スポーツと平和の祭典、パリ五輪は26日(現地時間)の開会式を前に、サッカーや7人制ラグビーなどの一部競技が始まった。パリでの五輪開催は100年ぶり。8月11日までの17日間、32競技・329種目で世界の精鋭約1万人が鍛え抜いた技を競う。日本からは、海外開催では最多の400人超が参加する。
世界を恐怖に包んだコロナ禍が下火となり、有観客での開催は2大会ぶり。東京大会から3年ぶりだが、この間に世界情勢は大きく変わった。最大の出来事は2022年3月のロシアによるウクライナ侵攻だ。双方に多くの犠牲者を出し、間もなく2年半になろうというのに停戦の見通しがまったく立っていない。
パレスチナの武装組織ハマスの先制攻撃で始まったイスラエルとの戦争も、ハマスせん滅を掲げるイスラエル軍の過剰な攻撃が止まらない。二つの戦争が不幸なのは、子どもや女性を含め多くの民間人が巻き添えになっていることだ。
この3年間で、いったん戦争が始まれば簡単には終結しないということを学んだ。戦いがより激しくなれば国家間のルールもなくなり、勝っても負けても結果は惨禍しかないということを知った。
パリ五輪を機に世界で「平和」「共存」の言葉が再認識されるよう願う。(教)