• 鳥類の膨羽 体調管理で重要なサイン
    鳥類の膨羽 体調管理で重要なサイン

       先日、1羽のキツツキの仲間がウトナイ湖野生鳥獣保護センターに搬入されました。それは、国内に生息するキツツキの仲間の中で最も小さいコゲラ(キツツキ目キツツキ科)でした。自動車に衝突してしまったのでしょうか。道路の真ん中で飛べずにいたところを保護されたコゲラは、右側の翼が若干下垂(かすい)し、打撲をして

    • 2025年5月16日
  • 人柄のまち
    人柄のまち

       最近完成した「白老町史 平成版」には、歴史を物語る文章以外にたくさんの町民の笑顔が収録されている。 白老町は、先住のアイヌ民族のルーツを持った人たちが、かつては仙台藩を受け入れるなど、長年にわたり移住者と共に築いてきた地域と言える。 駐在記者として取材を重ねる中で「町の魅力は町民の人柄」と

    • 2025年5月14日
  • 郷土の自然誌◇9 渓谷の滝と岩が工業都市を造った 今も残る「仮発電所」の痕跡 ネッソウの滝と千歳川渓谷
    郷土の自然誌◇9 渓谷の滝と岩が工業都市を造った 今も残る「仮発電所」の痕跡 ネッソウの滝と千歳川渓谷

       平常時は枯れ滝となるネッソウの滝春の放水でよみがえったネッソウの滝滝の上流の翠明橋仮発電所の送水路と思われる滝の横の斜面の掘り割り 支笏湖への入り口に「翠明橋」という、さほど大きくない古い橋がある。千歳川渓谷に架かる橋で、ここを渡って坂を登り、2、3度カーブを曲がると支笏湖である。この橋の下流にある

    • 2025年5月12日
  • 《宝の山だった千歳川渓谷》 岩からブロックや砂利を製造
    《宝の山だった千歳川渓谷》 岩からブロックや砂利を製造

       およそ120年ほど前の、この滝の写真が残っている。見ると、現在の放流時の3倍ほども幅が広い。瀑布と言ってよい。滝の上の川岸には何軒もの家が立ち並んでおり、今でもその辺りの地名を「滝の上」という。渓谷に暮らした人々の息吹を感じる地名である。「仮発電所」というのは25坪ほどの木造で、発電量は500㌔㍗

    • 2025年5月12日
  • ある日のオジロワシ 不運が重なる1羽の成鳥
    ある日のオジロワシ 不運が重なる1羽の成鳥

       ウトナイ湖に着任して、はや1カ月がたちました。野鳥の楽園である勇払原野は、夏鳥と冬鳥の入れ替わりの季節を迎えています。北国の厳しい越冬生活を乗り越えたツグミや、オオワシなどの冬鳥はそれぞれの繁殖地へと渡っていきました。今は約7500㌔離れたオーストラリアから飛来したオオジシギの雄が「ジュ~イッ、ジ

    • 2025年5月2日
  • 郷土の自然誌◇8 支笏湖(下) 支笏湖ブルーとヒメマス 低温と貧栄養で透明度20㍍超 自然を守る湖畔の人々の生活
    郷土の自然誌◇8 支笏湖(下) 支笏湖ブルーとヒメマス 低温と貧栄養で透明度20㍍超 自然を守る湖畔の人々の生活

       支笏湖は湖水の透明度が高いことで有名だ。青々とした色は「支笏湖ブルー」といわれる。透明で青く見える湖をこの目で見たい、そして湖の中を泳ぐヒメマスを見たい。そんな期待を胸に、水中を観察できる遊覧船に乗った。■遊覧船から水中を眺める50人乗りの遊覧船「サファイア」が、桟橋に着いている。遊覧時間は約3

    • 2025年4月28日
  • 《アイヌ語名でカバチェッポ》 殖民公報に阿寒湖の記述
    《アイヌ語名でカバチェッポ》 殖民公報に阿寒湖の記述

       明治から大正時代の北海道の様子を記した公報誌「殖民公報」に、阿寒湖のヒメマスについて次のような記録がある。「釧路國阿寒湖に特産の鮭・鱒族の一種あり、カバチェッポ(アイヌ名)と稱す…」。以下、現代用語で概要。「大きさは8、9寸(約24~27㌢)背は深緑色、腹部は銀白色、肉色は紅色ですこぶる脂肪に富み

