郵便屋さん
- 2024年6月19日
子どもの頃、話し掛けたり、掛けられたりする間柄の大人は、親類のおじやおばを除けば身近にはほんの数人しかいなかった。山村の子はそんな環境で安全を学んだ。1963年に東京で「吉展ちゃん誘拐殺人事件」が起きた。もう中学生だったが心得は変わらなかった。知らない人には注意。今もそれが自分や家族を守る最大の知
子どもの頃、話し掛けたり、掛けられたりする間柄の大人は、親類のおじやおばを除けば身近にはほんの数人しかいなかった。山村の子はそんな環境で安全を学んだ。1963年に東京で「吉展ちゃん誘拐殺人事件」が起きた。もう中学生だったが心得は変わらなかった。知らない人には注意。今もそれが自分や家族を守る最大の知
当コラムは決まった担当者の回り番になっている。記者はほぼ3週間ごとで、計画的に用意することもあれば、締め切り間近で焦ることもある。今回は後者。たった500字余りだが、書きたいことが浮かばず冗談半分、生成AI(人工知能)「チャットGPT」に頼ってみた。 「コラムが書けず困っています。代筆して
苫小牧の沿岸でヒラメが増えている。有料釣り施設として開放されている苫小牧港・東港の一本防波堤と周辺の海岸では昨年、釣り具店などが情報として提供するほどに釣れた。以前は、初夏にサクラマスを狙ったルアーでまれに掛かったという”うわさ”の域だったが、昨年はヒラメを狙って釣りをする
14日は各地で高温が続き、全国の16地点で猛暑日。京都市では35・9度を記録した。苫小牧市の最高気温は20・1度。雨こそ降らなかったが「寒い」と言われそうな「苫小牧晴れ」の一日だった。 35年前の1989年6月3日から4日にかけて、中国の首都北京の天安門広場に民主化を求めて集まった学生らが
飼い犬が家族を順位付けしているというのは迷信らしいが、人によって態度は変える。ペットが増え過ぎて管理できなくなる多頭飼育崩壊と呼ばれる状況から生後間もなく保護され、わが家にやって来た雌犬(来月で3歳)が最も懐いているのが妻なのは当初から変わらないが次は微妙。よく遊んでやり、深夜も用を足しに起きたら
お茶の水駅近くのビル。講堂で文芸講演会が開かれた。大半が女性客。講師の作家は「さて、何から話すべきか」と思案した。口を開こうとする瞬間、2階最前列の端に居る女性客に気付き、声が出なくなった。妻が来ていた。しかも、目と目が合った瞬間、妻は両手を頭の上と下に持ってきて、ふざけたしぐさで「シェー!」をし
卒業した炭坑の小学校にピアノはなかった。古い足踏み式のオルガンが1台あって、F先生の伴奏に合わせて「ほたるの光」や「仰げば尊し」を大声で歌っていた。生のピアノの音は中学校で初めて聴いた。楽器が大好きで憧れてはいたものの、一度も弾いたことはなかった。 先日のNHKテレビで「魂のピアニスト逝く
デフリンピック(デフ五輪)という競技を聞いたことがあるだろうか。恥ずかしながら、記者はごく最近になって知った。デフとは英語で「耳が聞こえない」という意味から、ろうあ者の五輪のことだ。しかも、その日本大会(夏季)が来年、東京を中心に初めて開催される。 デフ五輪は、健常者が競う五輪と同じ夏季と
6月は、3月期決算を終えた企業の株主総会が集中し、業績報告と同時に改選期を迎えた役員の選任も行われる。人口減少や少子高齢化、円安、物価高など経済社会が混迷を深める中、新リーダーに女性や若手を登用する企業も目立つ。最近の例では日本航空初の女性社長やユニクロ初の女性CEO誕生が知られる。 以前
