流儀
- 2020年9月16日
自民党の総裁選に圧勝した14日の夜、菅義偉新総裁がテレビのニュース番組で質問を受けながら、目をクシャッと細くする、不思議な表情をしていた。 笑うでもなく、もちろんにらむとか怒った表情でもない。照れ、はにかみなのか。暗い目で威圧していた官房長官会見の時には見せたことのない表情だった。思いつい
自民党の総裁選に圧勝した14日の夜、菅義偉新総裁がテレビのニュース番組で質問を受けながら、目をクシャッと細くする、不思議な表情をしていた。 笑うでもなく、もちろんにらむとか怒った表情でもない。照れ、はにかみなのか。暗い目で威圧していた官房長官会見の時には見せたことのない表情だった。思いつい
トップが変わるという、ねずみ年のジンクスは現実となった。年の初めは自民党総裁任期の延長話さえあった安倍晋三氏。政治姿勢は支持しないし、幾つもの疑念への説明や解明の努めを免じる気もないが、体調不良で2度も首相を辞す無念の深さは察しようもない。癒やしてほしい。 総裁選は「安倍政権の継承」を掲げ
1強2弱の自民党総裁選はきょう14日が投開票日だが、早い段階から大本命が浮上し、すでに焦点は組閣や党役員人事に移っている。ちまたでは新首相就任後の衆院解散、総選挙がまことしやかにささやかれる。10月13日公示―25日投開票説だ。 主要派閥の支持を得て、後継レースの先頭を独走してきた大本命は
総務省が先月発表した1月1日現在の住民基本台帳に基づく人口動態調査によると日本人は前年比約50万人減の1億2427万人。減少は11年連続だ。 47都道府県のうち人口が増えたのは東京と神奈川、沖縄の3都県だけ。北海道も1年で4万2286人減り約522万人になった。こちらは22年連続の減少。1
道端でキバナコスモスが揺れている。気が付けば秋の彼岸が近づいているというのに、暑い。札幌は真夏日が数日続き、夜もあまり気温が下がらない。晩夏と初秋がせめぎ合っている。 最近、周囲の若者や記者仲間から進むべき道や仕事のことで、相談されることが多い。「あまり思い詰めず、自分の進みたい道を自由に
景気の先行きが怪しい。内閣府が8日に発表した2020年4―6月期の国内総生産(GDP)の改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比7・9%減、この状態が1年間続いた場合の年率換算では28・1%減となった。8月に発表された速報値から0・3ポイントの下方修正で、戦後最悪の数字という。その傾向はグラフ
晩秋から春遅くにかけて飛行機が新千歳空港に近づいて高度を下げると右側の窓から白い雪をまとった一連なりの美しい山並みが見える。日高山脈だ。 「北海道へ帰ってきた」と真っ先に思わせてくれる日高の山々。内外からの旅行者の多くが最初に見る「北海道」も、あの山脈。 30歳の前後に麓の支局に勤
人には忘れられない記憶がある。2018年9月6日午前3時7分。突き上げるような大きな揺れに飛び起きたものの、揺れが収まるまで身動き一つできずにいた。最大震度7を観測した胆振東部地震は、今も自分の脳裏にはっきり焼き付いている。 当時の生活拠点は、会社にあてがわれた千歳本社3階にあった。千歳の
玄関の鍵の調子が悪くなり、帰宅のたびに扉の前でガチャガチャする日が続いた。中に入れなければ、食事も入浴もできない。くつろぐこともできないので、疲れも取れない。切羽詰まる出来事だった。 もしこれが、突然家が全壊した、あちこち壊れて住めなくなったとなれば、どれほど衝撃を受けるか。胆振東部地震後
マインドコントロールという片仮名語を久しぶりに読んだ。確かオウム真理教の教祖が、信者の若者らを特定の行動へ誘導した行為がそう呼ばれた。 後志管内寿都町の片岡春雄町長が、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場候補地選定の「文献調査」受け入れ検討を表明、道や近隣町村に衝撃が広
最近になって習慣としているのは外出先から帰った際、せっけんを使った手洗いとうがいだが、以前からの習慣は王子イーグルスの練習見学。今週も白鳥王子アリーナに出掛けてきた。 次シーズンに向けた所属日本人選手による氷上練習は苫小牧で7月に始動し、リンクの上を縦横斜めに駆け、攻守の状況を演習する。訓
苫小牧港の公園にテントを張り、中でくつろぐ人たちの写真。子ども2人はマスクを外し、笑顔を向けている。大人はマスクを着けたままで表情は分からないが、爽やかな外の空気に触れ、気持ち良さそうだ。 題名は「安らぎの港」。苫小牧港開発などが主催する「大好き!苫小牧港フォトコンテスト」に寄せられた写真
地殻の変動や火山活動を地震発生の原因として認識はしているものの、実はよく分からない。防災の日のきのう、各地の訓練の報道を見ながら思った。 日本では「ナマズが騒ぐ」と言ったようだが、アイヌの言い伝えは違う。古老らからの聞き取りをまとめた、更科源蔵著「アイヌの民俗・下」(みやま書房)によれば、
昔はどの家でも、玄関や茶の間に一つは飾っていたのではないだろうか。木彫り熊である。今では見る機会が少なくなったが、昭和の時代は北海道を代表する民芸品、土産品として絶大な人気を誇った。その木彫り熊を扱った企画展が白老町の仙台藩白老元陣屋資料館で開催中だ。展示作品は地元や各地から集めた200点超。サケ
