 難しい問いに
    難しい問いに

       重要なニュースを不覚にも記憶の棚に上げて塩漬けにしていることがある。災害や事件、噴飯ものの不祥事、政治家の不誠実。湧き出て続く出来事にすぐに目がいく。気楽に見られるサスペンスドラマよろしく前時代的で原発に関わって根が深い関西電力の不祥事さえ、歳末には「そんなこともあった」となるかもしれない。数えら

    • 2019年10月29日
  • 子年
    子年

       あと数日で11月。紅葉がきれいだなと思っていたらまちなかに大量の雪虫が舞い、刻一刻と冬が近づいていることを実感させられる。新聞製作上は、正月の紙面も考えなければならない時期になった。新年号の巻頭写真の素材は何がよいか。  まずは来年のえと「子(ね)」が思い浮かぶ。カピバラ、チンチラ、ミッキー

    • 2019年10月28日
  • まさか
    まさか

       もし、この建物の1階が洪水で数十センチの深さまで浸水したら―。いつも座る椅子から、室内を見回して、家具や電気製品がどうなるかを想像してみた。  テレビで洪水被災地の、災害ごみの山の大きさや、捨てられた物を見たせいだ。わが家でも、まず畳や敷物が使えなくなるだろう。その上の灯油ストーブはきっと駄

    • 2019年10月26日
  • ノーサイド
    ノーサイド

       日曜日の激闘から5日がたった。4年前の奇跡の再現は成らなかった南アフリカ戦。試合終了後、リーチ主将は空を見上げ、秋の夜風を深く吸い込んでいるように見えた。東京スタジアムの大観衆の拍手が延々と続いた。  〈ゆるやかな冬の日の黄昏に 彼はもう二度とかぐことのない風 深く吸った〉。松任谷由実さんが

    • 2019年10月25日
  • フクシマ50
    フクシマ50

       「Fukushima50」という映画が来年公開される。舞台は東京電力福島第1原発。東日本大震災の津波で電源を喪失し、放射能の危機にさらされる中、吉田昌郎所長をはじめとする職員たちが命を賭して被害の拡大を食い止めた当時を描いた。  原作は作家の門田隆将氏の著書「死の淵を見た男―吉田昌郎と福島第

    • 2019年10月24日
  • にわか
    にわか

       運動に根を詰めて取り組んだ経験がない。40歳代まで年に何度か軟式野球やソフトボール、アイスホッケーに挑んだが、すべて下手のままで終わった。  たまにプロ野球中継をテレビで楽しむだけの静かな生活に、この秋、巨大な波が押し寄せた。特に関心はなかったラグビーのワールドカップ。ラグビーはテレビ中継を

    • 2019年10月23日
  • 名せりふ
    名せりふ

       イラストレーターの和田誠さんが亡くなった。たばこのパッケージのデザイン、週刊誌の表紙、本の装丁など多方面で活躍した。エンターテインメントの世界にも造詣の深く、音楽や映画にまつわるエッセーも多い。若い頃、著作を探しては買い求めた。中でも、古い映画満載の「お楽しみはこれからだ」のシリーズが好きで、何度

    • 2019年10月22日
  • 増税と食
    増税と食

       消費税が増税され、増えた出費を何で補うか、目下思案中だ。ちなみに2014年の3%アップの時は、食に関わる費用を削って対応した人が多かったよう。この年、苫小牧消費者協会が市民に実施した調査では、増税で節約したものとして外食費、水道光熱費、食費の順に多く挙がり、「食」で上位二つを占めた。  外食

    • 2019年10月21日
  • 強靭化
    強靭化

       首都圏では、地方とは違う台風被害や混乱が続く。川崎市では47階建てのマンションの水道やエレベーターが止まり入居者が苦難を強いられたようだ。  駅近くの、いわゆるタワーマンション。高さは161メートルもあり、戸数643戸。報道によると地下3階の電気系統の設備が浸水したため停電。ポンプが動かず全

    • 2019年10月19日
  • 総パワー
    総パワー

       日本の景気を測る経済的な指標の話。かつて国民総生産(GNP)が用いられた時代があったが、現在は国内の景気をより正確に反映する指標として国内総生産(GDP)が重視される。  略語GNPの英文を片仮名で書くと、グロス(=総和)・ナショナル(=国民的)・プロダクト(=生産)。GDPならグロス・ドメ

    • 2019年10月18日
  • 笑顔
    笑顔

       苫小牧市の公式キャラクター「とまチョップ」をデザインしたマンホールぶたが先月、北海道地方下水道協会などが主催する人気投票で全道1位に輝いた。札幌駅前通地下広場の会場を訪れた人の投票で、函館市のイカや芦別市の星座のデザインを抑えて優勝した。  このマンホールぶたが設置されているのはJR苫小牧駅

    • 2019年10月17日
  • 再検討
    再検討

       「もし、このダムが決壊したら下流にどんな被害が及ぶんでしょう?」。昔の勤務地での、ダム建設工事関係者との思えば恐ろしい会話を思い出した。  台風19号の被害が拡大し、15日までに洪水や土砂崩れなどによる70人以上の死亡が確認された。新聞やテレビには泥まみれの建物や田畑の写真が並ぶ。途方に暮れ

    • 2019年10月16日
  • 若者が戻る町を
    若者が戻る町を

       白老町の公共施設で若い女性から声を掛けられた。以前取材で知り合った女子高生だった。「私、大学へ進もうと思うけど、卒業後は白老へ帰ってくる。大好きな町のために役立つ人になりたい」。目をきらきらさせて進路を語る姿が頼もしく見えた。  この女子高生のように進学などで古里をいったん離れても、また戻っ

