海と学生
- 2024年7月23日
襟裳岬で東西を見渡すとほんの少し丸みを帯びた「水平線」があり、地球はやはり丸い、と強く実感する。1980年代後半の夏、学生として過ごした東京で「往復交通費支給」とあったアルバイト求人を見掛け、参加した際に確かめた。 昔、えりも町でコンブ漁を手伝う人員を募集していた。漁期盛りの漁家住み込み。
襟裳岬で東西を見渡すとほんの少し丸みを帯びた「水平線」があり、地球はやはり丸い、と強く実感する。1980年代後半の夏、学生として過ごした東京で「往復交通費支給」とあったアルバイト求人を見掛け、参加した際に確かめた。 昔、えりも町でコンブ漁を手伝う人員を募集していた。漁期盛りの漁家住み込み。
アメリカのバイデン大統領が21日、選挙戦から撤退する考えを表明した。先月のテレビ討論会で声がかすれたり、言葉に詰まったりと適性に疑問符が付き、民主党内の撤退を求める声の高まりに抗し切れなかったとされる。一方のトランプ前大統領は、銃撃を受けたが致命傷を免れ、支持者が「神に選ばれた」と話すのをテレビの
新鮮なキュウリやトマト、ダイコンが卓上に並ぶ季節がやってきた。色や形が多少不ぞろいでも鮮度や味の違う、ご近所産。スーパー店頭で高値の悪口を言われ続け皮の硬くなった野菜とは別物。 先日の新聞に、ピカピカと赤黒く熟したクワの実の写真が載っていた。子どもの頃の遊び場だった里山の、これから始まる実
がんは日本人の2人に1人がかかると言われている。いわば身近な病気で、医学の進歩により治る人も多いが、いまだ死因のトップ。捉え方は人それぞれだが、がんになりたいと思う人はいないだろう。がんのみならず病気と向き合うことは、不安や恐怖がつきまとうものだ。 記者の母もそうだった。今から約20年前、
岸田内閣の支持率が下げ止まらない。時事通信が今月上旬に行った世論調査は前月比0・9ポイント減の15・5%。自民党がかつて民主党に政権を渡し、復帰した2012年12月以降最も低い数字という。不支持率は前月比1・4ポイント増の58・4%に上った。理由は「期待が持てない」「首相を信頼できない」が合わせて
人は、私的な関わりの少ない事件の発生日時や意味などをどれだけ学び、記憶しているものだろう。アメリカの共和党の大統領候補であるトランプ前大統領が東部ペンシルベニア州で開かれた集会で演説中、ライフル銃で撃たれて、右耳に軽傷を負った13日に、確かめてみた。 新聞の報道や、岩波書店の「年表 昭和・
幸運を呼ぶ四つ葉のクローバー。その発生確率は三つ葉のクローバー1万本に対し1本とされるが、どういうわけか簡単に見つけられる人がいる。妻もその一人で、それがある場所に違和感のようなものを感じるという。犬の散歩で公園に入ると、数分で3本摘み取ってきた。一種の勘のようなものが働くのだろう。自分も1度ぐら
札幌・大通公園を歩くと、子どもたちが噴水ではしゃいでいる。毎年、この季節に思い出す歌がある。日本の伝説的なロックバンド、はっぴいえんどの名盤「風街ろまん」に収められた一曲。松本隆さんが詞を書き、細野晴臣さんが作曲した「夏なんです」。こんな詞だ。〈空模様の縫い目を辿(たど)って 石畳を駆け抜けると
緊急自動車のサイレンの音からは感情が伝わる。脇道に隠れて一時不停止に目を光らせるパトカーはウーウーと怒って走り出す。パーポーパーポーという救急車のサイレンが悲しげに聞こえるのは年齢のせいだろうか。助けて、助けて。待ってろ、待ってろ。そうも聞こえる。 苫小牧市内の住宅街に住むAさん宅付近に先