パキパキ、ガサガサ―。林の中やササやぶで、枯れ落ちた枝や落ち葉を踏むと大きな音が遠くまで響く。20年ほど前の怖い体験を、反省とともに思い出す。 早朝に樽前山(1041メートル)の5合目から観光道線を歩き、ヒュッテの上まで往復した時のことだ。帰路、車まであと数百メートルの所で、自分の足音より
働くために行った異国で不当な扱いを受け、我慢をしかねて逃げ出した―。もし、そんな身内や友達がいたら、普通はその国に腹を立て、働いてみたい気持ちを失ってしまうだろう。 日本は1993年、途上国の外国人を受け入れ、働きながら知識や技能を習得させる外国人技能実習制度を導入した。しかし、実際は低賃
今年は大昭和製紙北海道が都市対抗野球で優勝してから50年に当たる。1974年に東京・後楽園球場で行われた第45回大会で遂げられた壮挙に白老町が沸き返り、本道の社会人野球ファンが歓喜した。大会優勝旗「黒獅子旗」が初めて津軽海峡を越えたのは8月。昭和から平成にかけて、「北の暴れん坊」「雑草軍団」の異名
高校生の頃だったろうか。友人の家へ泊まりがけで遊びに行き友達や先生のこと、異性のこと、互いの将来のことなどを空が白むまで話していた時期がある。力いっぱいおしゃべりな、思春期の男子の不思議な習性だったかもしれない。 政府がまとめた2024年版「高齢社会白書」の原案が先日、報道された。内閣府が
10年の月日をかけて、ようやく山が動きだす。苫小牧駅南口の旧商業施設「苫小牧駅前プラザエガオ」の一部土地を所有する大東開発と苫小牧市が再開発に向け協力することで、きょう合意する。 市が公表している「苫小牧駅周辺ビジョンに基づく基本構想」案によると、駅前再整備の想定区域は駅南口からエガオビル
体形の維持を兼ねて最近、歩く量を意識して増やしている。もともと犬を飼っていた約1年前まで、散歩を朝晩欠かしたことがなく、そこそこの運動量を確保していた。ペットロスを口実に散歩もやめ、負担は減ったが体もなまった。そんなわけで天気の良い日に限って、近所を黙々と早歩きするようになった。 平日は早
いまだに携帯電話はガラケーだ。中学生になった年長の孫は食事も勉強も開始時間が遅くなって、いつも母親に叱られている。スマートフォンを放さないからだ。母親に同情していたはずのわが配偶者も、スマホの軍門に降って久しい。 おばあちゃんのスマホには北海道から届いたタラバガニの脚を頭上に掲げて喜ぶ孫た
近ごろ見慣れない茶トラの猫が、近所の道路や家々の庭を行き来するようになった。わが家の庭にも姿を見せたが、建物周りの忌避材に気が付いたのか来たのは一度だけ。わが家には室内飼育の雄猫がいて以前、玄関扉などに突然スプレー行為を始めたことがあった。早くに去勢手術をし、成猫になってもなかった行為に戸惑ってい
「クーラーを見に来ました」「エアコン(のこと)ですか」「そうです」 先日、江別市の実家に取り付けるエアコンを探しに訪れた同市の家電量販店での店員とのやりとり。今は暖房機能も備えた機器が主流で「冷房だけのやつはほとんどないですよ」。冷やかし客と思われたか、ちょっと冷たかった。 昨夏、
日高山脈に生きる希少動物として知られるのはエゾナキウサギ。数万年前の氷河期の生き残りといわれる。甲高い声で「ピチッ」「ピーッ」と鳴く。初めて見たのは、山脈の主峰・幌尻岳(2052メートル)のピークから延びる稜線(りょうせん)を北へ進み、氷河が削った急斜面の踏み跡を降りた所に広がる七ツ沼カール(圏谷
雲が濃く、低く広がり始めて、生暖かい風の後で、冷たい風がどこからともなく吹いてくる。詩人の吉野弘さんの作品に「風が吹くと」がある。こんな詩だ。〈風が吹くと おじいさま お池の水にシワがたくさん 出来るのね…〉、〈風がやむと おじいさま お池の水の シワがきれいに 消えるのね&hell