    • 2025年4月28日
  • 野鳥の子育て期到来 温かく見守って
    野鳥の子育て期到来 温かく見守って

       ウトナイ湖畔の林にも、春の訪れを告げるナニワズが、鮮やかな黄色い花びらで彩りを添え始めました。小鳥のさえずりも響き渡るようになり、野鳥たちの繁殖期がいよいよ本格化するこの季節。ぜひ皆さま、改めて、野生の生きものたちの営みを、温かく見守っていただけたらと思います。近年、人気を博しているエナガ(スズメ

    • 2025年4月18日
  • 情熱はまだある
    情熱はまだある

       昨年4月、生活情報誌を作る業務から報道部に異動した。15年ぶりに新聞記事を書き始め、4月でようやく1年がたった。気持ちは「新人記者」で、ただいま奮闘中だ。 取材と執筆を進める中で、社内外の多くの方の指導、協力を得て記事掲載に到っており感謝しかない。伝えるべき情報をしっかりと届けられているかどう

    • 2025年4月16日
  • 郷土の自然◇7 支笏湖(上) 水中や湖岸にマグマの角柱 石切り場跡利用で公園に 柱状節理と札幌軟石
    郷土の自然◇7 支笏湖(上) 水中や湖岸にマグマの角柱 石切り場跡利用で公園に 柱状節理と札幌軟石

       石切り場跡を公園にした「石山緑地」 私たちが住む大地をつくった出来事の一つに、支笏火山の噴火があるということは、このシリーズで何度か触れている。その噴火の形跡が、柱状節理や札幌軟石という岩の形で残っているという。それを見ようと支笏湖と「石山緑地」を訪ねた。 ■遊覧船からの眺め 柱状節理は、支笏

    • 2025年4月14日
  • 《苫小牧の軟石造りの建物》
    《苫小牧の軟石造りの建物》

       苫小牧市内に残っている軟石づくりの建物は数少ない。錦町・すずらん通りの元中島呉服店石蔵と竹本呉服店石蔵、それに大町・新川通の旧小野質店石蔵がそれで、札幌軟石、あるいは登別軟石を使っていると考えられている。札幌軟石は支笏火山(支笏湖)、登別軟石は倶多楽火山(倶多楽湖)の噴火による凝結溶灰岩。倶多楽火

    • 2025年4月14日
  • 少雪 13日は「湖水開き」
    少雪 13日は「湖水開き」

       今年は、この冬を振り返ると気候が変わってきていると実感する出来事が多くありました。千歳・支笏湖氷濤(ひょうとう)まつり期間である2月の平年値を見てみると、1991~2020年の平均気温が氷点下4・5度に対して、今年の2月の平均気温は同2・5度であり、2度も高くなっています。体感としても例年より暖か

    • 2025年4月11日
  • オールド
    オールド

       最近、新聞やテレビはオールドメディアと呼ばれ、SNSを中心に批判されることが多い。だが、東胆振の町ではインフルエンサーと呼ばれる影響力のある人が発信することはほぼない。高齢者を中心に新聞が読まれ、喜ばれたり、怒りの声を聞いたりすることがある。熱心に記事を見てもらえるのはうれしいことなので、意見を寄

    • 2025年4月2日
  • 地域紙にできること
    地域紙にできること

       先日、小学生のアイスホッケー大会を取材した。保護者の1人が「記事を載せてもらって、子どもたちもすごく喜んでいました」と言ってくれ、額に入れて大事にしている記事もあるという。入社してわずか半年余だが、記者冥利(みょうり)に尽きるとはこのことだろうか。 昨年8月から、スポーツ部記者として働き始めた

    • 2025年3月26日
  • 郷土の自然◇6 紋別岳 数百万年前にできた山々 支笏カルデラ以前の風景想像 支笏の山々を一望
    郷土の自然◇6 紋別岳 数百万年前にできた山々 支笏カルデラ以前の風景想像 支笏の山々を一望

       支笏湖温泉街の北に紋別岳(865・6㍍)がある。支笏カルデラの外輪山の一つである。その北側には湖岸からやや離れてイチャンコッペ山(828・7㍍)があり、夏なら初心者でもひと汗かけば登ることができる。山頂からは支笏湖周辺ばかりでなく札幌方面の山々も眺められ、支笏カルデラ形成以前の風景まで想像ができる。

