待合室
- 2024年5月15日
病院、医院に定期的に通うようになって10年ほどになる。慣れれば平気と思っていたが、長い待ち時間だけはなかなか慣れない。帰宅まで3~4時間もかかることがある。「予約制にすればいいのでは―」。素人なりに考えたりもする。 「診療所(クリニック)の舞台裏を紹介します」という中公新書ラクレ「開業医の
病院、医院に定期的に通うようになって10年ほどになる。慣れれば平気と思っていたが、長い待ち時間だけはなかなか慣れない。帰宅まで3~4時間もかかることがある。「予約制にすればいいのでは―」。素人なりに考えたりもする。 「診療所(クリニック)の舞台裏を紹介します」という中公新書ラクレ「開業医の
日本中央競馬会(JRA)の騎手・武豊さん(55)が12日、前人未到のJRA通算4500勝を達成した。2位が2944勝だから、いかにすごい記録かが分かる。ゴールの瞬間、場内は大歓声に包まれた。ただ本人にとっては通過点のようで、今後の目標を問われると「次の1勝」と涼しい顔。地道さ、衰えない向上心は一流
遠い昔。愛称で「ガタ校」と呼ばれる苫小牧の高校に通っていた。歴史的建造物のような校舎の片隅で、17歳になったばかりの少年たちは、ある歌の詞に出てくる人物を語り合っていた。「あのじいさん」とは誰か。幾つか候補が挙がったが、どれも違うような気がした。 放浪の作詞家・岡本おさみさん(故人)が苫小
政治家と行政機関の結び付き、不思議にねじれた力関係は、外部からは本質が見えにくい。3月から北海道選出の長谷川岳参院議員と道庁、札幌市などとのあつれきが続いている。「威圧問題」と報道される力比べは大型連休後も続く。 報道によると、長谷川氏の威圧的な言動は秋元克広札幌市長が「改めていただけない
IT(情報技術)化の進展で、難しい言葉や地名、行ってみたいレストランなど分からないことはスマートフォンやパソコンで検索すれば、その答えはすぐ返ってくる。この便利の道具は、もう生活に欠かせなくなった。 ただ、物事を調べるためにクリックすると、出てくる情報に連動して「広告」が現れる。これまでは
相手の名前がなかなか思い出せない。そんな記憶障害のような症状に悩んだ経験をもつ人は意外に多い。「70歳が老化の分かれ道」の著者で精神科医の和田秀樹氏は、脳の老化を進めるものに「意欲の低下」があり、それが欠けると脳の機能維持が困難になると指摘している。 意欲の低下は脳内神経伝達物質セロトニン
こどもの日前日の4日夕、NHK総合テレビで「のぞみ5歳~手探りの子育て日記~」を見た。NHK金沢放送局が、親の反対を押し切って結婚した全盲の夫婦の子育てを5年間にわたって取材し、1986年度の文化庁芸術作品賞など多くの賞を受賞した。泣いてしまった。 泣いて主張を通そうとする長女に両親が言い
「こどもの日」のある5月は子どもの数が話題になり、今年も「子どもの人口、43年連続減少」と報道された。毎年、子どもは減っているのに、児童相談所(児相)に寄せられる虐待の相談件数は増え続けており、対応が行き届かなかったために失われた命まである。 そんなことになる背景には経験の浅い児相職員が多
「どの相手でも接戦に持ち込めた点は良かったが、そこから逆転につなげられなかったことは課題と思う」と言ったのは中島彰吾主将。4日の夜、イタリアで開かれていたアイスホッケー世界選手権ディビジョン1A(2部相当)最終のルーマニア戦を2―4で終えての所感だ。 パソコンを開き、国際連盟ウェブサイトの
今年も「クマの季節」が始まった。環境省の集計では2023年度のヒグマ捕獲数が過去最多を更新し1422頭となった。本州のツキノワグマの捕獲数7831頭も過去最多。計9253頭ものクマ類が1年で駆除されたことになる。国は「保護から管理」に方針を変える。 雪解けが進み、3月以降、札幌市内の住宅地
友達に足首をつかんでいてもらい、しゃがんだ体勢から「さあ、笠谷」の掛け声でぐっと伸び上がり、前傾姿勢を取る。最後に美しいテレマークを決め、「飛んだ、決まった」と叫ぶ。1972年、小学生だった。札幌冬季五輪の70メートル級ジャンプで金メダルを獲得した笠谷幸生さんのまねを、クラスの誰もがやっていた。先
せんだって通勤で苫小牧市内の路線バスに乗った。普段はもっぱら自動車で、いつ以来か思い出せないぐらい久しぶり。いざ利用しようと時刻表を見て、便数の少なさに改めて驚いた。居住地から中心部に向かうには、1時間に1本。これでもきっと、恵まれているのだろう。 同じ停留所から乗ったのは、自分を含めて3
サクラ開花、空港の混雑―。報道からの情報ばかりの春。玄関のチシマザクラ開花だけが実物。早く体を鍛えねば。 子どもが高校生の頃まで、年に2、3度は必ず、道南の漁村に住む義父母を訪ねていた。義母は次男が生まれた時、交代するように50代で急死した。義父も70代の前半にがんで亡くなった。わが家の3
大型連休直前の仕事休みの平日、絶好のドライブ日和になったことから胆振東部の町と日高方面に出向いた。 コンビニで買ったコーヒーを飲みながらのんびり走れば、桜の色がつきだした野山、伸び始めた沿道のフキ、水を引く田んぼ、緑色が鮮やかな小麦のほ場など景観が春全開で心が軽やかになる。目的である平取と
