感謝

感謝

 「ありがとう」。最も美しい日本語といわれる感謝の言葉が7日夜、成田空港の到着ロビーに響いた。サッカーのワールドカップ・カタール大会を戦った日本代表チームに用意された感謝の世界だ。

   大会は8チームによる準々決勝が始まった。最多優勝を誇るブラジルが延長、PK戦の末、クロアチアに敗れる波乱だ。

   日本は8強は逃したもののドイツを下すなど大健闘した。ただし自分は時差に体力を削られてしまった。子どもの1人はサッカー少年だった。今は孫2人がボールを追っている。1人は今年、チームの表彰を受けた。彼は、わが家初めてのW杯代表候補かもしれない。大会前に試合日程を見ると立ちはだかったのは時差の壁だ。地方新聞に勤務し海外での取材経験は数回だけ。経度15度につき1時間の時差があり、カタールは日本から6時間遅れで同じ時刻を迎える計算になる。日本チームの試合開始時間は午前0時だったり午前4時だったり。寝不足の苦手な高齢者にはつらい時間だ。

   結局、テレビの実況中継は諦めた。サッカーの布陣、上質なパスやシュート、キーパーの守備には、繰り返し見られる味わいがある。見ていれば、いろいろなものが見えてくる。ドイツ戦の勝利では悲劇が歓喜に変わった。スペイン戦後には遠くない時期の8強入りも見えた。

   帰国した監督や主将の今後を見据えたあいさつも素晴らしかった。最大の敬意を込めて「ありがとうございました」。(水)