根雪
- 2022年3月12日
10日の本紙最終面「天気概況」によると11日は苫小牧の平年の根雪最終日だという。今年は10日朝でもまだ38センチの雪が残る雪の多い春。 自宅の2階から近所の屋根を見ると、確かに無落雪の水平な屋根には山盛りの雪が残っている。2014年、18年にも30センチ以上の雪が残っていたが、解けるまでに
10日の本紙最終面「天気概況」によると11日は苫小牧の平年の根雪最終日だという。今年は10日朝でもまだ38センチの雪が残る雪の多い春。 自宅の2階から近所の屋根を見ると、確かに無落雪の水平な屋根には山盛りの雪が残っている。2014年、18年にも30センチ以上の雪が残っていたが、解けるまでに
1980年代に駆け出し記者として地域経済を担当していた頃の話。取材先の企業幹部と、「今の日本ならどこかの国を丸ごと買えるのでは」「欧州の城を買うのはどうか」といったことが話題になったことがある。それほど日本に好景気の風が吹いていた。 当時、苫小牧市に本拠地のあった道央市民生協の幹部から米国
道内の高校の入試が一段落した。合否発表を待つ生徒たちは今、期待と不安の入り交じった気持ちでいるだろう。 今年度の受験生は新型コロナウイルスの感染拡大に大きな影響を受けた。1年生の3学期にマスク生活が始まり、道独自の緊急事態宣言で長期休校を体験。2年生からは、国の緊急事態宣言でたびたび長期休
20歳代から乗り続けた乗用車の名前を指を折って数えてみた。5台目を過ぎたあたりから車名があやふやになった。車には申し訳ない。 それぞれの車に、10万キロほどずつ乗ったと思う。通勤や日常の買い物、盆や正月の家族での帰省、山行など趣味の遠出。車は常に玄関の近くに待機し、家族の乗車を待ってくれて
1945年8月、樺太の北緯50度線付近から南の留加多町まで逃避した男性への取材が忘れ難い。徒歩で単独400キロ強を踏破した人は証言時96歳。旧ソ連軍来襲に遭った状況の記憶も克明だった。 先の大戦後、戦争体験のない日本人としてこれまで生きてきた記者は、もしも「敗走」する軍の一兵卒になったら、
北京冬季パラリンピックの開会式で、国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドルー・パーソンズ会長は「ピース(平和)」と叫んだ。しかし、国際社会が束になっても、ウクライナへの侵攻を続け、核兵器の使用をちらつかせ、原発まで攻撃するロシアの「独裁者」を抑えられずにいる。 IPCはロシアと同盟国ベ
地域と個々人の歴史を文章化した「穂別 高齢者の語り聞き史(昭和編) 大地を踏みしめて」が机上にあり、時々、取り出して開く。 旧穂別町の職員らと高齢者が力を合わせ、2014年に出版した。圧巻は下巻末尾の「各地区住宅図」。約30枚の地図に市街地だけでなく農村部のまっすぐな道や曲がった枝道の先の
石倉を使った白老町の文化施設「蔵」に先日、ドラムの音が響いた。昭和期に活躍したバンド・オフコースの名曲をバックに迫力のスティックさばきを披露したのは、元メンバーの大間ジローさん。青春時代を思い出しつつ名ドラマーの演奏にしばし酔いしれた。 これはコンサートではない。4月に開校する熱中小学校江
苫小牧市で新型コロナウイルスワクチンの3回目接種が進んでいる。医療機関で個別接種、ホテルで集団接種を展開し、市民から敬遠されがちな米モデルナ製の有効活用策として、2回目接種から6カ月経過で打てる先行接種にも取り組む。国の方針が朝令暮改の様相を呈した中、体制を整えた関係者には頭が下がる。 当