    • 2025年3月24日
  • 水鳥の北帰行始まる 親子のオオハクチョウ
    水鳥の北帰行始まる 親子のオオハクチョウ

       早いもので、春の訪れの兆しを感じる季節となりました。ウトナイ湖の春の風物詩、ガンのねぐら立ちも見られるようになり、多くの水鳥たちが北の繁殖地を目指します。そんなウトナイ湖で先日、オオハクチョウの親子を見掛けました。ご存じの通り、オオハクチョウの体は真っ白ですが、成鳥になるまでは灰色の羽毛を身にまと

    • 2025年3月21日
  • 支笏湖日記 地域の自然を思う きっかけづくり学ぶ研修
    支笏湖日記 地域の自然を思う きっかけづくり学ぶ研修

       先日、支笏湖ビジターセンターで、インタープリテーション研修が開かれました。講師は環境省アクティブ・レンジャーの阿部万純さん。心身に響いた研修でした。インタープリテーションとは、来訪者が地域の自然・文化・歴史について興味を持つ、好きになる、大切だと思うきっかけづくりの手法です。支笏湖やその自然を紹介

    • 2025年3月14日
  • 母の入院2
    母の入院2

       以前このコラムで、母が骨折で入院した際のことを書いたが、今年に入り、心臓の不調で再び母が入院した。急な出来事で本人も家族も大慌てとなったが、順調に回復し、5日間で無事退院した。 ただ、さすがに以前のようなパワフルな動きはすぐには戻らず、雪かきや買い物など、生活のちょっとしたことが大変になった。そん

    • 2025年3月12日
  • 《硫黄と温泉》
    《硫黄と温泉》

       火山は多くの恵みを人々に与える。温泉、そして硫黄。 恵庭岳の場合、温泉は丸駒温泉が有名で、大正4年の創業。創始者の佐々木初太郎氏はもともと王子製紙千歳川水力発電所の建設に携わっていた。昭和40年代まで道がなく、湖畔(支笏湖温泉)との間を船で行き来した。 硫黄に関しては、ポロピナイの湖岸に「

    • 2025年3月10日
  • 郷土の自然◇5 恵庭岳 爆裂火口を持つ巨大な岩山 大地のドラマとアイヌの世界一望 岩塔そびえる山頂
    郷土の自然◇5 恵庭岳 爆裂火口を持つ巨大な岩山 大地のドラマとアイヌの世界一望 岩塔そびえる山頂

       弧を描く支笏カルデラ。(写真上部左から)イチャンコッペ山、紋別岳、キムンモラップ、モラップの山々が連なる「第一見晴らし」から山頂の岩塔と火口を眺める■巨大な岩の塊恵庭岳の登山口は、ポロピナイの札幌側にある。山体は切り立った三角すいで、その東側に上部を吹き飛ばしたような爆裂火口と、その下に続く深い沢が

    • 2025年3月10日
  • 雪の妖精と早春の使者 見頃迎える野鳥たち
    雪の妖精と早春の使者 見頃迎える野鳥たち

       この季節のウトナイ湖には、エナガの亜種シマエナガ(以下、シマエナガ)を目的に訪れる方が多くいらっしゃいます。この鳥は一年中ウトナイ湖に生息していますが、私たちは冬を観察に適した時期としてご紹介しています。理由としては、木々の葉が落ちて見つけやすくなること、群れで行動すること、そして寒さを防ぐため羽毛

    • 2025年3月7日
  • 平成をたどる 苫小牧の70年◇13 第Ⅱ部「転換の時代」① 平成5(1993)年 「55年体制」の解体 非自民政権、細川内閣支持75%に 苫小牧では労働戦線統一
    平成をたどる 苫小牧の70年◇13 第Ⅱ部「転換の時代」① 平成5(1993)年 「55年体制」の解体 非自民政権、細川内閣支持75%に 苫小牧では労働戦線統一

       バブルは崩壊し、その後遺症が続く中で、戦後日本がつくりあげてきた政治、経済、社会、そして価値観の転換が進んだ。平成5(1993)年、総選挙で自民党が過半数割れし、非自民連立政権が誕生した。苫小牧では地区労と地区同盟が合体して連合苫小牧が発足。戦後政治を形づくってきた自民党と社会党を主軸とする「55

    • 2025年3月5日
  • 励まし
    励まし

       入院と手術のため、しばらく白老支局を留守にしている。2023年8月から9月にかけても同様の事情で留守にした。その時は「姿を見ないが何かあったのか」と連絡があり、心配をおかけした。今回は、入院前に公共施設などを中心に入念にあいさつ回りを進めていた。大丈夫です。元気です。 白老町は人口約1万500

