• 発車
    発車

       100年の単位で考えなければならない事業がある。前例や財政の壁を乗り越えてみせた先人の志や知恵、決断に、時に胸を打たれる。  1991年3月発行の「新穂別町史」に「スクールバスの運行」の項がある。穂別村(現むかわ町穂別)が、村の次代を担う青年たちのために51年、村立の高校を開校させたことは広

    • 2022年7月27日
  • 電子図書館
    電子図書館

       ひょっとしたら「何を今さら」と言われるかもしれない。正直なところ苫小牧市電子図書館の「存在」を知ったのはつい最近だ。よく調べてみると、開設されたのがほぼ8年前の2014年10月。道内だけでなく全国の公立図書館の中でも先駆けとも言える。  遅ればせながらも市立中央図書館を訪ね、窓口で利用登録し

    • 2022年7月26日
  • 投票率
    投票率

       元首相が応援演説中に凶弾の犠牲になった参院選から、はや2週間がたった。事件によって注目された投票率は52%で、有権者の半数しか投票に行かなかったという結果になった。  投票率を上げる試みは近年、いろいろ進められている。身近なところでは、店内での期日前投票会場の開設。買い物ついでに投票できる便

    • 2022年7月25日
  • 健在
    健在

       風邪もほとんどひかず病院や医師と関わらずに育った。頑健だけが取り柄だったのにこの2年半ほどは、報道される聞き慣れないウイルス名と注射器に追われる日々。  上腕部に残るワクチンや菌接種の化膿(かのう)痕で年齢が特定できる世代だ。戦後生まれの自分の世代は結核の予防が課題だったようだ。小学校では毎

    • 2022年7月23日
  • 募る旅心
    募る旅心

       きのうの本道の新型コロナ感染者は過去3番目の4000人弱となったから、増加ペースは急速だ。「行動制限なしの夏」が到来はしたものの感染拡大の局面で悩ましい問題がまたも生起している。  国内全体は18万人を超えて過去最多を更新した。前回の「第6波」では都内に暮らす身内が罹患(りかん)したと聞き及

    • 2022年7月22日
  • ウトナイ湖
    ウトナイ湖

       苫小牧に来た3年前、春から夏にかけて霧や雨ばかりだった記憶がある。ところが今年、霧で前が見えない日はほとんどなかった。温暖化の影響だろうか。めったに30度も超えない夏に感謝し、ぐずついた春の日を帳消しにしてもいいと思うのに、苫小牧までもが連日、猛暑日を記録するような都市になってしまうのか。

    • 2022年7月21日
  • 領土
    領土

       新聞で、毎日のようにヒグマの目撃情報が報道される。苫小牧市やむかわ町、白老町の道路を日中や夜間、自在に歩き回り通報される。  この数年は、人を襲う事故も増えている。昨年6月には札幌市の住宅街で男性が襲われ、140針を縫う大けがを負った。15日午後、本棚から羽根田治著「人を襲うクマ 遭遇事例と

    • 2022年7月20日
  • 船員奉仕会
    船員奉仕会

       旅人をもてなしなさい―。聖書に記されている、その言葉を原点に外国人船員をもてなす市民運動は、全国的にほとんど例を見ないものだった。苫小牧キリスト教船員奉仕会が6月末、36年間にわたる活動に終止符を打った。国内各地の港まちの中でも極めて特異な団体だっただけに、残念でならない。  同会は、国際航

    • 2022年7月19日
  • 再開
    再開

       きのうは3連休真っただ中とあり、新千歳空港の国内線ターミナルビルは、新型コロナウイルス流行前のようなにぎわいだった。駐車場は朝から混雑し、入場まで車列ができるほど。グルメや物販、娯楽施設などが充実する「北海道ショールーム」は、家族連れなどでごった返した。  当方は朝から空港を訪れたが、お目当

    • 2022年7月18日
  • キミ
    キミ

       函館へ向かって国道5号を南下し渡島管内森町市街地手前のトンネルを抜けると右側の道路脇に、確か赤い文字で「キミ」と手書きされた段ボール製の看板が何枚か並んでいた。今もあるだろうか。  子どもの夏休み、わが家が家人の実家へ帰省するときに必ず見た看板だ。キミは浜弁でトウキビ、トウモロコシのこと。石

