薄情
- 2021年2月6日
テレビに欧米の新型コロナウイルスワクチンの接種風景が頻繁に映る。グサッと深く刺される針を見ないように、反射的に目をそらす。 怖いのだ。鈍感と頑健だけが取り柄だったはずなのに、定期的に採血される体になってから注射が苦手になったようだ。 集団免疫とはどういうものなのか。1846年、大西
テレビに欧米の新型コロナウイルスワクチンの接種風景が頻繁に映る。グサッと深く刺される針を見ないように、反射的に目をそらす。 怖いのだ。鈍感と頑健だけが取り柄だったはずなのに、定期的に採血される体になってから注射が苦手になったようだ。 集団免疫とはどういうものなのか。1846年、大西
木曜日掲載の本紙釣り倶楽部の編集を担当している。海釣りの対象魚が減るこの季節は氷上ワカサギ釣りの最盛期。冬の風物詩として、4日付の釣り面でも紹介した。 沼など氷の上で、寒風に吹きさらされながら魚信を待つのは正直、つらいばかりではと思っていた。ワカサギはおいしいが、店で手軽に買うことができる
前回、宮城県を訪れたのは2016年2月。東日本大震災発生から5年を迎えようとしている時だったが、依然として各地に深い爪痕が残っていた。旧石巻市立大川小。他の場所とは全く異なる、何とも表現し難い重苦しい空気が漂っていたのを覚えている。 地震発生後、校庭での1時間弱の待機を経て避難した結果、児
道産子。子どもの頃から冬も寒さも嫌いではなかった。夏の暑さには逃げ場が少ないが、服装でしのぐことのできる冬は過ごしやすい。 寒さは老いの敵らしい。母が晩秋になると「冬が来るね」と憂鬱(ゆううつ)そうに繰り返していた声を思い出す。自分も冬がつらくなってきた。歩くスキーと西洋かんじきは物置の備
雪だるまが二つ並んでいる。札幌市中央区の時計台前。記念写真用に造られたのかもしれない。今年は史上初めて雪まつりが中止になり、観光客の姿はほとんどない。あすはいつもより1日早い立春。コロナ禍で寂しい季節が行く。 ちょうど1年前のさっぽろ雪まつりの取材風景を、思い出している。開幕直前の1月28
マスクをめぐってけんか沙汰―。関西地方で一昨日、そんなことがあった。報道によると、きっかけは「こいつマスクをしていない」というひと言。コンビニ店内で会計待ちをしていた50代の男2人の言い争いが始まり、殴り合いにまで発展したという。言い方や態度が気に障ったのだと思うが、マスク未着用をとがめる「マスク
新型コロナウイルスとの距離が知人らと話題になる。「近所や同僚に感染者は?」。そんな会話をしながら、警戒の必要を確かめ合う。 この数日、距離を考えさせられる何種類かの数字が報道されていた。世界の感染者数が27日に1億人を超えた。全世界の78人に1人が感染したとか。死者数も200万人以上。朝日
札幌市に住む知人から年初に届いた年賀状に「コロナで行きつけのススキノの店が3軒つぶれました」と残念そうなコメントが記してあった。考えてみると、新型コロナウイルスの感染拡大が報じられるようになった昨春以降、「夜の街」から遠ざかるようになった。自分が感染したら家庭も職場も「日常」を失い、混乱することを
キムチ鍋、みそ鍋、豆乳鍋などのつゆのパック入りが、食品売り場の目立つ所に並んでいる。家族や仲間でにぎやかに味わうと、身も心もほかほかになるのが鍋料理。寒い季節には欠かせない。 大抵は一つの鍋を複数の人でつついて食べるが、今冬は感染症予防策として、飲食店情報の検索サイトを運営する東京のぐるな
地方新聞社に勤めて、いろいろな働き方を経験してきた。1人支局勤務は今風にいえばテレワークか。コンピューターもインターネットも携帯電話もない時代のこと。 連絡は机上の黒電話か外出中なら街角の公衆電話で行っていた。本社の編集局には管理部門と、記事に見出しを付け、紙面の割り付けをする整理部門があ
「王子、イブ決戦で劇的V」「連覇果たす」「城野が決勝ゴール」と1面やスポーツ面に大見出しが踊った。1990年クリスマスの12月25日に配られた苫小牧民報だ。 苫小牧の王子製紙アイスホッケー部は前日、第25回日本リーグで初採用されたプレーオフを制した。5戦3勝先取方式で国土計画と競い、東京で
2020年の自殺者数(速報値)は2万919人で、11年ぶりに増加に転じたと厚生労働省が発表した。新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済状況の悪化や外出自粛の影響も考えられるという。 著名人の自殺も相次いだ。インターネット上の中傷が原因とみられる人もいたが、死を選んだ理由が他人にたやすく分かる
新型コロナウイルス対策のワクチン接種準備が日本でもようやく見え始めた。詳細はこれから。マスク、手洗いの時期はまだまだ続く。 マスクの着け方はいろいろ。おかしいと思っても注意しにくいものだ。大学入学共通テストの東京都内の会場で、鼻を出したままの受験生が、鼻まで覆うよう、監督者に6回にわたって
白老アイヌ協会が白老で作られたアイヌ文様の保護と管理の仕組みづくりに乗り出した。伝統を基礎に地元の手工芸家が生み出した文様作品を知的財産と捉え、勝手に使われたりすることのないようにする試みで、作品管理のデータベースを構築する専門委員会も立ち上げた。 背景にあるのは、アイヌ文化をビジネスに取
今から10年以上前の体験談。普段では考えられないような赤恥をかいて、きのうのことのように覚えている。親を亡くし、市役所で各種手続きをしたときの話。複数の窓口をはしごし、長い時間待たされ、かなり疲れていたと、先に言い訳しておく。 最後に行った手続きが、犬の飼い主登録の変更だった。それまでいろ
