当選番号

当選番号

 年明け、携帯電話にメールが届いた。「今年もよろしくお願いします」。20年以上前の職場の同僚からだ。年賀状ももらっていた。こちらからのはまだ届いていないようで、すぐに返信した。「頂いてから書いたので、遅くなってすみません」。すると「いつもは元日に届いていたので心配しましたよ」。年賀状に加えてメールも来た理由が分かった。

   確かにここ数十年、忙しくても元日に着くよう、なんとか差し出し期限を守って年賀状を出してきた。しかし今年は気力がついていかず、来た人に出せばいいか―と自分を甘やかしたところ、冒頭のような結果になってしまった。

   15日はお年玉付き年賀はがきの抽選日だった。今年、1950年から70年以上も続いた抽選会の公開セレモニーがなくなった。年賀状の発行枚数が減少の一途をたどり、抽選会の注目度も下がったためとされる。子どもの頃は、テレビ中継を見て当選番号を書き留め、一枚一枚はがきを調べた。今は午後1時すぎにはもうスマホで見られ、セレモニーがなくなっても何ら支障はない。けれども、また一つ、紙にまつわる文化の衰退を突き付けられたようで、複雑な気持ちになる。来年はまたちゃんと元日に着くように出そう、と今は思っている。(吉)