• 旬に思う
    旬に思う

       今年初めて挑戦した室内栽培のミニトマトは最近、熟すのがゆっくりだ。日照時間が減り、室内でも窓辺の温度は低い。勢いがあった液肥の消費量が随分少なくなった。枝には花も実もまだ結構付いている。室内だといつまで収穫できるだろう。飽きずに毎日、もぎたてを食べている。  秋は多くのものが旬を迎える。東胆

    • 2020年10月22日
  • まさか
    まさか

       19日朝、石川県加賀市の複合商業施設にツキノワグマ1頭が現れて建物に侵入し来店者や従業員が駐車場に避難した。まさかと思った。  侵入したクマは午後9時すぎに猟友会によって射殺された。石川県では今年、クマの出没情報が相次ぎ、10年ぶりに警戒情報が発令されていた。県内では16日から3日間で8人が

    • 2020年10月21日
  • 座持ち
    座持ち

       「朗らかで実に座持ちがいい」  戦後日本を代表するジャーナリストの一人として知られる本田靖春さんについて、親交があった人たちは口々にそう語る。新聞記者を経て、フリーのノンフィクション作家として活躍した本田さんは2004年に71歳で亡くなるまで幅広い分野で綿密な取材活動を重ね、多数の力作を残し

    • 2020年10月20日
  • 木綿のハンカチーフ
    木綿のハンカチーフ

       その人は当時、国立競技場に近いマンションで暮らしていた。日本のロックバンドの草分け的存在・はっぴいえんどでドラムをたたいていた松本隆さんは、作詞家に転向することを決め、その部屋を訪ねた。そして自身が手掛けた南佳孝さんの「摩天楼のヒロイン」を聴いてもらった。すると、その人はこうつぶやいたという。「こ

    • 2020年10月19日
  • 風圧
    風圧

       日本語は、新型コロナウイルスのような、飛沫(ひまつ)感染に強いようだ。中公新書「感染症・増補版」では、実験を紹介している。  実験で確かめたのは「しゃべり風圧」。「日本語には有気音がないので口からの風圧が低く飛沫が遠くまで飛びにくい」という仮説を立て測定装置を作った。日本語の小説と、英語と中

    • 2020年10月17日
  • 安全意識
    安全意識

       安全装備が充実―。そんな売り出し文句で続々と新車が市中に投入されている。車線維持走行や自動ブレーキ、急発進防止装置など高度な運転支援機能を搭載。ハンドルを持たずとも安全に走行してくれる自動運転車も登場しており、自動車メーカー各社の事故抑止に対する強い思いを感じる。  車の安全性が大きく変化を

    • 2020年10月16日
  • 免疫力
    免疫力

       14日付の日経新聞道内版に、空知管内沼田町が全1500世帯に特産の「雪中米」と呼ばれる新米10キロ、またはトマトジュース30本とトマトケチャップ1本の詰め合わせのいずれかを11月中にも無料配布するとの記事があった。  東京農業大の渡辺昌客員教授らが発表した、米食が新型コロナウイルスの感染を抑

    • 2020年10月15日
  • 石炭
    石炭

       天気予報から積雪や凍結という言葉が聞こえる。朝、ストーブのスイッチを押して思う。石炭を知っているのは、何歳以上の人だろう。  石炭は明治期から採掘が進み産業を支えた。しかし熱源は変わり、家庭の暖房の主役も灯油になった。炭鉱は次々に閉山し石炭も、着火手順や技術も、若い人はもう知らないだろう。

    • 2020年10月14日
  • 食事
    食事

       食事を家で作って食べることが、新型コロナウイルスの流行による影響で増えている。食の事業を展開するアイランド(東京)などが今春約1000人に調査し、7割が「自宅で料理をする頻度が増えた」と回答したことでも明らかだ。増えた料理については「短時間で作れる料理」と答えた人が5割で最も多かった。  当

    • 2020年10月13日
  • シーズン到来
    シーズン到来

       日本最初のアイスホッケー公式戦は1923年12月、札幌であった北大本科と予科の試合という。翌年1月には第1回全道中等学校氷上競技選手権大会も開かれた。  その参加チームは札幌一中、札幌二中、札幌師範、北海中学、札幌工業など。スケート史を扱った数々の書籍の記述や札幌アイスホッケー連盟の公式ホー

