鬼は内

鬼は内

 自分の価値観や行動を判断する時の基準は、家族や友人など極めて狭い人間関係の中で形づくられている気がする。

   この数日、報道に考えさせられ落ち着かない。関東や中国地方で広域的な強盗事件を起こしたグループの主犯格4人のうち3人が北海道出身者だと報道されている。収容中のフィリピンの入管施設から日本への送還時期が注目されているが自分の関心は、北海道の変化だ。道産子は法を犯さない―などとは思わないが、それにしても数が多い。親、幼なじみや級友たちが新聞やテレビで繰り返している。「何があったんだろう」「信じられない」。テレビ画面に繰り返し映し出される、ひげを残した中年太りの友人と、記憶との落差に戸惑っているようだ。個人的な関わりはないが、友人たちと同じく「なぜ?」という疑問が消えない。

   殺人や強盗など凶悪な犯罪が増えている。犯罪の世界への入り口は増え、大きくなっている。主犯たちは聞き慣れた札幌の繁華街で出会い、強盗の実行犯たちはスマートフォンやパソコンを使えば高校生でも簡単に接続できるインターネットの世界で募集されていたそうだ。人口減少の中で故郷は何を失ったのか、考えさせられる。鬼たちはもう追い出しの難しい心の奥深くまで入り込んだか。(水)