原因不明の高熱で会社近くの医院で診療を受けた。「マイナンバーカードありますか」。診療後に近くの薬局に出向くと、そこでも同様の質問が飛んできた。周りを観察してみると、結構「カード」を持参している人も多いようだ。 これが、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」の問い合わせなのだろう。戸
道路沿いや空き地、公園の片隅などでよく見られるシロツメクサ。金平糖のような白い花姿や丸い葉。クローバーと言った方がなじみやすいかもしれない。同じマメ科でぽんぽんのようなピンク色の丸い花を付けるのがアカツメクサ。共にどこでも目にする植物で、シロは摘んだ花を編み込んで花冠を作ったり、アカは幾つかのピン
都市で生まれ、広く伝えられる根拠のないうわさが「都市伝説」。4日の全道紙中面1段見出しの記事「羊蹄山頂にクマの足跡」を読んで、頭に入ったまま消えない「羊蹄山(1898メートル)にヒグマはいない」という伝説を思い出した。 記事によると7月2日夜、9合目の避難小屋の管理人が山頂近くの登山道で幅
この国の中小企業は、人手不足でどの従業員も手いっぱいな職場が多い。もしそこで育児休業者の業務が特定の従業員にただ上乗せされれば、当事者には疲労や不満がたまる。休んだ側も何かの折に様子を知れば、職場復帰への意欲がそがれかねない。しかし、子育て支援の対象は子育て中の人だけと思われがちで、周りの人までは
苫小牧で初夏までに、ハマナスの咲く浜辺でヒバリがさえずる声を聞き、湿地のある所の上空では赤道以南から渡って来るオオジシギが上昇と急降下を繰り返す元気な姿を目にできて安心した。早朝の自宅周囲木立にはスズメのほか、シジュウカラなども現れ、観察をしてきた。 先週の朝、一羽のカラスがわが家の切り妻
よく聴いていた曲がテレビやラジオから流れ、歌い手の年齢を調べて驚くことがある。例えばビートルズのジョン・レノンは生きていたら84歳。彼らの高齢は和音をまねてギターを弾いていた中学生や高校生だった自分の老いと重なる。 母が70~80代の頃、新聞を広げるたびにおくやみ欄を丁寧に見ながら、亡くな
東京都知事選の取材を過去に3度、担当したことがある。当選者はそれぞれ青島幸男氏(故人)、石原慎太郎氏(同)、猪瀬直樹氏。中でも、青島氏が世界都市博覧会の中止を公約に掲げ、当選した1995年の選挙は印象的だった。 当初は報道各社とも、青島氏を泡沫(ほうまつ)に近いとみていた。ところが、政党相
新千歳空港に足を運ぶたびに、インバウンド(訪日客)の増加を肌で感じる。人手や航空機燃料の不足などの課題に直面しているが、国際線の旅客数は新型コロナウイルス禍の落ち込みから回復傾向が続く。長期滞在するインバウンドは、大きな経済効果も期待でき、観光産業のV字回復に欠かせない。活況が心強い。 一
死者は、別れを悲しみ続ける者の夢にどんな頻度で現れて笑顔を見せ、声を聞かせてくれるのだろう。近くのお母さんの体験は、少し寂しい。病気で急死した娘さんと夢で会えたのは、死後7年がたったのに「まだ1回だけ」だという。 家族とも、友人や知人とも、必ず別れる日が来る。老いや病気、事故。理由はいろい
米大統領選のテレビ討論会の報道に触れて印象に残ったのは、81歳の現職バイデン氏の健康状態。声はかすれ、言葉に詰まる場面があった。これまでも公務中にぼんやりとしたり、転倒したり。不安は否めない。民主党支持者を含め、世論に撤退を求める声が上がっている。 一方のトランプ氏は年齢こそバイデン氏と三
市民ボランティアのうち「ごみ拾い」は年間何件ぐらい行われているのだろう。取材依頼も多く、記事データベースで検索すると4月以降、苫小牧市内で実施された分だけで10件以上ヒットした。こうした活動が奏功してか20年前に比べ路上に散乱するごみは随分少なくなったと感じる一方、毎年この時期になると気になりだす
