• 民報歌壇 木曜短歌会/初蝶歌会/銀河短歌会
    民報歌壇 木曜短歌会/初蝶歌会/銀河短歌会

       ハンドベル「さくらさくら」響かせてサロン仲間と春を呼び込む桐渓 淑子筋力の弱りし吾の手を案じ便利グッズを買いきし嫁は神成 靖子ふた月を紅色あせずカランコエ語らうごとく冬陽と傾斜伊藤 妙子幼き日みなと唄いし童謡は久に聴いても忘れずなつかし岡田 京子兄の名で呼ばれていてもそのままで祖父とこの世

    • 2025年3月11日
  • 対立、分断をあおらずに/「へこたれてなんかいられない」 /を書いたジェーン・スーさん
    対立、分断をあおらずに/「へこたれてなんかいられない」 /を書いたジェーン・スーさん

       「軽はずみな発言をせず、対立や分断をあおらない」と語るジェーン・スーさん=東京都千代田区 世の女性たちの相談事にさっそうと応えてきたコラムニストのジェーン・スーさん。新刊エッセー「へこたれてなんかいられない」では、50歳を迎えて感じる体の変化などを赤裸々につづり、「ご機嫌に生きていく」ためのアイデア

    • 2025年3月11日
  • 「偽 り の 家」/若林踏著
    「偽 り の 家」/若林踏著

       家族ミステリーの傑作短編6作を収めたアンソロジー。愛人との間の子どもを捨てる松本清張の「鬼畜」や、一家心中の謎がさまざまな視点で語られる宮部みゆきの「不文律」など名品が並ぶが、白眉は小池真理子の「花ざかりの家」。若い妻を自死で失った男が、15年後にその不倫相手の家に招かれる。美しくも恐ろしい結末が

    • 2025年3月4日
  • 「未 来 学」/ジェニファー・M・ギドリー著       南龍太訳/望ましい姿への努力
    「未 来 学」/ジェニファー・M・ギドリー著       南龍太訳/望ましい姿への努力

       理想と現実が違うことは、多くの人が身をもって知っているはずだが、それでも未来に向けるまなざしには、願望や根拠のない臆測が入りがちだ。そして人間は、しばしば客観的な情報分析の結果を理性的に論じる者より、自信ありげな断定口調で熱弁を振るう政治家を信頼してしまう。 現実の社会的、経済的なプロジェクトに

    • 2025年3月4日
  • 疎外された女性と震災/「熊はどこにいるの」を書いた/木村紅美さん
    疎外された女性と震災/「熊はどこにいるの」を書いた/木村紅美さん

       東北のショッピングモールで保護された男児を巡る人間模様を描いた「熊はどこにいるの」。社会から疎外された女性たちの物語は、切実で痛々しくも、どこか幻想的な雰囲気をまとう。そこには、4年前に盛岡市へ移住した木村紅美さん自身の経験が投影されている。 50代のリツとアイは、東北の人里離れた山村で息を潜め

    • 2025年3月4日
  • 原始林苫小牧
    原始林苫小牧

       雪深し一歩一歩をふみしめて厳しき季節に身を守り行く中井るみ子二年ぶりに逢えた大鷲大樹に番でとまる風格まして木村百合子もくもくと煙を上げる発電所青空高く吸ひ込まれゆく宮崎 靜恵週三回デイサービスに通ふ我脳トレゲームで楽しく過ごす湯浅 悦子家前で転びて大きな瘤つくる二度と御免のたん瘤なるよ矢部 

    • 2025年3月4日
  • 「ビジネスと人権」/伊藤和子著
    「ビジネスと人権」/伊藤和子著

       貧富の格差や排外主義、差別、性暴力から武力紛争まで、人権が脅かされる世界中の多くの問題にビジネスが加担している。国連人権理事会が「ビジネスと人権に関する指導原則」を採択してから14年。企業の責任が厳しく問われるようになった世界の潮流の変化を紹介するとともに、対応が遅れる日本の現状を厳しく問う。(