    • 2022年7月16日
  • 野党不在
    野党不在

       安倍晋三元首相が凶弾に倒れて1週間。史上最長の首相在任期間を務めた、キングメーカーとして厳然と力を持つ政治家を狙った暗殺でありながら、この間の報道で動機は、宗教団体が絡む家庭崩壊の恨みを安倍氏に向けた不条理の様相を呈してきた。銃を自作するほど闇を心に膨らませた犯人の人生はどんなだったのか。救済や再

    • 2022年7月15日
  • 選考基準
    選考基準

       日本高校野球連盟が春の選抜大会の出場校選考過程を明確にするため、新たに「大会綱領」「選考ガイドライン」を作成した。  選抜大会の出場校選考基準はよく話題になる。最近問題になったのは東海地区。昨秋の東海大会でベスト4の大垣日大(岐阜)が選ばれ、準優勝の聖隷クリストファー(静岡)が落選。選考委員

    • 2022年7月14日
  • 行動
    行動

       先日、苫小牧市内の病院の待合室でのこと。幼児が大声で泣き始めた。母親や看護師さんがあやすものの、泣き声は大きくなるばかりだ。病院には体調の悪い人が集まっている。母親は周囲にどれほど気を遣っていることだろう。  かなり以前に何かで読んだ、東京のバスの車内放送の話を思い出した。バスが混み、赤ちゃ

    • 2022年7月13日
  • 怒

       喜怒哀楽の中で最も制御が難しいとされる怒。6秒我慢してピークを抑えるアンガーマネジメントを実践し、のみ込んだところでそれが消滅するわけではない。人気お笑いコンビダウンタウンの松本人志さんがテレビ番組で、「自分で心配になるくらい怒らなくなってしまった」と話していたのが印象に残っている。「怒りから生ま

    • 2022年7月12日
  • 進路
    進路

       国民や周囲が「恥ずかしい」と評価を下すような政治や政治家がこの数年、増えている気がする。日本だけでなく、世界規模での話だ。  イギリスのジョンソン首相が財務相と厚生相を含む政権幹部や官僚約50人から辞表を突き付けられた。氏は7日、与党・保守党の党首と首相を辞職すると声明を読み上げた。新型コロ

    • 2022年7月9日
  • 路線バス
    路線バス

       苫小牧市の路線バスに乗ったのは何年前だろう。思い出せないほど昔のことだ。通勤は自家用車だし、苫小牧を離れる時もバスを使ってJRの駅まで行くコースは選択肢に浮かばない。これでは利用者が増えないはず、と思いながらバス停が遠い。  路線バス事業は市の直営から道南バスに運営が移譲されてちょうど10年

    • 2022年7月8日
  • 転換点
    転換点

       参院選は10日の投票日まであと3日となった。本来、参院選は政権選択選挙ではないとされるが、衆院の解散がない限り今回の結果が向こう3年間の日本の政治体制を決定付けることになるだけに有権者が持つ1票は、政権選択並みの重みがある。  今参院選は、改選125議席に選挙区と比例代表合わせて545人が立

    • 2022年7月7日
  • 代替
    代替

       これも老化現象なのだろう。機械音痴の症状が着実に悪化している。この数年の最大の課題は携帯電話。KDDIの通信事故騒動のニュースに大いに考えさせられた。  原因や経過は一般記事の方で読んでいただきたい。KDDIのスマートホン(スマホ)などが2日未明からきのう午後の全面復旧宣言まで、86時間にわ

    • 2022年7月6日
  • てまえどり
    てまえどり

       食品店では、陳列棚の手前の方に、賞味期限の近い品が置かれている。これを積極的に買うようにするのが「てまえどり」。期限が過ぎて廃棄される品を減らす運動で、6月の本紙なんでもトーク欄で、いっとき話題になった。運動に協力できない人々がその事情を寄せ、理解を求めたのだ。  てまえどりが必要になる背景

    • 2022年7月5日
  • 氷上の名伯楽
    氷上の名伯楽

       監督在任時の優れた選手を問われ、「フォワードの引木孝夫、黒川秀明、ゴールキーパーの大坪利満」と話したのは桝川順司さんだ。2001年6月の本紙連載企画「先輩たちの物語」の一節にある。  アイスホッケー日本リーグ隆盛期の1970年代に桝川さんは王子製紙チームを指揮した。談話で司令塔役のセンター引