    • 2020年10月12日
  • 点検
    点検

       後志管内寿都町の市街地は寿都湾の西岸に広がる。タケノコの多い月越原野が近い。こぢんまりとした町で何度か通過したことがある。  人口は約2900人。その寿都町の町長が8月中旬、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)最終処分地の選定につながる文献調査への応募の可能性を表明。近隣町村だけでなく、道も巻き

    • 2020年10月10日
  • 調査
    調査

       35年前を思い出す。1985年11月23日、高レベル放射性廃棄物研究・貯蔵施設(貯蔵工学センター)の建設が予定されていた宗谷管内幌延町で、当時の動力炉・核燃料開発事業団(動燃)が抜き打ちで立地環境調査に着手した。本紙記事によると、調査団は午前3時半に現地入りしたため、監視態勢を取っていた反対派の住

    • 2020年10月9日
  • 三つの文化
    三つの文化

       一つの列島、二つの国家、三つの文化―。民族学の研究者が専門誌の文章で日本の成り立ちや文化要素の説明に用いた言葉に、なるほどと思った。一つの列島とは、文字通り日本列島のこと。二つの国家は、天皇を中心とした日本国家と、明治初期まであった琉球王国。三つの文化とは、アイヌ文化と日本文化、琉球文化を指す。列

    • 2020年10月8日
  • 移住
    移住

       中学の卒業式の記念品は印鑑だった。いわゆる三文判。まだ就職者の多かった時代だ。実社会に出る者には、必需品だったに違いない。  贈り主はPTAだろうか。木製の印鑑は印面が長円形で、文字は姓だけ。あの時に自分たちは「はんこ社会」の住民になった。「大切な物だから、無くするな」という先生の指示を守っ

    • 2020年10月7日
  • 旬

       想像とは異なる光景に、勝手ながら落胆した。苫小牧沿岸のスケトウダラ刺し網漁の初日。水揚げ開始と見込んでいた2日午前0時ごろに漁港に行くと、人の気配は全くなかった。漁の最盛期であれば、網から魚を外す漁業者らの姿が、岸壁に広がるはずの時間帯。漁船の帰港を待つことにした。  小雨交じりだったが、肌

    • 2020年10月6日
  • 人事
    人事

       日本学術会議の人事で、菅義偉首相は政府に物言う6人を任命しなかった。首相は国民の反応をうかがっている。仕事をしたいと言って、不妊治療の保険適用拡大などアピール度のある政策を打ち出し、安倍政権の数々の疑惑にはふたをして臨時国会に間もなく臨む。年内に衆議院の解散総選挙を打つならタイミングは限られる。矢

    • 2020年10月5日
  • 判断
    判断

       トランプ米大統領夫妻の新型コロナウイルス陽性判明がきのう午後、速報された。感染者数と死者数共に世界一の国の大統領の感染だ。  先日、アメリカ大統領選挙のテレビ討論会を初めて見た。一言で言えば不快だった。候補者2人と司会者の言葉に同時通訳者の声が重なり、ほとんど内容が伝わらない。対立候補の発言

    • 2020年10月3日
  • ムーミン
    ムーミン

       札幌芸術の森美術館で開かれている北欧童話「ムーミン」の展覧会(11月3日まで)に行ってきた。かなりの人気だと聞いていたので平日で休みを取れる日を狙って足を運んだが、やはりその日も混んでいた。約500点の展示品は小説の挿絵原画がメインだが、浮世絵との比較展示や風刺画、原作者が来日した際に残したという

    • 2020年10月2日
  • 初秋の政局
    初秋の政局

       日が傾くのが早くなった。  道庁2階の道政記者クラブでは、午後の早い時間帯からまともに西日を浴びる季節になった。街路樹も少し色づき、きょうから神無月に入った。  秋の夜長。元大阪市長、橋下徹さんの「政権奪取論」(朝日新書)を読んだ。「野党の弱さが今の政治の根本問題」と強い野党の作り方を

    • 2020年10月1日
  • 上下
    上下

       官尊民卑。辞典を開くと、政府や役人を尊び民間や一般人を卑しむこととある。意味通りの不快をじかに体験した記憶はない。鈍感なのかもしれない。  官庁絡みの言葉には、官と民の上下が露骨に見えるものがある。民の所有物を行政が購入するのは「買い上げ」、公有財産の民への売却は「払い下げ」とよく言う。住民

