苫小牧市議会の第14回定例会が19日開会し、定例会の代表質問で与党系最大会派「新緑」の質問と答弁を市がセットで作っていた問題を受け、金澤俊市長が行政報告を行った。金澤市長は「このたびの一連の行為は不適切で、二元代表制を毀損(きそん)する行為に当たると考え、反省している」と陳謝。「市民の皆さまにご心配をお掛けしたことをおわび申し上げ、市と市議会の二元代表制の下、緊張感を保ちながら適切な行政運営を推進していく」と述べた。
市が新緑に対して他会派より先に情報を提供した点について、金澤市長は「基本方針や市政方針では表現し切れない施策の内容や詳細を、市議会で質問していただき、答弁で説明することで、市の考えについて議員や市民の皆さまに理解を深めていただくことを意図した。最初に代表質問する新緑に提供してきた」と説明した。
その上で少なくとも2013年から続け、徐々に行きすぎた内容になったことを踏まえ、「直ちに二元代表制を毀損(きそん)する行為という認識ではなかったが、この間のご意見を踏まえると、市としても認識を新たにしなければならない」と強調した。
また、情報が漏えいしたとして行った内部調査の結果については、「印刷した紙資料により提供されたと推測される以上の事実の判明には至らなかった」と説明。公益通報者保護法に規定する通報対象事実の要件を満たさず、外部通報に該当しないと判断した。
ただ、職員に対しては「本市の公益通報制度における内部通報の仕組みの再認識を図るとともに、情報管理に関して、関係規定の順守と情報の適正な取り扱いを職員に再確認を徹底し、組織内部の自浄作用と職員の規範意識を高める」と述べた。
市が質問と答弁を作成していた問題を巡っては、市議会が5月2日に是正を求める要望書を市に提出し、同12日に「市民から信頼される議会を目指す決議」を全会一致で可決。同16日に市は▽特定の会派に優先して情報提供を行わない▽市が質問を作成し、議員に渡す行為を行わない▽二元代表制を毀損する行為は行わない―と記した回答書を市議会に提出していた。
定例会の会期は27日まで。