道が導入を目指している法定外目的税の「宿泊税」をめぐる議論を注目したい。今月には苫小牧でも説明会が開かれたが、出席したホテル旅館組合からは反対の意見が寄せられた。道がこうした意見にどう向き合うのか、冷静に見極めたい。 今回の新税は「観光振興」が目的だ。計画によると、宿泊者から1人1泊100
「日高山脈襟裳十勝国立公園」が来月にも指定されることが決まった。1987年指定の日高山脈襟裳国定公園の面積を、陸域だけでほぼ倍の24万6千ヘクタールに拡大。名前に「十勝」を加えた、道内7カ所目、国内では35カ所目の国立公園。名称に十勝を加えることについて大詰めで自然保護団体が「観光優先ではないか」
若い頃はそれほど関心がなかった「歴史」というものに、少しだけ興味を持つようになった。ロシアがなぜウクライナに侵攻したのか、イスラエルとパレスチナ、武装組織ハマスとの関係をひもといていくと、幾星霜を重ねた事柄や争いに深く関わる人間の黒い部分が見えてくる。それは外国だけにとどまらない。 吉高由
食料自給率37%の日本。凶作や有事で輸入が途絶えれば窮地に陥る。そこで国は今年、重要な食料や物資が国内備蓄で不足しそうになった時、農産品などの生産者には増産を、商社やメーカーには計画的な出荷調整や輸入拡大を要請する法律を定める見通し。従わなければ罰金を課す厳しい内容に切迫感を覚える。 自給
千歳市が「国際空港のまち」の歴史を紹介する時、誇るように取り上げるのは「村民総出で滑走路を整備した」事実。飛行場整備と飛行機の着陸の経緯は1983年発行の増補千歳市史に詳しい。 小樽新聞社(当時)の北海1号機が千歳飛行場に初めて着陸したのは26(大正15)年10月22日。今から98年前のこ
〈新人立てり 立てり〉と駒大苫小牧。〈遠く狭霧(さぎり)につつまれて〉。これは苫小牧工業。苫小牧東なら〈勇払原野 末遠く〉。そして〈潮(うしお)とどろくわが校舎〉と鵡川。出だしだけなら、どれも歌えることを確かめた。 先週の15日に閉幕した第63回春季北海道高校野球大会室蘭支部予選をとましん
一ぴきのエーシャ牛が 草と地靄に角をこすってあそんでゐる―。1924(大正13)年5月21日、岩手県花巻農学校の教師だった宮沢賢治は修学旅行の引率で苫小牧を訪れた。その際、前浜の情景を詠んだ冒頭の詩「牛」は詩集「春と修羅 第2集」に収められた。 その1年半前、最愛の妹トシを亡くした賢治がつ
15日付の本紙などの中面に「高齢者の孤独死6・8万人」の見出しの記事。見出しは2~3段と大きくはないが、机上に切り抜きを置き何度も読み返した。 政府は昨年から、高齢者の孤独死、孤立死の実態調査に向けた作業を始めたそうだ。高齢化、少子化、人口の都市への集中、地方の過疎―。長く課題として挙げら
国道36号を車で苫小牧市から千歳市に走らせると、次世代半導体製造ラピダスの工場建設現場が、右手前方にいやがおうにも目に飛び込んでくる。工場の側面となる構造部分が姿を現し、クレーンが空高く伸びるように林立して周りを囲む。来年春の試作ライン稼働に向け、工事が急ピッチかつ順調に進んでいる。 先日
地域の古い物事を調べる場合、図書館は欠かせない。目的の資料が見つからないことも時にあるが、代わりに意図せず面白い本を発見できる楽しみもある。 先日、郷土資料室で目に留まったのが「絵をみてつくれる―北国の手づくり食品」。北海道農業改良普及協会が1982年に出版した。この春、遊びの達人の先輩か