ビッグニュースは、帰宅中の車の中で聞いた。NHKラジオのニュース速報で、今年のノーベル平和賞に日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が選ばれたことをアナウンサーが伝えた。受賞理由は、被爆者の立場から核兵器のない世界実現への努力と、核兵器が二度と使用されてはならないことを証言によって示してきたことという。発足から68年間の地道な活動が実った瞬間だ。
今年のノーベル賞は、7日の生理学・医学賞を最初として物理学賞、化学賞、文学賞が連日発表された。何人かの日本人もこれらの候補に挙がっていたが、受賞には至らず、今年は選外かと諦めかけていたところでの受賞。日本被団協の名前に思わず「おっー」と声を上げた。世界で紛争が頻発し、一部では核兵器を振りかざす暴挙も見られる中、世界に警鐘を鳴らす価値ある受賞となった。
新人記者の時、今も鮮明に記憶に残っているのは1982年の国連軍縮特別総会で日本被団協代表委員だった山口仙二さんの演説。最後に「ノーモアヒロシマ、ノーモアナガサキ、ノーモアウオー、ノーモアヒバクシャ」と声を張り上げ、両手を広げて世界に核廃絶と軍縮を訴えた。その力強い演説に鳥肌が立った。今こそ胸に刻みたい箴言(しんげん)だ。(教)