駒大苫 黄金期再び 全国高校選手権

連覇を達成した駒大苫小牧=24日、釧路アイスアリーナ

 第72回全国高校アイスホッケー競技選手権大会は24日、釧路アイスアリーナで決勝が行われた。駒大苫小牧が武修館を2―0で下し、2011、12年大会以来となる連覇達成に沸いた。

 前回大会(昨年1月、青森県八戸市)、全道大会(同12月、釧路市)に続いて武修館と決勝で激突した駒大苫。第2ピリオドまで互いに無得点と緊迫した展開だったが、第3ピリオド2分すぎに数的優位なパワープレーでFW寺内がシュートリバウンドを押し込み先制。終盤には相手6人攻撃をしのいだ末にDF千﨑がエンプティーゴールを決めた。守備では1年生GKの工藤が完封し勝利に大きく貢献した。

   ▽決勝

  駒大苫小牧2―0武 修 館

   ▽得点者【駒】寺内(鈴木、高橋一)千﨑(石田)▽GK【駒】工藤【武】大塚

 ― 常勝チーム、戻った「一体感」

   駒大苫が重圧をはねのけ、日本一のバトンをつないだ。初戦から小差の試合を粘り強く物にし、決勝では理想的な完封ゲームも達成。FW石田主将(3年)は「我慢強くプレーし続ければ必ずチャンスは来ると思っていた。みんなで守って、攻めて、最後までいいチーム状態を保つことができた」と喜びに浸った。

   連覇の難しさを目の当たりにした世代だった。前回大会では、当時の3年生に年代別日本代表を多く擁したスター軍団の武修館を破り歓喜に沸いた一方、「あんなに強い武修館でも勝てないのか」(石田)と複雑な気持ちが入り交じった。

   石田をはじめFW鈴木(東京小平第三中出)、DF高橋一(日光東中出)、DF高崎(八戸根城中出)ら全国屈指の実力者が最上級生になった今季。次は自分たちがスター軍団と目され、他校に「打倒駒苫」を掲げられた。

   昨夏の全国選抜大会こそ予選リーグで敗退したものの、道選抜(昨年11月)や全道大会を下馬評通りに制し力は証明してきた。それだけに今回の高校総体は「すごくプレッシャーがあった」と石田は吐露する。

   特に初戦の2回戦は桶谷監督が「動きがバラバラ。チームではなく個人の力でプレーしている」と心配するほどだった。

   ただ、試合を重ねるごとに本来の一体感が戻ると準決勝の白樺学園戦では一時勝ち越されるも、猛追し最後は競り勝った。「これで(連覇は)いけると思った」と石田は言う。

   アジアリーグのレッドイーグルス北海道で主力を張るFW大澤、高木、ひがし北海道クレインズのFW池田らを擁した2011、12年大会以来の連覇。来年は06~08年大会(04年から5連覇)以来の3連覇が懸かる。石田は「また駒沢の黄金期を築いていってほしい」と後輩たちに期待を込めた。

 ― 日光育ち2選手大舞台で”輝く” 

   アジアリーグ栃木日光アイスバックスのお膝元、栃木県日光市育ちの下級生が武修館撃破に貢献した。

   まずは先制点を決めた日光東中出のFW寺内(2年)。数的優位なパワープレーで、DF福田(同)と共にゴール前に立つと「練習してきた成果が出た」とFW鈴木(3年)のシュートリバウンドを逃さず押し込んだ

   大会計4試合で2得点2アシストをマーク。当時1年生だった前回大会に続いて、頼もしい先輩たちに日本一を味わわせてもらった。新チームには5人もの日光東中OBが名を連ね、各選手がすでに主力として活躍中。「プレッシャーはかかるけど、次は3連覇を目指したい」

   1年生ながら冷静沈着なセーブで武修館の攻撃をシャットアウトしたGK工藤も日光東中出身。昨年の全道大会決勝に続く完封劇に「リバウンドのケアやファーストショットを決められないよう、いつも通りのプレーができた」と胸を張った。

   好守の原動力は献身的にシュートブロックやフォアチェックを実践した仲間たちはもちろん、武修館のGK大塚(3年)の存在も大きかった。日光東中時代の先輩で、U20世界選手権ディビジョン1グループB(昨年12月、ポーランド)では日本の守護神として優勝に貢献した実力者。「いつも大塚さんの背中を追い掛けてきた。尊敬しているけど絶対に負けたくなかった」と言う。

   大塚に負けじと年代別の日本代表に名を連ねる将来有望な大器。工藤は「守備から味方の攻撃につなげられるようなプレーがしたい。いつかは大塚さんを越えられるようなキーパーに」と成長を誓った。