考える
- 2021年9月8日
共生社会の実現を目標に掲げた東京パラリンピックが閉幕して3日。テレビからテーマ曲は消えても、競技者らの言葉が心の奥で響く。 マラソンや徒競走、競泳などを除けば、初めて見る競技が多かった。障害を持つ人たちと自分の立つ位置との距離の大きさなのだろう。カメラが競技者の体や表情をテレビ画面に写し出
共生社会の実現を目標に掲げた東京パラリンピックが閉幕して3日。テレビからテーマ曲は消えても、競技者らの言葉が心の奥で響く。 マラソンや徒競走、競泳などを除けば、初めて見る競技が多かった。障害を持つ人たちと自分の立つ位置との距離の大きさなのだろう。カメラが競技者の体や表情をテレビ画面に写し出
白老町の森の中にある旧飛生小学校で先日、著名な美術作家奈良美智さんがDJを務める野外音楽を楽しんだ。廃校の木造校舎で芸術活動に取り組む飛生アートコミュニティーが企画した芸術祭プログラムだ。グラウンドの芝生の上で両足を伸ばして座り込み、奈良さん選曲のフォークやロックにじっくりと聞き入った。初秋の森に
田んぼが黄金色に染まっている。秋の日差しを浴びた景色は、目にもまぶしいほどだ。こうべを垂れる稲穂は、出来秋を予感させる。夏の記録的な暑さも、稲にとっては大歓迎だったようだ。胆振東部の米どころ厚真町は間もなく収穫期。きょう、胆振東部地震から3年を迎えた。 3年前の地震直後、勤務地だった千歳市
テレビを1日に何時間見るか―。子どもの頃、そんな統計がまとまるたび「勉強もしないでテレビばっかり見て」と、叱られた世代だ。 以前の新聞に「テレビを見る人減少」という記事があった。NHK放送文化研究所が5年ごとに行っている国民生活時間調査によると、1日にテレビを見る人の割合が1960年に調査
海辺によく出向く。海岸や港で焼き肉やキャンプを楽しむ人が増えたようだ。感染リスクを回避できるレジャーとしてアウトドアの人気は高く、家族や仲間でこんろを囲む様子は実に楽しげ。もっとも屋外だからリスクはないとはならない。注意は必要だ。 海岸線が観光資源の神奈川県内でバーベキューごみの増加が問題
ザ・ローリングストーンズのドラマー、チャーリー・ワッツさんが8月24日、80歳で亡くなった。バンド結成翌年の1963年から活動してきた寡黙な仕事人。派手なボーカリストのミック・ジャガーさんやギタリストのキース・リチャーズさんとは対照的な存在で、持ち場で静かに輝く人だった。シンプルなドラムセットを愛
赤ちゃんが「ニーッ」と笑ってくれたように見えるのは気のせい。近付いて来る顔を、授乳などの時に優しく声を掛けてくれる母親の顔や目と勘違いしているだけ―。 そう言ってしまえば味も素っ気もないのだが、それにしてもあの笑顔はうれしい。子どもを育て、孫の乳児時代を見てきたのだから、もう慣れっこのはず
道端で、キバナコスモスが風に揺れている。4年前に亡くなったシンガー・ソングライターの加川良さんの名曲「コスモス」を思い浮かべた。こんな詞だ。〈冬に開く花あれば 夏の日射しにもえる花 垣根の中で咲く花や 野辺にゆれる花もある〉。季節は巡って猛暑だった夏も終わり、あすから9月。初秋を迎えている。
新型コロナウイルスとの闘いは1年半以上にもなる。もうマスクを着けることへの抵抗感はなくなったが、自然と行動範囲は狭くなり、意識はしなくてもストレスを感じることが増えてくる。「災害」とも言える感染症を乗り越える時期はいつなのか。多くの市民が不安を抱えている。 感染爆発で緊急の課題として浮上し