    • 2019年10月15日
  • 増税
    増税

       秋はとかくキャッチフレーズが多い。食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋。爽やかな季節に、楽しみは多く、読者も思い思いに、秋を満喫していると思う。個人的には柄ではないが、文化の秋に親しもうと、久々に映画館に足を運んだ。結果的にはバケツのような容器に入った、ポップコーンを頬張る食欲の秋だったが。  

    • 2019年10月14日
  • 近未来
    近未来

       意外に短い時間で流通や消費の形態が大きく変わる時代に住んでいることを新聞に教えられた。コンビニも盛りを過ぎ、次はネット通販の時代らしい。  イトーヨーカドー、セブン―イレブンなどを経営するセブン&アイ・ホールディングスが10日、大規模な構造改革策を発表した。全国規模のヨーカドー店舗の見直しや

    • 2019年10月12日
  • 遺伝子
    遺伝子

       活躍する人々を紙面で紹介する。老若男女、目に力強さや気力がみなぎっている。元気だから表情がいい。笑顔が光る。情熱を注ぐ趣味や生きがいは手応えがあり、楽しみを得られる。生物学者の村上和雄氏は、そうした人は遺伝子が活性化した状態と説く。人の体は60兆の細胞で成る。全細胞に核があり、遺伝子を持つDNAが

    • 2019年10月11日
  • 決戦は日曜日
    決戦は日曜日

       4日から全国で公開されている映画「蜜蜂と遠雷」は、紹介記事などで何か引き付けられるものがあり早速、劇場に足を運んだ。直木賞と本屋大賞をダブル受賞した恩田陸さんの小説が原作。世界への登竜門とされるピアノコンクールでしのぎを削る若手ピアニストたちの戦いを描いている。主演の松岡茉優さんが、演奏シーンを吹

    • 2019年10月10日
  • 刑罰
    刑罰

       死刑という言葉を初めて聞いたのは何歳ごろのことだろう。「人を殺したら死刑」。先生か親か誰かが教えた戒め。行動の指針にはなっていたと思う。  きっと小学生の頃だ。何かで読んだのかもしれない。裁判の仕組みなどまったく知らず、命の重さや死の怖さも考えたことがなかった時代のこと。気になる裁判の報道を

    • 2019年10月9日
  • 政治決断
    政治決断

       「終電に間に合うだろうか…」。紛糾、空転した本会議、その後の知事会見と続いた先週の金曜日の深夜。道議会記者室で同業他社の記者たちと、そうささやき合った。荒れた定例道議会最終日。何とか終電1本前の地下鉄南北線に滑り込んだ。  25日間にわたった定例道議会は、喫煙、憲法、IR(カジ

    • 2019年10月8日
  • 5G
    5G

       スマートフォンなどの移動通信システムが間もなく第5世代(通称5G)になるという。女性お笑いタレントがバブル時代を面白おかしく描写する時の小道具に使う巨大な移動式携帯電話はその第1世代。第2世代ではデジタル方式へと移り変わり、第3世代はデータ高速通信で携帯端末上のインターネット利用を可能にした。多く

    • 2019年10月7日
  • 敬称
    敬称

       苫小牧に住んで、初めて実業団のアイスホッケーの試合を見たときに驚いたのは、声援を送る子どもたちが、選手の名前の末尾に敬称を付けることだ。  当時は札幌冬季五輪の前後。欧米のチームとの対戦も多く、テレビ中継が多かった。地元の王子、岩倉両チームの選手は、国内各地や世界の銀盤を駆ける大スターでもあ

    • 2019年10月5日
  • 昆虫
    昆虫

       トンボ。秋になって思い出すことが二つ。一つは記者の仕事に就いたばかりのことだから40年近く昔のこと。こうべを垂れる稲穂の先にトンボが止まっている写真を見せてもらった。収穫の秋を迎え、構図を頭に描きながら何回か田んぼに出掛け、トンボを探してみたが、その程度で撮れるような写真ではなかった。  も

    • 2019年10月4日
  • スイーツ
    スイーツ

       昨年の今ごろは胆振東部地震の発生から約1カ月がたち、ライフラインはほぼ復旧していたが、揺れへの不安は強く残っていた。被災地の人などはまだ、食事をしても食べた気持ちになれなかったのでは。  「それでもケーキとか食べたくなったよ」と被災者から聞いたのは、震災から半年以上たってからだった。緊張状態

    • 2019年10月3日
  • 老化
    老化

       足腰などの不具合、物忘れやイライラなど体や頭の不調が多くなる。「年のせいだ」で済ませていたら、PHP新書「老化って言うな!」に叱られた。  「俺、何しようと思っていたと思います?」。職場で、立ち上がったのに動きださない同僚に何度も聞かれたことがある。家でも家人が同じようなことを言う。「2階へ

    • 2019年10月2日
  • 極める人
    極める人

       世に知れ渡る剣豪の宮本武蔵は生年に諸説あるものの生涯が16~17世紀にまたがる歴史上の人物。剣術の奥義を記したとされる兵法書「五輪書(ごりんのしょ)」は、とりわけ有名だ。  名画も残し、江戸時代初期に鳥を描いた「枯木鳴鵙図(こぼくめいげきず)」は重要文化財として伝わる。鵙=モズが細い枯れ枝の

    • 2019年10月1日