苫小牧市中学生主張発表大会(8) 努力賞「安心していいと思える場所へ」 和光中学校2年 畠山 花音さん

苫小牧市中学生主張発表大会(8) 努力賞「安心していいと思える場所へ」 和光中学校2年 畠山 花音さん

 「最近、学校が怖い。行くのが辛(つら)い…」

   突然、私の友人から発せられた一言。

   私も、「学校に行きたくない」という思いが頭をよぎることがある。例えば、体調が悪いとき。先生に叱られた次の日。友達とちょっとしたケンカをしているとき。ルールを守っていない人に注意をして嫌な顔をされた次の日。苦手な教科の授業があるとき。ましてやその教科のテストの日だったりしたら…。その他、こまごまといろいろな理由がある。だけど、そんな思いは小さなもので、一晩ぐっすり寝てしまえば、たいていはどうにかなっていることが多い。

   きっとこの友人もそうなのだろう。そう思いながら何気なく「どうして?」と尋ねる。

   「私の悪口を言っている人がいて、いや、もしかしたら言っているかも知れないというだけで、本当は言っていないかも知れないけど。でもやっぱり悪口を言われているとしか思えなくて。そんなことはないんだろうけど、全員が私の敵だとしか思えなくて…」

   予想外の答えにハッとした。「そんなことないよ」「そんなの気のせいだよ」「私にもあるよ、そういうこと」。…ああ、全ての答えが軽すぎる。何と答えてあげたらいいのだろう? もしかしたら、私のことも敵だと思っているのだろうか? 上手い答えが見つからず、「ああ、そうなんだ…」くらいしか返せない。

   それと同時に、「ああ、この子はなんて強い子なんだろう」、そんな思いが頭に浮かぶ。そんなに辛いのに、逃げずに学校に向かっている。そして、何事もないように学校生活を送っている。私だったら、きっとダメだ。その辛さに押しつぶされて、家から一歩も出られなくなるだろう。

   私は、なんとかしてこの友人を支えたいと思った。それが、勇気を持って悩みを打ち明けてくれた友人に対して私が唯一できることであり、しなければならないことだと思う。その友人がどうしたいかを優先し、一緒に考えていきたい。いじめなどの悪質な行動をしている人には、「やめよう」と勇気を持って言いたい。1人で立ち向かえないときには親や先生などの大人にも報告し、相談して、知恵を借りよう。

   また、反対に私が友人のような立場に立ったときには、怖くて自信がなくても、1人で悩まずに、この友人のように、思い切ってその思いを打ち明けようとも思う。そして、逃げずに立ち向かおうと思う。

   これらは全て、自分とみんなの「居場所」を守るための行動であり、責任だ。

   これから生きていく中で、私たちは、誰かが一方的に苦しむという世界をなくすために努力をする必要がある。いじめ、虐待、偏見、差別、格差など。一方的に得しかしない人、一方的に損しかしない人がいる世界を変えていく努力をしなければならない。皆が皆を支え合い、認めあえる世界をつくっていかなければならない。

   ただ誤解を避けたいのだが、誰の、どんなことでも認めろと言っているのではない。もちろん考えが合わない人、行動が理解できない人だっているのは当然だと思う。だからといって拒絶したり、攻撃したりするのは違う。嫌いでも、考えが合わなくても、その人にはその人なりの考えがあるのだと尊重すれば良い。その思いがあれば、互いに歩み寄ることだって出来るはずだ。

   みんなの周りにもきっといるはず、そして大なり小なり、みんなの心の中にもきっとあるはずの思い、

   「最近、学校が怖い。行くのが辛い…」

   私はこのような人たちの居場所になってあげたい。私の気持ちが通じるかどうかはわからないけれど、5人に1人、いや10人に1人でもいいから、ちょっとした心の支えになってあげられたらと思う。

   そんな小さな力が集まって、少しずつでいいから、みんなの「安心してもいいと思える場所」が広まってほしい。そう願っている。

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