    • 2025年3月5日
  • 金次郎の沢
    金次郎の沢

       かつて、風不死岳の登山ルートとして大沢コースというのがあった。大沢は支笏湖に向かって大きく口を開いた沢で、登山路があるわけではなく、険しい沢沿いに進み、何度か涸(か)れ滝を回り込む難しいルート。人身事故があったため「北尾根コース」が開かれた。この大沢が「金次郎の沢」と呼ばれたことがある。「金次郎」

    • 2025年2月24日
  • 郷土の自然誌◇4 大地の成り立ちを山頂から一望 似たマグマ、樽前山は一体の火山? 風不死岳 一直線に並んだ 「支笏三山」
    郷土の自然誌◇4 大地の成り立ちを山頂から一望 似たマグマ、樽前山は一体の火山? 風不死岳 一直線に並んだ 「支笏三山」

       樽前山の北西に位置する風不死岳(1102・5㍍)は、約2万6000年前に支笏湖の南岸に噴出した火山だ。樽前山、恵庭岳とともに「支笏三山」と呼ばれることもある。その山に登り、大地の成り立ちを感じ取る。風不死岳山頂から見た樽前山。火口原と溶岩ドームの様子がよく分かる。写真下部に山頂プレート(裏面)

    • 2025年2月24日
  • 順応性、実はかなり高い? 自然界では警戒心強いアオバト
    順応性、実はかなり高い? 自然界では警戒心強いアオバト

       先日、苫小牧市美術博物館で開催中の企画展「足もとから見つける、まちの自然」を訪れました。私たちが暮らす身近な場所で見ることができる動植物が、300点以上の標本や剥製、写真などで紹介されており、大変見応えのある展示でした。その中に、アオバト(ハト目ハト科)の展示コーナーを見つけました。アオバトとは、漢

    • 2025年2月21日
  • 過剰な登山者数、年間3万人 樽前山〈下〉 登山者と登山路 登山路が自然破壊の引き金に
    過剰な登山者数、年間3万人 樽前山〈下〉 登山者と登山路 登山路が自然破壊の引き金に

       樽前山の自然誌を紡ぐ時、大きく三つの要素がある。火山、動植物、そして人との関係である。行政的にいえば火山防災、自然環境保護、そして観光である。現状では、観光は安全登山と言い換えることもでき、登山者と登山路の在り方がクローズアップされている。■オーバーユース 樽前山の登山者数は年間3万人とも

    • 2025年2月10日
  • 戦前の樽前山登山コース
    戦前の樽前山登山コース

       昭和20年代初めより以前、苫小牧からの樽前山登山は、錦岡から山麓林を経て西ピークに到るコースが普通だったようだ。昭和7年に秋元重則という人が記した、樽前山登山案内「山への導き」という手作りのガイドがある。ガリ刷り(孔版印刷)で「発行 苫小牧町」とある。それによると「室蘭線錦多峰(錦岡)駅より麓

    • 2025年2月10日
  • 11 企業トップ 道外への販売拡充 自社で生産、製造、消費を フジタコーポレーション 遠藤大輔(えんどう・だいすけ)社長
    11 企業トップ 道外への販売拡充 自社で生産、製造、消費を フジタコーポレーション 遠藤大輔(えんどう・だいすけ)社長

       ―2024年を振り返って。「原価高騰や最低賃金のアップなど、不安要素を抱えたまま24年を終えた。飲食店関連は値上げにより、前年比100%を維持しているが、ひもとくと客単価は5%増、客数は5%減。総じて悪くはないが、中身が大事で、課題でもある。客数を落とさないことは外食店の大きなテーマ」「対策としては

    • 2025年2月7日
  • 企業トップに聞く 10 ホテルニュー王子 小林 健司(こばやし・けんじ)社長 高品質化で収益高める ビジネス需要が増加
    企業トップに聞く 10 ホテルニュー王子 小林 健司(こばやし・けんじ)社長 高品質化で収益高める ビジネス需要が増加

       ―2024年を振り返って。「23年の脱コロナから、より安心安全なサービスの提供を推進した年になった。当社のホテル、機内食サービス事業の二つの大きな柱は、コロナ前の状況に『もうちょっと』というところ。コロナ禍で一時は売り上げが20%まで落ちたが、今は80%ぐらいまで戻った。特に23年度との比較では

    • 2025年2月6日