「明かりははっきりと見え始めている―」。25日夜の記者会見で菅義偉首相が、珍しく情緒的な表現も使って新型コロナウイルス対策の到達点や見通しを説明した。 下を向いて原稿を読み続けることの多い菅首相。コロナ対策でも「発信力がない」と批判される。外出や外食を控える、飲食店の営業時間短縮など国民や
東京パラリンピックは競技開始3日目の27日、新たにアーチェリー、車いすテニス、シッティングバレーボール、柔道、ボート、陸上の6競技が始まり、これまでの9競技から15競技に広がった。28日にはボッチャ、トライアスロン、その後もカヌー、射撃、テコンドー、バドミントン、ブラインドサッカーが順次始まる予定
国内外で活躍するアート界のレジェンド、横尾忠則さん(85)。自身が自作について語る企画「我流点睛」が週1回、本紙に掲載されており、身近に感じている人も多いのでは。 今年は東京五輪・パラリンピックにちなみ、長女で画家の美美さんと、JR東京駅前で隣り合わせに並んでいる2棟の高層ビルの壁一面を使
プラスチックが大量に使われるようになったのは20世紀の半ばからという。その時期に生まれ、普及のありようを、つぶさに見てきた。 菓子は紙袋で買っていたがつるつるのプラスチックの袋入りになった。木や鉄板製のおもちゃがプラスチックに変わった。ジュースやサイダーのガラス瓶は軽いプラスチックになった
日本―米国の決戦となった東京五輪の野球とソフトボールでは日本が共に勝利を果たしたことは記憶に新しいが、競技発祥の米国には野球に関する傑作映画が数多い。 小職が子供の頃は「がんばれ! ベアーズ」が大ヒット。日本ロケの高倉健出演「ミスター・ベースボール」、近年の野球新理論を扱った「マネー・ボー
本紙の「なんでもトーク」欄で「焼き肉論争」が起きている。「暑くて窓を開けたら、隣家が外でしている焼き肉の臭いと煙が家の中に充満」と6日に掲載された投書が始まり。11日には「洗濯物に臭いが付くので暑いのを我慢して窓を閉めるしかなく、熱中症になりそう」と50代主婦から。すると16日に「公園の密を避けて
新型コロナウイルスの新規感染者が増え、各地で最多最多の悲鳴。子どもの感染も増加し、本州では夏休み延長検討の動きも出始めた。 日々大きくなる数字におののきワクチンとマスクにすがりながら、わが家なりの最悪への備えを考えてみた。しかし報道によれば胆振も国の感染ステージでは「4」。苫小牧も十分に危
白老町虎杖浜で興味深いイベントが計画されている。王子製紙苫小牧工場カメラ会に所属した故山崎壽昭さんが、昭和30~40年代の虎杖浜の姿を捉えた写真を屋外展示するアートプロジェクトだ。 「歩いて巡る屋外写真展・虎杖浜/アヨロ」と題した催しを27日から開くのは、白老町民やアーティストでつくるウイ
けさは不安にかられながら検温した。昨夜は飲酒もせず早めに就寝し、ぐっすり眠れたはずにもかかわらず、全身が疲労しているような気だるさ。地球の重力を必要以上に体中で感じるが、体温は平熱の36度2分。まずは一安心。きのう新型コロナウイルスワクチンの2回目接種を終えた。 苫小牧市保健センターで7月
6日の広島市と9日の長崎市への原爆投下、そして15日は終戦―。76年目の今年も、この3日間と前後に恐怖と苦痛を体験した人たちの、記憶を聴き取る報道が続く。 自分もいろいろな人と出会い記事を書いた。しかし、残念ながら思い出すのは知識と取材力不足が目立つ記事ばかりだ。 テレビの、いわゆ
東京の新型コロナウイルスの感染状況に危機感を募らせた専門家が「制御不能な状況」の言葉を口にした。12日に開かれた、都内の感染状況や医療提供体制を分析するモニタリング会議での新規陽性者数の急増を踏まえての発言。国立感染症センターの代表は「災害レベルで感染が猛威を振るう非常事態」との認識だ。専門家をし
