苫小牧市中学生主張発表大会(11) 努力賞「LGBTQ」 開成中学校2年 河合 明音さん

苫小牧市中学生主張発表大会(11) 努力賞「LGBTQ」 開成中学校2年 河合 明音さん

 これが本当の人生ですか。Isthisthereallife?

   これはただの幻想ですか。Isthisjustfantasy?

   1970年代から80年代にかけて世界を席巻したイギリスのロックバンド、クイーンの楽曲、ボヘミアン・ラプソディの出だしの歌詞です。

   私は小学生の時に、クイーンの結成からライブエイドのパフォーマンスまでを映画にした「ボヘミアン・ラプソディ」を家族で見にいきました。それまでクイーンの存在は知らなかったけど、CMなどできいたことのある曲があり、古い曲なのにどれも格好良い曲ばかりで、家族みんなでハマってしまいました。

   クイーンのボーカルのフレディマーキュリーは映画の中でゲイであることのカミングアウトをためらっていました。

   帰りの車の中で、母から、そのころは性の差別が強くて、ゲイなどのLGBTQ(性的少数者)は受け入れられない、カミングアウトをするにもすごく勇気がいる時代だったと教わったことを覚えています。

   父が、職場の同僚に「あの映画を子どもにみせたのか」と驚かれました。その時は、なぜそんな反応をするのか全然わかりませんでした。今思うと主人公がゲイだったので、子供に見せることに抵抗があったんだなと思います。わたしは助産師の母から、LGBTQのことをよく聞いていて、当たり前のことだと思っていたので、世間一般の考えと自分の捉え方のちがいに気づきました。

   昔、姉のクラスの男子が、よくピンクや赤色の服を着ていました。姉が「男のくせにピンク色の服をきていた」と言った時、母は「男も女も関係ない。男だろうが女だろうが自由に好きな色を着ていい」と怒りました。

   また、私は、これまで両親から「女らしく」や「女だから」と言われることなく育ったので、クラスの男子が教室で、「男は泣くな」「男らしく」と言うのを聞くと、どうしても違和感を感じてしまいます。

   私は中学生になってからバスケットボールを始めました。私の足は女子にしては人より大きくて、自分に合う女性用の靴がなかなか見つかりません。でも、逆に足が大きいと身長が伸びると言われているので、バスケットボールのために背が高くなることをとても楽しみにしています。体幹を強くして、筋肉もつけて、バスケットボールがうまくなりたいと思っています。そうなると、一般的に言われる「女らしさ」にはあてはまらなくなるでしょう。でも、これが今の私のかけがえのない価値観なので、他の人がどう思うかは、まったく気になりません。

   今、私の価値観と言いましたが、これは私だけでなく、誰もが持っているものです。自分の価値観や尺度、正義感からずれたものを排除する、異質排除ではなく、お互いの価値観や正義感を認めること、受け入れることで、マイノリティも含めたすべての人が、生きていきやすい世の中になるのではないでしょうか。

   お互いの価値観を認めるということですから、男は男らしく、女は女らしく、そう思う人がいてもいいのです。でも、自分以外の人にそれを無理強いしてはいけません。私は、これから大人になるにつれて、いろいろな価値観を持つ人と出会います。多種多様な価値観をもつ人がいる中で、あなたはあなたらしく、私は私らしくという言葉を届けられる人間になりたいと思います。

   「Isthisthereallife? Isthisjustfantasy?」と迷うことなく、「Nothingreallymattertome.どうでもいいんだ、僕には」とあきらめることなく、誰もが、自分の人生を明るく楽しく生きていける、そんな社会を私たち若者が作っていくのだと思います。

   そんな若者の一人であるために、私は私を磨き、心も体も鍛えていきたいと思います。

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