着脱

着脱

 朝焼けに包まれた苫小牧港に、幻想的なけあらしが立ち込めた。きのうの最低気温は氷点下17・2度。カメラを持つ手もかじかんだが、美しい光景に思わず見とれた。米艦船が9年ぶりに入港した。

   記者は市民団体などの抗議活動を取材したが、マスクを着けるか、否かでちょっと迷った。極寒の屋外だったため、最初はマスクを外し、横断幕を掲げる参加者に近寄ったが、全員が当然のようにマスク姿。慌てて車に戻り、マスクを着けたが、眼鏡が曇ってやるせなかった。

   新型コロナウイルス感染症にうつるのも、うつすのも嫌で、マスク生活を徹底していたつもりだった。マスク着用の判断理由として、他人の目が気になることも大きいと、改めて思い知った。不特定多数の人と会う仕事柄にもかかわらず、これまでコロナもインフルエンザも無縁だが、きっと周りが全員マスクを外したら、自分も右へ倣えで外すだろう。

   政府はコロナを感染症法上、5月8日に「2類相当」から「5類」に引き下げる。マスク着用も個人の判断に委ねるルール緩和を早期に示す方針だが、現在も屋外では原則不要、屋内でも「お願い」が基本の推奨と、個人が判断できる内容だったはず。マスクの着脱一つで国民性も問われている気がする。(金)