硬貨に変わったり、デザインの変更でもう見ることのなくなった板垣退助の百円札や岩倉具視の5百円札、伊藤博文や聖徳太子の千円札などが、小さな写真で新聞広告に並んでいた。懐かしかった。色合いまで思い出せたのは百円札と5百円札ぐらい。たまに見た聖徳太子のおちょぼ口がかわいい。板垣さんの白ひげの量の多いこと
蒸し暑く、寝苦しい夜。久しぶりに沢木耕太郎さんの「一瞬の夏」(新潮文庫)を読んだ。元東洋ミドル級王者だったカシアス内藤さん。当時駆け出しのルポライターで、プロモーターとして関わることになる沢木さん。藤猛や海老原博幸、柴田国明、ガッツ石松といった世界チャンピオンを作り出してきた名トレーナーのエディさ
改正された1本の法律が19日に成立した。改正政治資金規正法だ。自民党が派閥による裏金事件を受けての対策の一つだが、突っ込みどころ満載で野党は「抜け穴」ぞろいとこぞって批判し、そればかりか国民の理解も到底進んでいるとは言えない。自民党は何をしたいのか。 いわゆる「政治とカネ」に当事者の自民党
日高山脈の麓、静内町(当時)の支局に勤務当時の一日は、トイレの窓から1839峰や、後ろの主稜線(りょうせん)の天気を確かめて始まった。取材に出掛ければ、車のどこかの窓から四季の山々や稜線が見えて、飽かず眺めていた。 山脈の特徴として印象に残っているのは山の名前。北の大地の先人は集落から見え
50人余りが歌詞カードを見詰め、懐かしいハーモニーを響かせた。昨秋札幌市内で開かれた出身地の「ふるさと会」に初めて出席した時のひとこま。 歌ったのは、当時通った小学校と中学校の校歌だった。参加者のほとんどが65歳以上、圧倒的に70代が多い。卒業から半世紀を過ぎても歌詞を見ればすぐに口ずさむ
高齢者福祉に欠かせない存在の介護人材。団塊の世代の約800万人全員が75歳以上の後期高齢者になる2025年度には、約38万人が不足すると試算され、養成は大きな課題となっている。 その中で、教育と医療福祉の両事業を手掛ける学研ホールディングスは、30年9月までに国内で運営する介護施設数を10
戦後間もない1940年代後半に生まれた、いわゆる団塊の世代が、75歳以上の「後期高齢者」に仲間入り。70年の前後から「車のある生活」を、ほぼ半世紀に渡って過ごしてきた世代にも、いよいよ車のない生活が近付いてきた。結婚や子育て、通勤から趣味まで、必ず立ち会ってきた愛車たちとのお別れの時だ。
社会人野球の白老町・WEEDしらおいが奮戦した。札幌円山球場であった第95回都市対抗野球大会道地区2次予選最終日の9日、WEEDは北海道ガスと対戦。三回に1点先取して七回に犠飛で追い付かれ、八回に1失点して勝ち越された。九回裏の攻撃で、先頭から執念の長短連打、続く四球で満塁に詰めたが、北ガスが繰り
夏至が来ると、母は必ず「嫌だねえ。もう冬に向かうんだよ」と言った。これから夏本番を迎えるというのに、夏至を境に日が短くなることを嘆くのだ。家庭用除雪機などない時代。雪の量も今よりはるかに多く、山奥にある実家の雪かきは確かに大変だった。母も自分も朝早くから必死で雪をはねのけた。 だったら冬至
子どもの頃、話し掛けたり、掛けられたりする間柄の大人は、親類のおじやおばを除けば身近にはほんの数人しかいなかった。山村の子はそんな環境で安全を学んだ。1963年に東京で「吉展ちゃん誘拐殺人事件」が起きた。もう中学生だったが心得は変わらなかった。知らない人には注意。今もそれが自分や家族を守る最大の知