拳を握り締め胸を張って使われた「正義」という言葉が聞こえる気がした。国が旧優生保護法の下で、障害を持つ人たちに行った不妊手術に関する大阪高裁の判決だ。 障害を持つ人を、一律に「不良」と断定し、子どもを産むことがないよう、あらかじめ不妊手術を行うというのが旧法の趣旨。時には、ついでのようにし
北京冬季五輪で活躍した選手の多くが帰国し、感染対策に基づく隔離期間を終えて古里や活動拠点に戻っている。苫小牧でも女子アイスホッケーの日本代表・スマイルジャパンのメンバーが凱旋(がいせん)し、苫小牧東高校では卒業生4人が日本の女子ホッケーに歴史を刻んだ五輪と自身の思いを後輩に語った。彼女たちの言葉は
日本高野連が甲子園大会での継続試合の導入を発表した。天候不良などで試合が中断した場合、翌日以降に続きが行われることになる。 一発勝負の高校野球。降雨などでのコールドゲームやノーゲームは賛否があった。2003年夏の駒大苫小牧と倉敷工は、駒大苫が8―0と大差でリードしたが降雨でノーゲームに。翌
「フルシチョフ首相は無能だ―」と言い放つ男に逮捕命令が出た。容疑は「重大な国家機密の漏えい」だ。何十年か前に新聞か雑誌で読んだ、旧ソ連時代の政治小話。 1991年に崩壊した旧ソビエト連邦時代に政治の周辺にあった温かみは、ロシアには引き継がれなかったようだ。ロシアが、ウクライナに侵攻した。
先日見たテレビのバラエティー番組で「日本一学校から遠い家に住んでいる子ども毎朝5時起き説」という企画をやっていたが、小学生時代は毎朝徒歩で1時間ほどかけて通学した経験がある。 当時は旭川市在住。今、旭川合同庁舎が立つ辺りにはたくさんのれんが造り平屋建ての国鉄職員官舎が並んでおり、わが家もそ
背丈より高くなった雪山の間の細い道を、譲り合って歩く。今冬の札幌は豪雪地帯のようだ。積もっている雪まで舞い上げる地吹雪ともなると、ホワイトアウトのよう。 そんな季節。チカホ(札幌駅前通地下歩行空間)で店開きしていた古本屋で、立石泰則さんのノンフィクション「魔術師」(小学館)を見つけた。プロ
新聞の用字の基本の一つは動植物名の片仮名表記。例えば椿はツバキ、薔薇はバラ。常用漢字を使い、できるだけ多くの人が読み、理解できるように―という狙いだ。 松竹梅は漢字で書けるが身近な木でも柏はカシワ。動物も犬や猫、馬や牛などは漢字が使えるが北海道にいる羆はヒグマ。記者は用字用語集を常に手元に
新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染力の強さを、日々の新規感染者数の推移から改めて実感する。感覚がまひしたのか、北海道の一日の感染者数が3千人を超えても驚きは少なくなった。たとえ重症化リスクが低くても、日常の感染対策を緩めることをしてはいけない。 感染を抑える効果があるのは、や
世界91の国・地域の選手が参加し、7競技で史上最多となる109種目で熱戦を続けた北京冬季五輪は20日閉幕した。選手約120人を送り込んだ日本は、本道出身選手の活躍などもあって史上最多の18個(金3、銀6、銅9)のメダルを獲得。前回大会(13個)を上回る好成績を残した。 昨夏の東京五輪がそう
テレビから突然、ニュース速報の音が響いた。いつもより音量が大きい。「まさか」と思いながら画面を見ると「ロシアがウクライナに侵攻したもよう」の文字――。 新聞とテレビは連日、北京冬季五輪、オミクロン株の感染動向、そして緊迫するウクライナ情勢のニュースで紙面や番組を作っている。冒頭の架空のニュ
もうじき訪れる春は、生活環境が変化しやすく自律神経のバランスが乱れがち。そのせいか3月は自ら命を断つ人が1年間で最も多い。自殺対策強化月間に定められ、関係団体は毎年、相談事業や啓発活動を展開している。 自殺と聞いて思い出すのは、昨年の暮れ、大物の歌手と俳優の一粒種が札幌市内のホテルで転落死
