少子化

少子化

 先日のNHKテレビで、来春からの統合が決まっている根室管内の酪農の町の小学校と中学校、幼稚園の閉校・閉園式典の様子が紹介されていた。地域で子育てをしてきた人たちが、残り少なくなった在校生と一緒に、涙を浮かべて校歌や園歌を歌っていた。今年も北海道に、寂しい「閉校式の季節」がやってきた。

   北海道には、この1世紀ほどの間に何種類もの荒波が押し寄せ、道民の心に大きな傷を残した。道がこのほど集計した「北海道の人口減少などに関する意識調査」によると、2024年度は71・1%の道民が、住んでいる市町村の人口減少に危機感を持っていると答えたそうだ。23年度の72%は下回ったものの、それでも道民の7割が抱く不安の大きさ―。

   私的な経験でいえば、ほんの数カ月で学校も住宅も友も消える「炭坑の閉山」を経験した。炭住街や近隣の農村部まで響いていた時報のサイレンが、年度末になると突然、夢の中に響き渡るのだ。

   厚生労働省の人口動態統計によると今年1年に生まれる赤ちゃんの数が、初めて70万人を割り込みそうだという。1970年代の中盤には戦後の団塊の世代の子どもが、200万人以上も生まれていた。「次元の異なる少子化対策」の最後の機会を新政権はつかめるのか。(水)