子どもにせがまれて同じ絵本を何度も読んだ経験のある人は多いはず。読み聞かせるつもりが物語の中に入り込み、子どもを放り出して泣いたり怒ったり。
最も記憶に残っている絵本は山口勇子原作「おこりじぞう」か。広島に原爆が投下された朝の物語。いつも笑顔で元気に登校していた子どもが、その朝、血まみれになってじぞうに「水を下さい」。涙を搾って与えたじぞうの笑顔が、やがて怒りの表情に変わった―。図書館に返却後、書店で見つけて購入した。製本の糸は緩んだがわが家の本箱の宝物だ。
先日、はせがわゆうじ作「もうじきたべられるぼく」(中央公論新社)を新聞の広告で見つけ、購入した。「ぼくはうしだから もうじきたべられるのだそうだ」で始まる、2022年8月出版の30ページほどの本。菜食が中心だった時代の正月近く、急にいなくなったブタを思い出しながら絵本を見て家畜の命のはかなさや親子の情愛が胸に迫ってきた。
第50回衆院選がきのう、公示された。政治とカネの見直しなどが争点。ウクライナやイスラエルでは悲惨な戦闘。中国は台湾の周囲で突然の軍事演習。北朝鮮は韓国との接続道路を爆破。核戦争の不安も広まる。「流されない 私は読んで 考える」。新聞週間の代表標語。(水)