五所川原
- 2024年4月10日
小学4年生の時に、男子の転校生が1人、やってきた。背丈は同じぐらいだったが、細い体は筋肉の塊で、相撲が強かった。担任の先生が「Y君は、青森県の五所川原という所から来ました」と紹介した。初めて聞く地名だった。地図帳を広げて地名を探し、場所を確かめた。 何の時だったか、お礼を言われたことを覚え
小学4年生の時に、男子の転校生が1人、やってきた。背丈は同じぐらいだったが、細い体は筋肉の塊で、相撲が強かった。担任の先生が「Y君は、青森県の五所川原という所から来ました」と紹介した。初めて聞く地名だった。地図帳を広げて地名を探し、場所を確かめた。 何の時だったか、お礼を言われたことを覚え
もう古里を離れてから何年がたったのだろう。時代をずっとさかのぼって、数えなければ分からないほど年月は過ぎた。それでも、幼い頃に見ていた山あいの町の風景は今でも目に浮かぶ。ちょうど坂道を下って町並みが見えると「帰ってきた」と安堵(あんど)感を覚えた。 幼少の頃は缶詰の工場が操業していたことも
昔見た映画「死ぬまでにしたい10のこと」は、若い母親ががんに侵され、担当医師から余命2、3カ月の宣告を受けたところから始まる。母親はそれを誰にも告げず、死ぬまでにやりたい10のことをリストにまとめ、一つ一つを実行していく感動物語。この映画が引き金になったかどうか詳細は不明だが、「○○までにやりたい
報道に携わる者が、取材や記事作成に当たって開く、一冊の本がある。本社の場合は提携している時事通信社の「用字用語ブック」だ。カタカナ語のまん延など言葉の乱れが指摘されるようになって久しいが、この本が、時に揺れ、迷う記者の感覚に、一本の筋を通してくれる。中でも「差別語・不快語」の項の書き出しは「基本的
春の訪れを告げる桜。北海道では下旬から徐々に咲き始めるよう。 道内でよく見られるのはエゾヤマザクラ。本州ではソメイヨシノで、終戦後に復興を願って植樹されたこともあり、大半の樹齢は約80年という。この木の寿命は60~80年なので、枯死を防ぐ早急な手入れや植え替えが必要になっている。
苫小牧軍団の落とせない勝負が今夕、始まろうとしている。アイスホッケーアジアリーグのプレーオフでレッドイーグルス北海道(REH)が第3戦に臨む。先に3勝したチームが覇権を握る。ホーム2連戦で韓国・HLアニャン(HL)に連敗を喫したチームだが、まず一矢を報いて敵地3連勝での大逆転を目指す。 プ
第170回直木賞受賞作、河崎秋子さんの「ともぐい」を、生まれ育った山村を思い出しながら読んだ。主人公の熊爪が村田銃を握り、猟犬と共にヒグマやエゾシカを追って生きた明治の道東が舞台だ。胆振の山あいにも、日当たりの悪い山裾の小さな小屋に独りで暮らす人がいた気がする。名前も顔も覚えていない。「獣を殺して
新年度が始まり、1日は各地で企業の入社式や役所の入庁式が行われた。きのうの「新社会人晴れやか」の記事で、出席者のほとんどがマスクをしていないのを見て時の流れを感じた。4年前は、間隔を大きく空けて置かれた椅子に、すべての新入社員がマスク姿で座っていた。 自らの通勤圏や苫小牧駅周辺では今もマス
新型コロナウイルス禍で暮らしや仕事の仕方などを変えた人は多いと思う。記者は以前も当コラムで書いたが、巣ごもりを心掛けた時期に、通信販売にはまった。きのうも福岡市博多区のもつ鍋と、岐阜産の甘口の地酒を堪能した。 自宅に居ながらにして、全国各地のグルメや地酒が届く。鮮度や温度が保てるクール便を