    • 2025年3月4日
  • 「対馬の海に沈む」/窪田新之助著/共犯者は誰か
    「対馬の海に沈む」/窪田新之助著/共犯者は誰か

       長崎県対馬市。約1万5000世帯、人口3万人強が住む島の「JA対馬」で2019年、巨額の横領事件が発覚した。 かねてよりこの事件への関与がうわさされていた正職員、西山義治(当時44)の運転する車が海中へ転落し、西山は溺死した。自殺と断定されたわけではないが、彼の死後、共済金の不正受給の全貌が判明

    • 2025年3月4日
  • 「三月一一日のシューベルト」/舩木篤也著/音楽と時代の掛け合わせ
    「三月一一日のシューベルト」/舩木篤也著/音楽と時代の掛け合わせ

       副題に「音楽批評の試み」とある。すこぶる面白い。そして強く胸に響いた。批評でそこまでの感動を覚えたことがあるだろうか。 本書は「レコード芸術」誌に2020年1月号から23年7月号まで連載された22編を加筆・改題したもので、音楽を「別の視点と交差」させたことに特色がある。著者は複数の旋律が同時に響

    • 2025年3月4日
  • 「ふとくちずさみ  / たくなる日本の名詩」/郷原宏選著
    「ふとくちずさみ  / たくなる日本の名詩」/郷原宏選著

       中原中也の「汚れつちまつた悲しみに」から、茨木のり子の「自分の感受性くらい」まで、どこかで耳にした覚えのある名詩55編を収めたアンソロジー。詩人の選者が各作品にユーモアに富んだ解説を添えており、作者や作品世界の理解を助ける。「時移り人は去っても、名詩だけは生き残る」との選者の言葉を実感する。(ハ

    • 2025年3月4日
  • 「たまごだいすき」/中央公論新社著
    「たまごだいすき」/中央公論新社著

       食べる卵をテーマに、近年の作家や料理研究家らの随筆36編を集めたアンソロジー。高山なおみら人気の料理家が提案する調理法、角田光代が推す京都の老舗の厚焼き卵サンド、エジプトで幼少期を過ごした西加奈子の最高のごちそうだった卵かけご飯など、改めて「身近だけど替えが利かない」食材の奥深さを味わえる。(中

    • 2025年3月4日
  • 結ひの会
    結ひの会

       春の霜天使の降るるごとに降る大坂 清子春霜の野や旋回の鳶の影名取 光恵生半可に生くる卒寿や春半ば櫻井 伸良縁側に思ひ出ならべ日向ぼこ山田  凡冬深し鴉の知恵は見事なり小松冨佐子やはらかき和菓子の色や春まぢか坂口 悦子唇に無香クリーム春浅し山角 瑞希つくづくと品良き朱唇雛祭舘崎やよゐ

    • 2025年3月4日
  • やまなみ俳句会
    やまなみ俳句会

       釣り人の言葉少なき冬の海金子 郁子冬海や病名ひとつふえにけり小林 奈子岩壁の漁船は凜と冬の海山田  凡屋根伝ひ音のみ聞こゆ雪雫大泉 和美キラリキラ朝日を照らす木々の雪五十嵐 幸初笑い激痛やわらぐ穴クッション加藤  舟松過のひとりの空に流る雲仲谷 昭子気嵐や掘り込み湾にバルク船石川

    • 2025年3月4日
  • 新墾
    新墾

       義父のやう二月のむかわの冬晴れはガラス戸へ空の広さを映す木村 福惠―よりそう―と文字をうかせて祷る地の人らの涙 三十年に栗原 暸子

    • 2025年3月4日
  • 文庫 新書 「お城の値打ち」/香原斗志著/「座右のラテン語」/ヤマザキマリ、 ラテン語さん著
    文庫 新書 「お城の値打ち」/香原斗志著/「座右のラテン語」/ヤマザキマリ、 ラテン語さん著

       全国に多数あった城郭は明治維新と太平洋戦争で破壊され、天守が現存するのは12城のみ。戦後復興のシンボルとして各地に建てられたコンクリート製の天守には史実とかけ離れたものも多い。お城好きにとっては胸が痛むような現実が並ぶ中、100年先を見据えて地震被害からの復元を目指す熊本城の取り組みに光明を感じた

    • 2025年2月25日
  • 著者に聞く 文学史たどる大きな船/「二十四五」を書いた/乗代雄介さん
    著者に聞く 文学史たどる大きな船/「二十四五」を書いた/乗代雄介さん