米国の調査会社ユーラシア・グループは1月、「ことしの世界の10大リスク」として「アメリカの分断」を筆頭に挙げた。11月の大統領選に向けた政治的分断が地政学的な不安定さを世界にもたらすと指摘。2番目のリスクはイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続く「中東情勢」、3番目は「ウクライナ情勢」で実際、そ
歌の旋律や詩の好き嫌いに関する年齢の壁は案外低い。1943年生まれの歌が大好きな数学者、藤原正彦さんの「美しい日本の言霊(ことだま) 歌謡曲から情緒が見える」(PHP新書)に教えられた。要は感性の問題なのだ―と。 第2次世界大戦末期から戦後間もなくに生まれた世代は戦争世代の親が歌う歌や、外
その人は駆け出し記者時代、こんな記事を書いた。〈○…「カゼをひかないよう、交通事故にあわないよう」との校長先生のお話もウワの空です。だってあすから夏休みですから○…ところでお天気ですが梅雨前線が弱まっているので梅雨はなし崩しに明け、二、三日後には本格的な夏が来るそうです
「書店の減少を食い止めろ」。4月9日の本紙文芸欄で、こんな見出しの記事が掲載された。全国的に街の書店が姿を消す中で、国がその対策に本腰を入れ始めたという。音頭を取っているのが経済産業省ということに多少の違和感は感じるものの、その成果に期待は高まる。 ただ、そうのんびりともしていられないのが
家人の操作する車いすに乗って大きな病院の中を移動することがある。つえを使っての歩行も可能だが、他の歩行者、特に速度の違う子どもとの衝突や転倒が怖い。名前を呼ばれ「ゆっくりでいいですよ」とは言ってくれるものの医師や看護師さんを待たせるのも申し訳ない。 夫婦、親子、祖父母と孫―。院内にはいろい
札幌、函館からサクラ開花の便りが届き、道内は本格的な春の観光シーズンを迎えた。昨季は苫小牧の病院5階の窓からはるか遠方のサクラを見るという無味乾燥な日々を過ごしただけに、今年は華やかに花を付けたサクラを間近に見るのを楽しみにしている。花びらが舞い、落桜花の道を歩くことができれば、曇った心も洗われる
無線で遠隔操縦し、飛行させる無人機ドローン。空撮などに利用され、当社でもまち全体の風景写真や打ち上げ花火の動画の撮影で使っている。 今年度はこのドローンの操縦時に高速通信規格「5G」の携帯電話回線が使用できるようになり、大容量データの高速送信が実現する。災害発生時には河川の氾濫や住宅被害の
平取町二風谷の萱野茂さん宅を訪ね、アイヌの歴史や文化のことを教えていただいたのは、40年ほども前のことだ。執筆や調査で忙しいのに、奥さんと一緒にいつも笑顔で迎え入れてくださった。 学者らが研究の名の下に、どんなふうに墓を荒らし、祖母たちの体に物差しを当てたのか。記憶は鮮明だった。サケ漁にま
スケートのまち苫小牧に住む記者として、一頃はアイスホッケーに励む小学生に数多く取材した。練習、そして試合と、氷上でパックを一心に追う様子をふいに見ると、いつも感動する自分に気付く。幼い頃にいつかトップリーグ選手になりたい思いを抱いた者として、今、夢を追い掛ける小さな姿を応援したくなる。 時
アルコール依存症の人の肝臓だけを治しても、また飲める体に戻すだけ。借金もギャンブル依存症の結果として必ず発生する合併症で、借金対策を考えるのではなく、本人が自分の問題を認め、治療を考えるべきだと専門医は指摘する。 米大リーグ大谷翔平選手の元通訳、水原一平容疑者が借金返済のため大谷選手の銀行
山高きが故に貴からず―。標高は、登山の目標を決める際の、上位の要素ではあるが、それがすべてではない。標高ばかりにこだわって低山を甘く見れば、危険は無限に大きくなる。少ない予算と時間の範囲で行き先を検討し、天候や体調を心配しながら過ごす出発の前が、登山の最も楽しい時間なのかもしれない。 手元
新型コロナが5類に移行してから、間もなく1年を迎える。苫小牧市内の観光入り込み客数や新千歳空港の旅客数など、人の動きを示す各種統計データはV字回復の傾向が顕著だ。コロナ前の日常を順調に取り戻しつつあるようだが、いまだ尾を引く場面にたびたび直面する。 「夜のまち」ではタクシーの稼働台数が目に
中東情勢が一段と悪化している。 13日、イランがイスラエル領土をミサイルなどで大規模に直接攻撃した。シリアのイラン大使館への攻撃に対する報復と主張している。ここに至るまで、互いに自国の行動を正当化したり、強い言葉でけん制し合ったりしていたが、遂に懸念されていた事態に及んでしまった。
2016年末で解散したアイドルグループSMAPをモチーフにした本「もう明日が待っている」(文芸春秋)が売れていると聞き、早速読んだ。放送作家としてメンバー5人が出演するバラエティー番組に長年携わった鈴木おさむ氏の最後の著書。小説という体で解散の舞台裏を描いており、SMAP、ジャニーズといったワード
うららかな春日和に気持ちよく吹く風。そして、雨上がりのきらきらした日差しを浴びて吹く風を「光風(こうふう)」と呼ぶのだそうだ。気温20度を超えた先日の札幌は、そんな風がビル街にも吹いた。長かった冬がようやく道を空け、幼い春がやって来たのが分かる。 昨年のこの時期を思い出している。全国唯一の
小学4年生の時に、男子の転校生が1人、やってきた。背丈は同じぐらいだったが、細い体は筋肉の塊で、相撲が強かった。担任の先生が「Y君は、青森県の五所川原という所から来ました」と紹介した。初めて聞く地名だった。地図帳を広げて地名を探し、場所を確かめた。 何の時だったか、お礼を言われたことを覚え