白老 「てんぞう」

 

町内から望む山々などを描いた巨大壁画も楽しめる内装店主のこだわりが光る一品 暦の上では春となり、そばを選ぶのも温かいそばか、冷たいそばか迷うときがあるかもしれない。そんなときは「鴨せいろ」(1400円)がいい。せいろに盛られた冷たいそばをたぐり、あぶったネギと柔らかい鴨肉の入った熱い汁につけていただく。

 

 そばの香りが湯気に触れ、肉のだしが効いて、あっさりしながら奥深い汁が口の中で広がる。「店で一番こだわった一品」と語るのは、主人の富田英介さん(39)。妻のあゆみさん(38)と昨年11月、手打ちそば店「てんぞう」を開業した。店名は禅宗寺院で修行僧の食事などを担う「典座(てんぞ)」にちなむ。

 

 そばは、空知管内沼田町産の粉をブレンド。粉10につなぎ2の割合の「外二(そとに)」と呼ばれる生地を使う。歯応えに加え、喉越しを堪能してもらおうと麺の細さを工夫するなど研究に余念がない。

 

 鴨肉を柔らかくし、臭みを取る下処理では、自家製の調味料を使うこだわりよう。汁に用いる調味料も添加物や防腐剤などがなるべく入っていない安全、安心なものを選んでいる。「地域の人に愛される店でありたい」と英介さんは笑う。

 

 営業日の午後4時から閉店まで、子ども1人につき月1回そばを無料にする子ども食堂を展開中。

 

 白老町本町1の9の33。営業は午前11時から午後7時まで。毎週水・日曜、祝日定休。3、4日は臨時休業。カウンター3、テーブル16、小上がり8の計27席。駐車場約10台。携帯電話050(3395)6140。