米大統領選のテレビ討論会の報道に触れて印象に残ったのは、81歳の現職バイデン氏の健康状態。声はかすれ、言葉に詰まる場面があった。これまでも公務中にぼんやりとしたり、転倒したり。不安は否めない。民主党支持者を含め、世論に撤退を求める声が上がっている。
一方のトランプ氏は年齢こそバイデン氏と三つしか違わないが、エネルギッシュでギラついている。相変わらず一方的で挑発的で口が悪い。だが、選挙結果を受け入れず支持者集団による連邦議会襲撃の端緒をつくったり、米大統領として初めて刑事事件で起訴された人だ。民主主義や法をないがしろにする人物が権力を掌握することになるなら恐ろしい。
民主主義うんぬんと書いて、転じてつながったのは先の衆議院東京15区補欠選挙での「つばさの党」の事件と、真っ最中の東京都知事選の掲示板などの混乱ぶりだ。適正に行われるべき選挙や運動を妨害する行為はあってはならないし糾弾されて当然だ。最小限のルール見直しは必要かもしれない。
ただ、選挙において最も深刻なのは著しく低い投票率だ。有権者の無関心はこうした問題を生む遠因になってはいないか。低投票率に歯止めがかからない点で民主主義は足元で揺らいでいる。(司)