怒鳴り散らす

怒鳴り散らす

 数カ月前、JR苫小牧駅の改札で中年男性が怒鳴り散らしているのを見た。あまりの大声と暴言の勢いで、一体何が原因で怒っているのかさえ分からない。駅員は立ちすくみ、怒声は途切れることがない。警察に通報するしかないのではと思いながら、手助けするすべもなく通り過ぎてしまった。

   JR北海道は9月、「カスタマーハラスメント(カスハラ)に対する方針」を公表した。道議会でも26日、道カスタマーハラスメント防止条例が成立し、都道府県では東京に次いで2番目の制定となった。来年4月1日から施行される。

   カスハラは顧客が脅迫や暴言、理不尽な要求、執拗(しつよう)なクレームなどを突き付ける行為。初めて道外で暮らすことになった約40年前、駅員や空港スタッフに食ってかかっている人を見ると「道産子はあまりこんなことはしない。大雪で飛行機が欠航するのは仕方の無いことで、スタッフを攻撃したって飛ぶわけじゃない」と心の中で思っていた。

   だがやはり、条例が必要なくらいカスハラは存在するのだろう。正当な苦情との線引きは難しく、罰則もない理念条例のため、どう実効性を保つかが問題だ。駅で見たあの男性に同じ行為をさせないために何ができるか考えたい。(吉)