乗っている小型乗用車は起動時、きょうは何の記念日かを女性の声で教えてくれる。14日朝は「きょうは、愛と勇気と希望の日です」。 初めて聞いた。前期高齢者には縁のない熟語ばかりで、寒い車内で思わず噴き出した。インターネットで調べると南極越冬隊が1958年、カラフト犬のタロとジロたち15頭を残し
日々使っているパソコンで「せいじか」を入力した際、「政治禍」と変換されて驚いた。「政治家」以外、表記したことはない。感染拡大に歯止めがかからない新型コロナウイルスと、世論調査の内閣支持率が急降下した菅義偉首相の顔が思い浮かんだ。 通常国会が始まった。まずはコロナ対策の医療や経済の各種支援を
「たこ焼きじゃんけん」をご存じだろうか。めいっ子らの間で以前、はやっていた。記憶は少々あやふやだが、グーは「たこ焼き」、パーは「タコ」で、チョキの代わりに人さし指を立てて「爪ようじ」―だったと思う。勝敗は普通のじゃんけんと逆でグーはパーに勝つが、爪ようじには負ける。地方によってルールが若干異なる上
歌って何なのだろう。こんなにも心を動かすのは詞なのか旋律なのか。先日、阪神・淡路大震災を振り返るNHK・BS1の「しあわせ運べるように―神戸が生んだ奇跡の歌の物語」を見て考えた。 「しあわせ―」は、大震災直後、神戸市内の小学校の音楽教諭だった臼井真さんが作詞・作曲した。ラジオやテレビで何度
降り積もった雪を吹き払う風を「浚風(さらいのかぜ)」と呼ぶのだそうだ。先日、歩いた札幌の中島公園で、そんな風が吹いていた。きょうは小正月。20日には大寒を迎え、厳冬の季節が行く。 年末年始は苫小牧に帰省せず、鈴木直道知事が呼び掛けた「静かな年末年始」を実践し、札幌で過ごした。読みたかった本
スマートフォンに防災速報のアプリを入れている。エリアを登録することで、その地域で起きた事件や事故、地震、大雨などの情報を速やかに教えてくれる優れ物だ。昨年末に岩手県内陸北部で最大震度5弱を観測し、当地も揺れた地震は、このアプリの警報音で事前に目が覚めた。最近も苫小牧市内で連続発生する車上狙いに対し
雪による人身事故が続く。犠牲の多くは高齢者だ。「屋根の雪下ろし作業は2人以上で。必ず命綱を」。呼び掛けがむなしく聞こえる。 今冬は東北や北陸各県が大雪に見舞われている。例年の数倍の積雪の所もあるようだ。重い雪につぶされた建物がテレビ画面に映っていた。自衛隊の災害出動が行われ、学校の屋根の雪
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で1年延期となった2020東京オリンピックは、今年7月23日開幕する。順調なら史上最多の33競技339種目が8月8日まで繰り広げられ、各種目の「世界一」が決まる。引き続き8月24日には東京パラリンピックが開幕、9月5日まで22競技539種目で覇を競う。
今年の成人式は、予定通りに実施した、挙行回数を増やした、日時を決めるか未定にして延期した―など自治体で対応が分かれた。式やその前後の会食で感染症が拡大することを心配したもので、昨年ならあり得なかった中止も多数あったことに、コロナ禍の深刻さを痛感する。 新成人は、多くの人が亡くなった自然災害
「初めて 心から勉強したいと思いました」。往時の同僚からの年賀状の書き込み。感染症と人類の闘いの歴史を知って考えたそうだ。 何かを「学びたい」と切実に思い、「勉強しておけばよかった」と後悔することがある。自由な時間は増えているはずなのに根気や体力が衰えて行動を起こせず、後悔ばかりが積もって
あと1年と1カ月後、中国・北京で聖火が燃え盛っている、はず。地球上の新型コロナウイルス情勢は予断を許さないものの、冬季五輪の次回大会はもう間近と言える。 出場権を既得しているアイスホッケー女子代表「スマイルジャパン」が挑む。直近世界ランキングは6位。女子の正式種目化は6カ国が競った1998
苫小牧で迎えた2度目の冬。昨年はウトナイ湖でハクチョウを見たり、アイスホッケーの試合を観戦したり、寒さに震えながらも冬を満喫した。新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない首都圏にきょう、緊急事態宣言の再発令が決定される見通しだ。苫小牧市内は現時点で外出自粛を求められているわけではなく、マスクを着用
白老町の虎杖浜神社が立つ丘から眺める日の出の光景は、日本一ではないかと思うほど美しい。元日の朝、海岸沿いにある丘に家族と登り、眼下に広がる海原の雲をオレンジ色に染めたご来光へ手を合わせた。未知のウイルスに翻弄(ほんろう)され続けた日々に終止符を。列島各地で昇る日の光を見詰めた人々は皆、そう祈ったの
年明け早々から取材現場で、コロナ禍の影響を実感している。例年であれば大手企業などの仕事始めに顔を出し、トップらが明確な目標を示して夢や希望を語る様子に、こちらも多くの気付きを得て、気を引き締め直す。今年は年頭行事の簡略化やリモート化が進み、「密」の回避も相まって、立ち会うことすらほぼできずにいる。
コラム担当の一人として振り返れば、今年は「人の世」を考えることが多かった。本道は1月に新型コロナウイルスの最初の感染者が発表され、2月以降は平時の感覚はなくなった。コロナによってさまざまな問題が表面化し、取り上げる視点をあれこれ考えた。 「人の世」というと「智に働けば…」「住