    • 2020年9月30日
  • 負担増社会
    負担増社会

       消費税10%の導入から間もなく1年。持ち帰りと店内飲食で分かれる食品の税率の違いなど、スタート前はやや混乱気味だったが、ほぼ日常生活に浸透した印象。とはいえ、少々お高い商品を買った時の消費税額は重く、負担増を実感する。  来月から二つの税率が引き上げられ、関連商品が値上がりする。一つは「新ジ

    • 2020年9月29日
  • 採用試験
    採用試験

       来春の高校卒業予定者を対象とする企業の採用試験は今年、例年に比べて1カ月後ろ倒しの10月16日開始となる。新型コロナウイルスの感染拡大により、休校期間があったり、試験を受ける生徒が不安を抱えたりしないよう国や経済団体などが協議して決めた。高校から企業に提出する応募書類の受け付け開始も1カ月先延ばし

    • 2020年9月28日
  • 実践
    実践

       日本の65歳以上の高齢者が3617万人となり、総人口の28・7%を占めた。比率の高さは世界1位。いわゆる団塊の世代は全員が70代になった。敬老の日に向けて国が発表した数字。  高齢化社会の入り口に立って、働き手不足などを心配するのが役目と思っていたが、違った。高齢者とは自分のこと。時の流れは

    • 2020年9月26日
  • 商品券
    商品券

       苫小牧市の地域経済対策、プレミアム(割り増し)付き商品券の発行では、市民からの申請冊数が発行予定冊数を大きく上回り、大変な人気になった。  同様の商品券は他のまちも発行している。愛知県蒲郡市では5000円券で1万円分の買い物ができる。お得感は大きいが、券を買える人は抽選で選んだので外れた人に

    • 2020年9月25日
  • 部活動
    部活動

       幼い頃は絵本を読み、気に入った物語をそらんじてみせためいは、もう中学1年生。進学前後のコロナ禍で学校の授業日程は遅々としていたが、最近、バレーボール部に入ったと聞く。  小職の履歴を振り返れば、中学に続けて高校と剣道部員だった。雪のない季節は自転車通学し、初秋なら練習終了後、山並みの背後に沈

    • 2020年9月24日
  • 雲

       富士山が、昨年より32日早く「初雪化粧」をしたとのニュース。大雪では紅葉が進む。蒸し暑かった夏の終わりと思ったが、秋分の日のきのうも空には夏の雲。夜には突然の激しい雨。  青空とゆっくり流れる白い雲、その手前を飛ぶ鳥やトンボを、ポカンと口を開けて眺めながら育った。雲の正確な名前はほとんど知ら

    • 2020年9月23日
  • 国民のために
    国民のために

       胆振管内の定時制高校に通う生徒の生活体験発表大会があり、苫小牧東、苫小牧工業、室蘭栄の3校から参加した6人の発表を聞いた。新型コロナウイルス対策のため体育館での発表ではなく、事前に収録した映像の審査となったのは残念だったが、内容は心に響くものばかりだった。  衝突を繰り返す母と離れ、祖父母の

    • 2020年9月21日
  • 近未来
    近未来

       自宅から車で5~10分の距離で中規模のスーパーマーケットの閉店や開店が相次いでいる。少子高齢化時代の厳しい顧客争奪戦が、静かに続いている。  転勤で不在だった十数年を除き一消費者として、苫小牧の商業の変遷を見てきた。1960年代から70年代にかけては炭鉱離職者や離農者が流入して人口が急増。駅

    • 2020年9月19日
  • 白老の芸術祭
    白老の芸術祭

       白老町に今秋もアートの風が吹いた。廃校になった校舎や森の中、空き店舗などさまざまな空間を舞台にした作品展示、ダンス公演、ドキュメント映画の上映―。「ウイマム文化芸術プロジェクト」と「飛生芸術祭」の名で8月下旬から今月にかけて多彩なプログラムが繰り広げられ、これから始まる関連イベントもある。

    • 2020年9月18日
  • ご祝儀相場
    ご祝儀相場

       今年も秋サケ定置網漁の苦戦が予想されている。恵庭市のさけます・内水面水産試験場によると、道内の秋サケ来遊予測数は約1990万匹。著しい不漁だった前年と比べて約1割の増加にすぎない。1日に漁が解禁された胆振管内は9月上旬、しけ続きも相まって厳しい船出になっている。  苫小牧沿岸のみは前年同期を

    • 2020年9月17日