危うく忘れるところだった。苫小牧市が発行するプレミアム付き商品券の申請はきょうまで。割増率2割の「一般商品券」、同6割の「飲食店&地元店応援券(とまチケ)」。当方はそれぞれ、申請書の購入希望に上限で書き込み、けさポストに入れた。市民の申し込みが殺到すれば、購入数は調整されるが、買わない手はない。
「きょう、辞職の報道が動きだすとすれば午後2時以降―」。そんな冗談を言って少し目を離していたら2時すぎのテレビ画面に安倍総理辞意の速報。 体調不良報道や民放のニュース番組を見て、もしやとは思っていたが総理在職日数歴代1位記録を樹立した直後の辞職。驚いた。 権力者の孤独の闇の、恐ろし
釣りは下手の横好きというだけだが、木曜掲載の「釣り倶楽部」の担当を務めている。腕の立つ若手記者や協力者の応援も頂いて紙面を作っている。最近はすっかり夏枯れの様相だ。 苫小牧周辺は釣りのパラダイスと言っていい。太平洋に面しながら背後に国有林などの豊かな森が広がり、伏流水や湧水を源にした河川が
15年ほど前、岐阜県にある核燃料サイクル開発機構(現日本原子力研究開発機構)東濃地科学センターの深地層研究所を視察したことがある。同機構いわく「地層科学研究の拠点」で宗谷管内幌延町にも同様の地下施設があるが、案内してくれた職員が「ここが高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の処分場になることはあり得ない
先日の日曜日の朝、散歩に出掛けると道路脇や牧草地の縁に、紅色を帯びたススキの穂がずいぶん目立った。コロナ禍でも草たちは季節を律儀に刻む。 新聞、テレビに「コロナ感染 緩やかに減少」のニュース。厚生労働省に助言する専門家組織の分析によると、ピークは7月末だった―とか。「重症者は増えており警戒
日が短くなった。札幌では日中、気温が30度近くまで上昇するが、夕暮れ時には涼風が吹くようになった。地下鉄の駅に向かう通勤途中、毎日見ていたヒマワリも少し小さくなったように映る。夏が終わろうとしている。 長期戦になりつつある新型コロナウイルスとの戦い。その前線に立たされる全国の知事たち。鈴木
日本国有鉄道の分割民営化でJR北海道が誕生したのは1987年4月1日のこと。民営化の前後には、道内各地でたくさんの赤字線区が廃止された。 新潮社「日本鉄道旅行地図帳1 北海道」で数えると、20線区にも上った。鵡川―日高間の富内線(82・5キロ)と伊達―後志管内倶知安の胆振線(83キロ)は8
新型コロナウイルスの感染拡大がなかなか収まらない。同時に全国各地が連日30度を超す「危険な暑さ」に見舞われ、いや応なしに熱中症とコロナの両方の対策を要する「特別な夏」が続く。 15年ほど前だったと思う。苫小牧市の幹部と街路樹の在り方について議論になったことがある。「苫小牧の人はあまり気付か
当紙の無料おくやみ欄の掲載では、故人の氏名や亡くなった日、年齢などを、電話を介して事前にご遺族に確認させていただいている。例えば氏に林の字があれば「木が二つの林ですね」という具合に一文字ずつ確かめており、担当者は毎日、こうしてまちの人の死に接している。 記者はその1人で、確認作業をしながら
「政治は言葉」といわれる。政治家は言葉で政策を説き、支持を得て政策の実現を目指す。国であれ市町村であれ規模の違いはあっても構図は同じだ。 以前の勤務地の首長のことを忘れない。議会前、市長室とコピー機の間を自分で往復しながら演説原稿の推敲(すいこう)をしていた。いつもだという。部下には任せら
昨年夏の選手権なら3回戦が終わった日取りだが、きのうをもって、史上初の高校野球甲子園交流試合が閉幕した。帯広農業と白樺学園の本道代表両校の奮戦に大きく拍手を送りたい。 新型コロナウイルスの世界的流行という前例のない情勢の下、代替甲子園大会として開催された各チーム1戦のみで計6日間、16試合
行っていいのか、悪いのか。計画を立てていても、心が浮き立たない。遠くに住む友人と、年に一度の再会を兼ねて旅をする。毎年お盆が過ぎて観光地がすいている時期に、1泊かせいぜい2泊の楽しみだ。 ずっと行ってみたいと思っていた石川・能登の宿は、早々に諦めた。新型コロナウイルスの感染拡大地域からはも
戦争に関わった動物といえば、人や物資の輸送に駆り出された軍馬。しかし、もっといろいろな、大小の動物たちも戦地に連れ出され、犠牲になった。 秦郁彦著「旧日本陸海軍の生態学」(中公選書)には「軍用動物たちの戦争史」の章がある。冒頭に読み人知らずの歌が紹介されている。「久びさに軍馬が夢にあらわれ
白老町の西の端にカムイワッカ(神の水)と呼ばれ、湧き水が出る所がある。倶多楽湖の伏流水らしく、水をくみに来る人が絶えない。この天然水で入れたコーヒーの味は格別だ。町の東の端へ行けば軽種馬牧場や湿地、背後の樽前山の景観が見事。撮影スポットの観光資源になり得る。新鮮な海産物やおいしい牛肉が手に入るし、
新型コロナウイルス感染症対策を機会あるごとに取材してきた。緊急事態宣言解除後も出光興産北海道製油所の大規模定期補修工事(SDM)、白老町の民族共生象徴空間ウポポイ、国内最大のサラブレッド競り市セレクトセールを訪れた。いずれも注目度が高い事業や施設、催しで密閉、密集、密接の「3密」回避などを徹底して
出来事は、見る角度でまったく別の事象に見える。七十数年前の戦争中や日本が戦争に負けた直後の混乱もそうだ。一方の見方だけで善悪はいえない。 国は、働き手が出征し、戦死した農家に、学生たちが泊まり込んで農作業を手伝う仕組みをつくって働き手の不足を補い、食糧を増産しようとした。若者が親元を離れ、