日本中央競馬会(JRA)の騎手・武豊さん(55)が12日、前人未到のJRA通算4500勝を達成した。2位が2944勝だから、いかにすごい記録かが分かる。ゴールの瞬間、場内は大歓声に包まれた。ただ本人にとっては通過点のようで、今後の目標を問われると「次の1勝」と涼しい顔。地道さ、衰えない向上心は一流アスリートに共通する資質だ。
昭和後期から第一線を走ってきた競馬界の生ける伝説。全盛期のお手馬との騎乗は神懸かっていた。背中と馬体が水平な騎乗フォームは美しく、ほれぼれする。初めて府中競馬場で買った馬券は武さん鞍上の単勝だったのを思い出す。
落馬負傷後、不振にあえぎ「直線での馬の追い方が古い」とたたかれた時期もあったが丁寧な手綱さばきで最大限馬を動かすのが持ち味。見た目の激しさこそないが好位置につけてからの抜け出し、逃げ、後方一気はいずれも豪快だ。
現役生活38年目に突入。体形を維持し活躍し続ける姿に勇気をもらっており人気馬を飛ばしても「次こそ」と応援したくなる。今後はG1のオークス(19日、東京)やダービー(26日、同)に出走予定。最近は地方交流重賞でも勝ち星を重ね、目が離せない。ぜひまた、門別競馬場でも勇姿を見せてほしい。(輝)