       「舞台である仙台をこの2年間で7、8回訪れた」と話す乗代雄介さん=東京都文京区 弟の結婚式に出席するため、新人作家の女性が仙台に向かう「二十四五」。芥川賞にもノミネートされたこの作品は、乗代雄介さんがデビュー作から書き継いできた阿佐美景子の物語だ。「自分の人生を総括するものを、ずっと書き続ける安心が

    • 2025年2月25日
  • 書評
    書評

       17歳、思春期の真っただ中、生き方に迷い悩み、ときには無軌道に走り、脆(もろ)さと頑(かたく)なさが交錯する年頃。苦悩を抱え近代の作家たちは文学の毒におののきながらこの季節をくぐり抜けた。 明治22(1889)年、樋口奈津は17歳、父が死に母と妹を抱え一家の戸主となり、向学心に燃えながらも学校へ

    • 2025年2月25日
  • 俳壇 アカシヤ俳句会/葦牙俳句会
    俳壇 アカシヤ俳句会/葦牙俳句会

       熱燗や語れば長くなることも岡澤 草司水槽の雑魚のゆらぎや日脚伸ぶ楠  良子寒明の日を慕ふかに雀寄る遠藤 孝明念入りに人日の手を洗ひけり竹内 直治着ぶくれて己が人生振り返る須藤 大硯街なかに遣形残る年の暮平尾 芙美熱燗やゴルフ談義の声の艶名取 光恵熱燗の染み渡る夜母思ふ中村千恵子熱

    • 2025年2月25日
  • 歌壇 ヌプリ短歌会/樹の会
    歌壇 ヌプリ短歌会/樹の会

       町会の凧揚げに糸引き子等は全力で走り風に迎り豊島 幸子雪の朝ランウエイのごと黒猫の足跡続く冬の陽だまりへ塩田 芳子手作りの巻き寿司持ちて西南西大口で一気ひとり気を吐く藤田香代子見るたびに花葉いっぱいシクラメン淡きピンクの咲きさかれり金内 花枝亡き夫に丸し手指の似たるかなバームクーヘン切り分け

    • 2025年2月25日
  • 「蔦屋重三郎と吉原」/河合敦著
    「蔦屋重三郎と吉原」/河合敦著

       NHK大河ドラマ「べらぼう」の主人公、蔦屋重三郎の足跡を追う。文芸に対する規制の緩い田沼時代に名声を極めた出版人だが、裏方だっただけに史料が乏しい。そこで、彼が見いだした馬琴、歌麿、北斎らあまたの戯作者や絵師の生涯を背景に、その人となりをあぶり出す。引用が頻出し、推測が多いのは気になるところ。(

    • 2025年2月18日
  • 「機嫌のいい犬」/川上弘美著
    「機嫌のいい犬」/川上弘美著

       「はつきりしない人ね茄子(なす)投げるわよ」「C難度宙返りせる春のたましひ」。小説家の著者による1994~2009年の220句を収めた初句集。俳句には小説よりも私性(わたくしせい)が出ると語り、作者も意識しないところまで読み手が言葉の意味を探ってくれるという著者。その「幸福な信頼」に何度も救われて

    • 2025年2月18日
  • 「ルポ国威発揚」/ ■( ■(部首の「シンニョウ」) に十) 田真佐憲著/プロパガンダの現場を歩く
    「ルポ国威発揚」/ ■( ■(部首の「シンニョウ」) に十) 田真佐憲著/プロパガンダの現場を歩く

       普通なら、本書が扱っているのは専門家が難解な用語を連ねかねないテーマだ。それをここまで易しく、身近なものに仕上げるとは、著者は並みの書き手ではない。 トランプタワーや尖閣神社など35章。楽しめるので、まずは読んでいただきたい。関心ある向きは、この異色の「観光ガイドブック」を手に旅に出ることもお勧

    • 2025年2月18日
  • 「直木賞を取らなかった男」/新堂冬樹著/読者を楽しませる信条
    「直木賞を取らなかった男」/新堂冬樹著/読者を楽しませる信条

