暴力

暴力

 暴力の経験は、加害も被害も少ない。高校生の頃に柔道のまね事をしたが技以前、準備運動の水準だ。受け身が攻撃の役に立たないことは、自覚している。

   東京や千葉、埼玉、神奈川など首都圏で8月末以降、高齢者や女性宅を狙った強盗などの凶悪事件が続発している。犯人は複数で、実行役が首謀者と電話で連絡を取りながら被害者宅を深夜や未明に襲う。殴る蹴るの暴行、ガムテープなどで手足を縛り上げて現場で殺したり、遠くへ連れ去った後、さらに暴行された被害者もいる。悲鳴や大出血。想像するのも恐ろしい光景が寝室などに広がる。

   道内でも同じ構図の事件の発生が確認され若者が逮捕された。首謀者は、お金に困っている実行役をインターネットで「闇バイト」として募集、その過程で入手した家族の情報を基に実行役を脅し、仮に犯罪の恐ろしさに気付いても、抜け出せないように仕組んでいるそうだ。

   戦争の増える星に住み、多くの人が暴力や戦火の広がりに慣れていく。地方の高齢化が猛速で進んでいる。高齢世代だけが残って老朽化した新興住宅地は開発前と同じ草木に覆われていく。窓ガラスの補強や施錠の強化、防犯カメラの設置など防犯対策を急がねば。加害者にならない警戒心の強化とどちらが先ー。(水)