東京五輪の路上競技は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、観戦自粛が呼び掛けられたが、雰囲気だけでも五輪を―と沿道で見物客が密になる場面が目立ち、自粛を徹底させる難しさが浮き彫りになった。札幌で行われた競歩、マラソンでも選手を間近で見られる交差点付近に大勢が集まっていたが、密以外にもう一つ気になった
亡くなった父と母は大正の生まれ。確か父は5人、母は8人きょうだいだ。愛称の記憶がかすかに残るだけのおじやおばも何人かいる。 その次の世代である自分は3人きょうだい。戦後の混乱の残る昭和20年代前半に生まれた、いわゆる団塊の世代に当たる。きょうだい3人が育てた子どもは、2人ずつの計6人。わが
詩人の高橋順子さんが書いた「風の名前」(小学館)が面白い。晩夏に吹く心地よい風、ひそやかに秋の訪れを告げる風を「涼風(すずかぜ)」と呼ぶのだそうだ。18日連続真夏日という観測史上最長の酷暑となった札幌も、東京五輪閉幕の時に合わせたように、そんな風が吹き始めている。 五輪終盤の4日間、競歩・
熱狂の東京五輪が終わり、少しの寂しさの中で日常が戻ってきた。気が付けば新型コロナウイルスの感染者が拡大を続け、再び緊急事態宣言を全国に広げる議論さえ出ている。ワクチン接種は着実に進んでいるはずなのに、最後の武器もなかなか効いてくれないようだ。 このままでは、五輪開催時より厳しい環境の中で開
お盆が終われば秋―。そんなふうに夏の終わりを受け入れてきた道産子が驚く突然の低温。今朝も「寒くない?」で、会話が始まった。 「親の年を思えば、もういつでも会えるというわけではないんです―」。五輪特別連休の大都市の駅で、テレビ取材のマイクに向かって、帰省する意味を説明する50歳前後と思われる
世界205の国・地域と難民選手団の選手ら約1万1000人が参加し、17日間にわたって催された東京五輪は8日、閉幕した。閉会式が行われた国立競技場の大型ビジョンに最後に描かれたのは「ARIGATO(ありがとう)」の文字だった。 新型コロナウイルスの世界的な流行で五輪史上初めて1年延期しての開
東京五輪が閉幕した。命を左右する感染症が流行する中、日本の選手たちは史上最多の総メダル数58個を獲得して大活躍。コロナ禍の私たちに、たくさんの感動を与えてくれた。 開催国の選手は時差や気候に慣れる必要がない分、他国の選手よりも有利で、ある程度のメダル獲得は期待できる。そう考えると、日本が2
東京五輪がきょうとあすで閉幕する。真夏の東京の暑さを避けて札幌に会場を移した男女マラソンと競歩は、結局本州とあまり変わらない猛暑の中での開催になった。 かすかにでも、北海道の秋を含んだ風を選手の皆さんに―とは思うが間に合うかどうか。 きのうは男子サッカー3位決定戦で日本がメキシコに
30年ほど前に苫小牧の宿泊施設休憩室で目にした出来事は印象深い。本州から合宿に来ていた高校アイスホッケー部員が次々と人名を挙げ「あったぞ」と大はしゃぎした。 王子製紙チームの現役部員・OBの姓名だった。当時はまだ、個人名を載せた分厚い電話帳が公衆電話傍らにあった頃。その高校生がページを真剣
夏季五輪で日本選手最年少のメダリストが誕生した。スケートボードの女子パークで銀メダルに輝いた12歳の開心那選手。「かっこいいスケーターになって自分のシグネチャーモデルを作りたい」とインタビューに答えていた。シグネチャーモデルとは、特定の人の名を冠した製品のこと。初めての大舞台で堂々と大技を決め、笑