運転士不足などで昨秋運休した松山市の観光列車「坊っちゃん列車」が再開したという。夏目漱石の小説に登場し愛称となった蒸気機関車(SL)。明治から戦後まで走ったが、平成に伊予鉄道がディーゼル式で復元し復活させた。作品ゆかりの列車となれば漱石ファンでなくとも気になる。愛媛を訪ねる機会があれば乗るなり写真
原爆の父として知られる米国の科学者を取り上げた映画「オッペンハイマー」が公開前から話題だ。「インターステラー」やバットマンのダークナイトシリーズなどで映画ファンをとりこにしてきたクリスファー・ノーラン監督の最新作だけに、いやが上にも期待が高まる。 第2次世界大戦中、原爆開発のマンハッタン計
サケは卵からふ化した後、大海へ泳ぎ出る。そして3~4年後、体長1メートル近い親魚になって生まれ故郷の川へ遡上(そじょう)し、雌は卵を産み、雄は放精して命を終える。しかし、彼らがなぜ生命活動の頂点からほんの数日で、肌もひれもボロボロの「ほっちゃれ」になり、ヒグマやカラスなどの餌になるのか。日本遺伝学
この季節。春の歌を思い出す。シンガー・ソングライター、あいみょんの曲に「ハルノヒ」がある。こんな詞だ。〈北千住駅のプラットホーム 銀色の改札 思い出話と想い出ふかし 腰掛けたベンチで…〉、〈どんな未来が こちらを覗いているかな〉―。スピッツは名曲「チェリー」で〈君を忘れない 曲がりく
苫小牧市議会の3月定例会で、道内で初めての画期的な条例が成立した。「ヤングケアラー支援条例」だ。まだ、一般的ではないヤングケアラーという言葉だけにその成果は実感として湧かないが、子どもを支える一歩として意義深い。 ヤングケアラーとは、高齢であったり、慢性的な病気や障害を抱える家族の世話をし
少子化にどう対応するか―。そんなことを考えながら、春分の日の朝にNHK総合テレビ「限界集落住んでみた」を見た。岩手県岩泉町大川地区が舞台。300人以上の児童が居た大川小学校は3年前に閉校した。65歳以上が人口の5割を超えた限界集落にも、元気が見えた。 校舎は、閉校の年に用務員を務めていたお
子育ては難しい。二人の子どもを育てた経験から今も、こうした方がもっとよかったのでは、と考えることが山ほどある。年齢を重ねて膨らんだ知識は今となっては実践できる場がない。 少し前に「東大卒ママたちに教わる、『東大脳』を育てる3歳までの習慣」(東大卒ママの会著)を読んだ。この手のハウツー本は、
児童生徒数が減ったために閉校や統合され、学校として使われなくなった施設が増えている。文部科学省の調査では全国に約7400施設あり、大抵は何かに利用されているが、用途の決まっていないものも2割ほどある。 利用された廃校舎は、学校のイメージもあって、主に社会教育、文化芸術、交流の場として使われ
少しは自身の防災の演習になるだろうかと思い、2カ月ほど前、キャンプに出掛けた。1月に冬山登山などをしたことはないし、寒中のテントで眠れるかと案じながらも、意思と共に体が動いた。この筋で練達の友が誘ってくれたからだ。 事前の助言によると上下の肌着は羊毛を使った製品が好適で寝袋は氷点下18度ま
「うそ偽りなく丁寧に説明したい」。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、下村博文元政調会長が衆院政治倫理審査会への出席を自ら申し出て、こう述べた。岸田文雄首相も「丁寧に説明をすることが重要だ」と繰り返してきた裏金事件。本日午後、下村氏がどこまで説明するか分からないが、これまでの政倫審で真相に近
顧客や利用者が、店員や職員に威圧的な言動を繰り返すカスタマーハラスメント(カスハラ)が問題になって久しい。大声で同じ苦情を長時間繰り返したり、社長を出せと騒いだり。官庁の窓口でも対策に悩んでいる―との報道がある。 大声だけでなく、時代とともに手口が変わる。最近は携帯電話で担当者の写真を撮っ