日本は先制し、2度先行したものの都度追い付かれ、同点の延長戦後、互いに1人ずつがシュートを放ち合うゲーム・ウイニング・ショット戦に。久保英恵選手が唯一のゴール成功を成し遂げた。 相手GKの両脚間を抜けたパックはゴールラインぎりぎりを超えた。今月8日、北京五輪女子アイスホッケー1次リーグの日
子どもの頃から地図帳のインクの匂いが好きで、今も古書店で見つけた巨大なものも含めて何種類かを利用している。先日、最も利用する機会の多い地図が、道外生まれの若い知人から褒められた。 2006年春に大手新聞社が発行した「平成大合併がわかる日本地図」。合併した市町村の旧名や位置も一目で分かるよう
北京冬季五輪前半はアイスホッケー女子スマイルジャパンにくぎ付けだった。17人が苫小牧ゆかりの選手で、ゴールが決まるたびに得点者が「ゆかり」かどうか新聞記事で確かめた。3回目の五輪挑戦となったチーム最年長39歳の久保英恵選手は1次リーグ最終8日のチェコ戦でただ一人、延長戦にもつれ込んだ末のゲームウイ
編んだり、織ったりと、アイヌ民族の女性の手仕事でこの人にかなう者はそういないだろう。白老町の伝統工芸家・山崎シマ子さん(81)がアイヌ民族文化財団の今年度アイヌ文化賞に輝いた。誰もが納得の受賞と言っても過言ではない。同賞はアイヌ文化振興に尽力した人に贈られる。25年前に創設、これまでに30人が賞を
新聞の新型コロナ感染者数の表を見るのが日課になって2年が過ぎた。外国に比べれば日本はまし―と特に根拠もなく思っていたが、1日の新規感染者は全国で10万人、道内も4000人になった。 1月上旬から感染者が増え始めたオミクロン株。感染数の頂上は2月上旬―。そんな政府の見通しは外れ、伸びの鈍化は
立春は過ぎたが、本道は冬真っただ中。苫小牧市も最低気温が連日、氷点下10度を下回る。早朝に漁港を訪れると、けあらしが発生していた。防波堤を包み込む幻想的な光景に、見とれたくもなるが、じっとしていると凍える。漁業者も寒さを吹き飛ばすように、威勢よく魚介類を水揚げする。 以前も当欄で書いたが、
今年は苫小牧港にフェリーが就航して半世紀の節目に当たる。本紙新年号で紹介していた。 第1船の「しれとこ丸」が入港したのは1972年4月29日。当時の苫小牧港はまだ東港の建設前で、現在の西港が石炭の積み出し港として開港してわずか9年足らず。工業港区の掘り込みでしゅんせつ、岸壁の建設が盛んに行
降り続ける雪に気が遠くなったのは恵庭支局に勤務していた当時。朝も昼も夕方も、そして夕食後も、駐車場や歩道の除雪に追われた。 平屋建ての屋根から滑り落ちた雪が窓ガラスを埋めていく。雪に窓をふさがれた部屋は日中でも徐々に暗くなっていった。もしガラスが割れたら、どこに寝るのか―。喜んで駆け回る子
日本野球機構の審判員・木内九二生さん(55)と話す機会があった。昨年6月に史上97人目の1500試合出場を達成したベテラン。 1989年大昭和北海道(白老町)入り。92年から6年間は日本野球連盟北海道地区連盟で審判の基礎を固めた。98年にプロ審判に合格、昨シーズンまで1537試合グラウンド
苦役列車シリーズの破天荒な主人公「北町貫多」には、率直過ぎる作者自身の姿が投影されている。破滅型の私小説で知られる西村賢太さんが5日、54歳で亡くなった。不安定な生活の中、読書を唯一の楽しみとした自我むき出しの若者を描き、芥川賞を受けた苦役列車は森山未來さん主演で映画化された。西村さんは酷評したが