秋を迎える

秋を迎える

 今年の日本の最高気温は7月29日に栃木県佐野市で観測された40度。先日、自宅の風呂に入り目の前の湯温計の数値を見て、ふと考えた。数字は「40」。その温度の液体に体表をつけているのと、その温度の空気の中で過ごすのでは、感じ方が違うだろう。腕を湯船から出し入れし、その熱さ、暑さの差に驚いた。「亜熱帯の日本」をしっかり想像できた。

   3日付の本欄で「危険な暑さ」への注意を呼び掛けた。新聞だけでなくテレビでも、今夏の猛烈な暑さが各地の農作物を痛め付けている話題が増えている。40度前後の高温に表皮が焼かれて変色し、しわの寄ってしまったブドウやブルーベリーをテレビで見た。「味は甘い」とは紹介されても商品価値の低下は生産農家にとっては大問題。ぐったりしなびたり葉が塊になりきれない葉物野菜類も同じだろう。味はともかく、まずは見た目で価格を決めることが多いのが市場だ。

   コメの品薄感が都市部を中心に広がっているそうだ。高温は古くからコメの食味の敵。昨年の高温ではコメ粒が白濁する品質低下も目立ち、流通量が少なめになっていた。9月の新米出荷開始を前に一部のスーパーでは購入量の制限をするところも出始めたとか。おいしく、爽やかな秋を迎えたい。今日は立秋。(水)