日中のプラス気温が当たり前のようになり、春を思わせる陽気に包まれる日も多くなった。年度末に向けて企業や官公庁などで、人事異動の内示が行われている。取材先でもあいさつする機会が増えているが、何年か付き合いがあったにもかかわらず、初めて会ったかのような感覚に襲われることもある。新型コロナウイルス禍にマ
説明責任というと、昨今はもっぱら政治家に厳しく求められる事例が多いが、そもそもは権限を行使する者が利害関係者にその内容や結果を報告する必要があるとの考え方をいう。経営者なら主に株主や従業員、政府や政治家ならば国民や有権者、自治体ならば住民などに対して負う。経営者は債権者、消費者も含むなど、利害関係
大阪府警が中学生3人を強盗致死容疑などで逮捕した―との8日の新聞、テレビの報道に驚かされた。記事の脇見出しは「SNSで美人局」。美人局には記事の後段で「つつもたせ」の振り仮名が付いた。しかし「中学生がつつもたせ?」という疑問の闇は深いまま。今、中学生は、どんな世界に住んでいるのか―。 報道
国民的アニメ「ちびまる子ちゃん」の主人公、まる子を演じてきた声優のTARAKOさんが4日死去した。前日にはドラゴンボールを手掛けた漫画家鳥山明さんの訃報に接し、ファンはいまだ心が追い付いていかない。 「記憶力、観察力、構成力、そして何より大切なセンスが素晴らしいのだと思います。少年誌などで
その人は当時14歳の少年だった。午前0時を何分か回ったところで、空襲警報が鳴り響いた。B29が低空飛行で次々に東京に侵入してきた。そして焼夷(しょうい)弾を次から次へと落とす。火に囲まれて逃げている最中、東へ行くか、西へ向かうかで迷った。東を選んで荒川の支流の中川へ飛び込んで助かった。少しでも元気
3月11日午後2時46分―。東北地方太平洋沖地震の発生日時を覚えている。地震や津波を含む全体の災害名は東日本大震災。彼岸が近づき、13年前の3月も日増しに暖かくなっていたはず。しかし金曜日の午後に、大きな揺れが関東以北を襲った。どす黒い津波が東北の沿岸に襲い掛かる様子が、テレビ画面に繰り返し映され
やはりふに落ちないし、納得もできない。多くの人がそう思っているのではないか。自民党派閥のパーティー裏金問題だ。衆院政治倫理審査会は開かれたものの、裏金の使途ははっきりしないし、解明されずに残った疑問点は多い。 40年以上も前に旅客機の受注をめぐる世界的な汚職を背景につくられた「政治倫理綱領
一日の気温の寒暖差を予測する気象用語に数字の語呂合わせでお見事(0・3・5・10)がある。雪の日は0度、雨の日は3度、曇りの日は5度、晴れの日は10度の差があるという。地域によって差が表れるようだが、3月に入ってからの苫小牧は、この「お見事」が程よく当てはまる。今朝も寒かった。 11月に本
数千キロを南下して冬を越し、春にまた子育ての土地へ北上する渡り鳥の隊列や声に感動するのはなぜだろう。白鳥やガンが、隊列からはぐれないよう針路を教え合ったり、励ますように鳴き交わす声は毎年、季節になれば、苫小牧市西部の住宅地にも空高くから聞こえてくる。 「クエックエッ」「コーコー」という声を
病や発作で誰にもみとられずに自宅で1人で亡くなる「孤独死」。生前に身内や近所と付き合っていれば「孤独死」、人との交流がなければ「孤立死」という分け方もあるよう。いずれにせよ一人暮らしなら何歳の人にも起こり得る。 悩みや苦しみを抱え、自分の命を自ら断って亡くなる人もいる。いじめが原因で自死し