       インパクトあるタイトルにしびれます。「直木賞」といえば現実にあるあの直木賞です。それを「取らなかった」とはどういう意味でしょう。 芸能プロダクションを営む日向誠は、高校中退後、おのれの力で人生を切り開いてきた野心家です。小説を書くぞと思い立ち、街金融の実態を描いた一編を書き上げると、日文社の主催

    • 2025年2月18日
  • 「『人は右、車は左』/   往来の日本史」/近江俊秀著/政治的に左右される問題
    「『人は右、車は左』/   往来の日本史」/近江俊秀著/政治的に左右される問題

       すこぶる魅力的なテーマだ。往来のルールに対して、ぼくらは大変高い関心を持っている。別の言い方をすれば、これはSNSでバズりやすいトピックだ。例えばエスカレーターのどちら側を歩くべきか、いやそもそも歩くべきではない、などという議論はつねに話題を呼ぶ。「江戸しぐさ」と呼ばれる「マナー」で最も有名なのは

    • 2025年2月18日
  • 能登支援へ「あえのがたり」/人気作家10人がチャリティー
    能登支援へ「あえのがたり」/人気作家10人がチャリティー

       能登半島地震の被災地支援を目的としたチャリティー小説集「あえのがたり」(講談社、2200円)が刊行された。加藤シゲアキさん、今村翔吾さん、小川哲さんの人気作家3人の呼び掛けに、朝井リョウさん、今村昌宏さん、蟬谷めぐ実さん、荒木あかねさん、麻布競馬場さん、柚木麻子さん、佐藤究さんの7人が応えた。印税

    • 2025年2月18日
  • 佳句を求めて/ハスカップ集(1月号)から/「釧路川柳社同人」河瀬 風子
    佳句を求めて/ハスカップ集(1月号)から/「釧路川柳社同人」河瀬 風子

       ファイターズ大航海の夢続く村本幸夢螺 日ハムファンなのでしょうね。散々な成績が続いた後、去年は持ち直して頑張りました。スポーツ観戦は力が入り過ぎ疲れてしまうのであまり見ませんが、ファンは一喜一憂していました。今年こそ勢いが続くことを信じて応援してください。枯れた鉢あきらめきれず水を差す佐々木か

    • 2025年2月18日
  • 苫小牧川柳社
    苫小牧川柳社

       初春の夢のお告げは素通りで坂本 富子にあってる白いぼうしの富士山よ小林 立幸いろいろな終りが来るも日々新た宮副恵美子思うまま生きる自由を満喫し坂本美地子ストレスを川柳にして吹き飛ばす中津 遊水冬将軍暴れた日には鍋奉行村本幸夢螺過去形の空から新春(はる)の笑い湧く櫟田 礼文知らぬ間に微

    • 2025年2月18日
  • たるまいそう短歌会
    たるまいそう短歌会

       おせち料理お腹いっぱい飲み食ひし明日なき人らに思い馳せつつ泉  玄冬裏庭の枝切り終えて安堵すも毒蛾のせいかリンゴの頬っぺメグ 宗満十七も年の差のあるいとこなり「博子姉ちゃん」と言われ驚く梅津ひろ子詐欺罪で逮捕されたる男の眼まっすぐ前を見つめ平然梅津 譲一

    • 2025年2月18日
  • 民報歌壇
    民報歌壇

       庭に佗(た)ついちいの枝の間(あわい)より朝日ちりばみ万華鏡のごと桐渓 淑子頂きし林檎サクサク朝食後「金」となりたる由縁信じて神成 靖子初春の柏手打ちて部屋内に冬陽まろやか家族をつつむ伊藤 妙子冬日和明るき窓辺の鉢ふたつハイビスカスの紅極だちて岡田 京子誕生日思いもよらないプレゼント浮き立

    • 2025年2月11日
  • 「美術館・博物館の事件簿」/島田真琴著/展示の裏側にあるもの
    「美術館・博物館の事件簿」/島田真琴著/展示の裏側にあるもの

       美しい絵や貴重な文化財が陳列される美術館・博物館。その展示の陰で何が起きているのかなと思ったことはないだろうか。本書は、国際商取引やアート関係の法律に精通する弁護士が、16件のアート関係の法廷闘争を解説。各国の法律や文化・歴史的背景、解決までのプロセスを掘り下げる。 例えば20年ほど前、米国の有

    • 2025年2月11日