    • 2022年7月4日
  • 高齢
    高齢

       20年ほど前の勤務地で聞いた議会の質問。「窓口の職員が市民を、お父さん、お母さんと呼ぶのはやめて。名前で呼んで」と議員の提案。育てた覚えのない人からの、軽々しい親扱い。年齢を重ねて不快の意味が改めて伝わる。  いろいろな職種で接遇講習が行われ、この種の言葉は減ったと思うが、不適切な言葉の選択

    • 2022年7月2日
  • 準備情報
    準備情報

       「不要不急の外出控えて」―。何度も目にしてきた見出しだが、全国紙を読むと新型コロナウイルスではなく、熱中症への注意喚起だった。「逼迫(ひっぱく)注意報」もコロナ感染者を受け入れる病床数の話ではなく、電力需給の見通し。経済産業省は、電力の安定供給に最低限必要な予備率が3%を下回る見通しとなった場合に

    • 2022年7月1日
  • 昆虫を食す
    昆虫を食す

       好奇心から話題の昆虫食を体験したくなり、苫小牧市内のリサイクル店に置かれた自動販売機で買ってみた。一袋15グラム入りで1200円。ちょっと高かったけれど、コオロギやケラ、ゴミムシダマシの幼虫など5種類がたっぷり入っている。素揚げに調理されているが、姿形は虫そのものだ。皿に広げ、じっくり観察した後、

    • 2022年6月30日
  • 願望
    願望

       おじやおばの名前や人数を、ほぼ覚えている。母は女6人男2人の8人きょうだいだ。偶然だが妻の父も女5人男3人の8人きょうだい。大正~昭和期の農漁村の一般的な子どもの数かもしれない。  少子化が進む。厚労省が上旬に発表した人口動態統計によると2021年の出生数(概数)は前年比約3万人減の81万1

    • 2022年6月29日
  • 着脱
    着脱

       新型コロナウイルス感染拡大が長期に及び、本紙でもマスク姿の写真掲載がすっかり定着した。当初は違和感や抵抗感しかなく、取材の対象者にできる限り、撮影時にマスクを外す協力を求めたが、最近はその労力を省くことが多い。感染対策の優先と言えば聞こえはいいが、やはり慣れの部分が大きいと感じている。  そ

    • 2022年6月28日
  • 迷路
    迷路

       参院選は苫小牧辺りでは静かだ。胆振日高が選挙区となる衆院選と異なり、参院選は道内一円。候補者が12人いても街頭で候補や選挙カーを目にする機会は少ない。関心が高いような空気感もない。  風が吹いて「山が動いた」参院選や政権が交代した衆院選を取材したことがあるが、今の国際情勢や暮らしを見れば政治

    • 2022年6月27日
  • 矛盾
    矛盾

       矛盾という言葉の意味を習ったのは何歳頃だったろう。どんなに頑丈な盾も突き破る矛(ほこ)とどんな鋭い矛でもはじく盾を売る商人が「じゃあこの矛で、この盾を突いたら?」と問われる話だ。  そんなふうに「理屈に合わないことを矛盾という」との説明だったと思う。納得できた。  ロシアのウクライナ侵

    • 2022年6月25日
  • 黙食
    黙食

       小学生時代の学校での話。給食の配膳が終わって食べ始めると、おもむろに前の席から順番に一人ひとりが大きな声で話を始める。  「昨日はおばあちゃんが家に遊びに来たよ」「お母さんが風邪ひいて病院に行った」「弟とけんかして鼻血が出た」「放課後の野球の試合でホームランを打った」など、さまざまな話題が飛

    • 2022年6月24日
  • 誰がために
    誰がために

       苫小牧市長選が終わったと思ったら、すぐに参院選で有権者も慌ただしい。長期間疲弊感を拭えない日本はとても健全とは言い難く市政についても、国政についても誰しも物申したいことの一つや二つはあるはずだ。それならば自然と選挙への関心も高まっていくものだと思うが、各級選挙の投票率は低下の一途。急転直下の市長選

    • 2022年6月23日
  • 初夏の陣
    初夏の陣

       道端でマリーゴールドが咲いている。この花を見るたびに女性シンガー・ソングライター、あいみょんのあの名曲を思い出す。日が長くなった。夜明けが早い。きょうは夏至を迎えた。  そんな季節。目前に迫った参院選の前哨戦で、札幌の街頭での取材が続いている。道選挙区(改選数3)は全国有数の激戦区。党本部か

    • 2022年6月21日