苫小牧産クラフトビール缶商品化の準備着々 第1弾は「レッドエール」 北海道ブルワリー

苫小牧産クラフトビール缶商品化の準備着々 第1弾は「レッドエール」 北海道ブルワリー
缶にビールを詰める機械を試運転する、右から高橋さん、多賀谷さん

 

苫小牧市内唯一のクラフトビール醸造所「北海道ブルワリー」(錦町2)が、缶商品化の準備を進めている。市水道水で仕込む「レッドエール」を第1弾とする予定で、最短で1カ月ほどで「缶ビール化」する構え。現在詰める機械を試運転中で、高橋浩一ブルワー(ビール醸造責任者)は「苫小牧発のクラフトビールをさらに広げるきっかけにしたい」と意気込んでいる。

 市内の経営者らが2022年に設立した会社、北海道ブルワリー(髙橋憲司社長)の取り組み。地域の活性化につなげようと、昨年10月に地元産クラフトビールの醸造を始め、同11月から隣接する飲食店で提供している。今後のさらなる事業展開を見据え、缶にビールを充填(じゅうてん)する機械を導入し、商品化への準備を本格化している。

 350㍉㍑缶を1日500本製造できる機械で、5月24日に試運転を始めた。クラフトビール生産のSOCブルーイング(江別市)が協力し、多賀谷壮取締役工場長が来苫して技術指導。機械の動作チェックから始まり、当初はビールの代わりに水で試しながら、炭酸ガスの適量などを探っている。

 同醸造所は地場産ヤチヤナギをホップの代わりに使う、自社ブランド「カムイゲイル」が売りだが、取扱量は自ずと限られるため、常時販売できる銘柄を確立しようと、市水道水で世界各国のビール醸造を試している。その中で飲みやすさを重視し、海外産モルトを使う「レッドエール」をまず缶商品化する構えだ。

 高橋ブルワーは「レッドエールは苦くなく、ビールっぽさを感じさせない上品な味わい。想像通り、良い感じに仕上がっている」とクラフトビールの品質や味には自信を持ちつつ、缶詰の試運転に「品質の維持も確認するため、最低でも1カ月は試運転したい」と慎重に作業を進める。

 缶商品化が実現すればまず、苫小牧観光案内所(表町)や道の駅ウトナイ湖(植苗)などでの販売や、市ふるさと納税の返礼品での取り扱いを目指した上、市外にも広く出荷していく構え。さらに苫小牧産ハスカップを使ったクラフトビールなど新商品の醸造も視野に入れており、「苫小牧のクラフトビールを皆さんに飲んでもらえたら」と意気込んでいる。