タプコプ遺跡は、苫小牧市植苗の国道36号植苗橋交差点の西の丘に位置する。1940年に発刊された「苫小牧町史」でも紹介されている古い遺跡だ。本格的な発掘調査は、83年に国道工事に伴い行われた。縄文時代のものと思われる17カ所の住居や六つの墓、続縄文時代の漆塗りの弓、海外(大陸)から持ち込まれたガラス玉などが発見されている。
中でも墓の副葬品として出土した、約2000年前の底が丸いボウル状の「クマ意匠付浅鉢形土器」は市内のみならず、道内でも非常に珍しい出土品だ。クマは器の縁に2対あり、手足を大きく広げ中をのぞき込むように付いている。クマの頭部を突起状に付けたものは多くあるが、体全体を表したものは少なく、極めてまれなものだ。
同じ墓の副葬品として出土した「鉄製品」はX線撮影により分析したところ、鋳造鉄器の斧状(ふじょう)またはくさび形の鉄製品の可能性が高いとされ、九州北部から持ち込まれたと考察される。
「クマ意匠」と「鉄製品」は地域性や時代性を象徴するものと評価され、2023年に市指定有形文化財に登録された。
38年ぶりの認定 新たな発掘に期待
この登録は、市指定有形文化財にとって38年ぶりの認定だった。これをきっかけに、新たな文化財の発掘や登録が加速することを予感させる出来事だ。現にタプコプ遺跡は限られた範囲でしか発掘調査は行われておらず、「まだまだ新たな発見が期待できる場所」と、苫小牧市美術博物館学芸員の岩波連さんは話す。
2点は苫小牧市美術博物館に常設展示されている。愛らしいクマの姿は一見の価値あり。
(通信員 山田みえこ)
【メモ】
「クマ意匠」と「鉄製品」
2023年3月24日指定
所在地…苫小牧市美術博物館内常設展示
管理者…苫小牧市教育委員会