岸田内閣の支持率が下げ止まらない。時事通信が今月上旬に行った世論調査は前月比0・9ポイント減の15・5%。自民党がかつて民主党に政権を渡し、復帰した2012年12月以降最も低い数字という。不支持率は前月比1・4ポイント増の58・4%に上った。理由は「期待が持てない」「首相を信頼できない」が合わせて6割。全体の39・3%が政権交代を望んだ。
裏金事件が発覚して以降、衆院補欠選挙や首長選挙で負けが込んでいた自民党の中には、黒子の支援でも都知事選で小池百合子氏が圧勝したことで、「今後の選挙にも弾みになる」と発言した幹部がいた。が、同時に行われた都議補選は2勝6敗と沈み、実際は崖っ縁にいると思い知った国会議員は多いに違いない。
そこで焦点は秋の総裁選に移る。支持率の低さにおののく同党の議員からすれば「選挙に勝てる顔」選びだ。見慣れた面々も思惑絡みの言動を始めている。だが党の顔が変われば情勢は変わるだろうか。そもそも派閥を解散しようが、形ばかり規正法を改正しようが、事件の区切りはならない。政治不信、逆風の根にある真相解明と説明の責任を当事者に果たさせないまま、支持率の責めを追わせて顔をすげ替えて次のステージに移ろうとしているようにしか見えないが。(司)