諦め
- 2022年4月9日
去る者は日々にうとし―。いかに親しくとも、遠ざかれば記憶は年月の経過とともに薄らぐもの。JR日高線鵡川―様似間116キロが昨年4月1日付で廃止となって、早いものでもう1年が過ぎた。 北海道新幹線の並行在来線・函館線のうち、長万部―小樽間140・2キロのバス転換を沿線9市町と道が決めた。新幹
去る者は日々にうとし―。いかに親しくとも、遠ざかれば記憶は年月の経過とともに薄らぐもの。JR日高線鵡川―様似間116キロが昨年4月1日付で廃止となって、早いものでもう1年が過ぎた。 北海道新幹線の並行在来線・函館線のうち、長万部―小樽間140・2キロのバス転換を沿線9市町と道が決めた。新幹
年度替わりの4月は多様な決め事が変わったり、新しくなったりする。この春は、成人年齢が引き下げになった。20歳に決めたのは明治だから、幾つもの時代を超えての変更。2018年に民法の一部改正が成立し、1日付で施行された。それ以前に公職選挙法が改正されて選挙権年齢が18歳になっており、政府は以前から成人
4月から東京都立高校で問題になっていたブラック校則が消えるという。極端に刈り上げる髪形のツーブロックも認められた。 校則とは違うが、高校球児の丸刈り頭が議論になる。「野球に向かう姿勢」「高校野球=丸刈り」「伝統」といった高校野球文化と精神論のほかに衛生面を考えた合理的な理由もあり、賛否は分
ロシア大統領のプーチン氏はスマートフォン(スマホ)を使わず、インターネットの交流サイトも利用せず、紙の情報や側近の説明だけに基づいて判断をしている―。 テレビニュースの解説者が、「―と言われている」と紹介していた。電話機能以外の使用方法を覚えようとしないものぐさなら自分と同じかもしれない。
先月まで残雪が多かった苫小牧市も新年度に入り、すっかり春らしくなった。この時期になると駆け出しの記者時代、苫小牧測候所に足しげく通った日々を思い出す。 測候所は2004年まで、市内しらかば町にあった。今、日帰り入浴施設とパチンコ店が入った建物がある辺りだ。最もよく通った頃の所長は稚内市出身
うららかな春日和に気持ち良く吹き寄せる風を「光風(こうふう)」と呼ぶのだそうだ。そんな風が増え始めた。日も長くなった。まともに西日が差し込む道庁の記者クラブで原稿を書いていると、よく分かる。いつもよりたくさん雪が降った冬が、ようやく幼い春に道を空けようとしている。 毎週日曜日の午前11時か
「金がない!」。子どもから、そんな緊急の連絡を受けたことがある。もう20年ほど前のことだ。たまの休みに遠出を―と自宅を出て、20キロほど車を走らせたあたり。 慌てて自宅へ戻り、家人が残高の少ない口座から残高ゼロの口座へ送金をして一件落着。仕送りに慣れない親と、初めて自活をする子ども。初心者
4月1日は新しい年度の始まり。学校の進級や入学はもう少し先になるが、企業の中にはこの日から新しい仲間が加わり、新たなスタートを切ったところも多いはず。戸惑いや不安を抱えながらも、前向きな覚悟を持って仕事に向き合う社員を応援したい。春らしい光景が広がる。 新年度は別れを乗り越えて迎える季節で
春のお彼岸が過ぎ、寒さもようやく和らいできたと思いきや、きのうと今朝はひんやりとした外気が顔に当たり、幾分体が縮こまった。朝夕の外出時、厚めのコートはもうしばらく必要か。年度が替われば、日中の気温も10度を上回る日がぐっと増えてくるはず。過ごしやすい日和になるまでもう少しの辛抱だ。 例年、
新聞を読む時間、テレビのニュース番組を見る時間が長くなっている。攻撃開始から2カ月目に入りようやく停戦協議が本格化したロシアのウクライナ侵攻が原因だ。 丸2年を超えた新型コロナウイルス感染問題も合わせ、トップ、準トップのニュースには、常に重く、暗いものが選ばれている。これまで読むことの少な
4月から、65歳の年金受給開始年齢を75歳まで先延ばしできるようになる。受け取り開始を1カ月遅らせるごとに、受給月額は0・7%増えていく。 計算してみた。受給開始年齢を65歳から70歳にすると、受給額は月額42%増える。仮に受給年金月額を6万4900円とすると、約2万7000円増えて9万2
試合後に尋ねると「小さいミスから得点を決められてしまった」とFW人里茂樹主将。大久保智仁監督は「惜しいシーンが多かった。決めるべきときに決めないと」と苫小牧での戦いを振り返った。 東北フリーブレイズの選手と指導者は共に当地出身。アイスホッケーアジアリーグ・ジャパンカッププレーオフ(3勝先取
「孫の手」という物を初めて買った。正確にいうと、知人が買い物のついでに探してくれた。「162円の孫」の、お世になっている。 背中は、忙しい時や眠い時にかゆくなる。伸びにくくなった腕や肘、指の届かない場所ほどかゆい。家人が在宅の時は、位置の微調整を指示しながら強弱も注文してかいてもらうのだが
事実を知らされないということがどれほど恐ろしいか、改めて知らされた思いだ。ロシアのプーチン大統領は「ウクライナ政権によって虐げられ、ジェノサイド(集団虐殺)に遭ってきた人々を保護することが目的だ」と同国への侵攻の理由を説明した。さらに、ウクライナが生物・化学兵器を保有していると主張し、自身が同兵器
雪解けの湿地に水鳥が舞う。ここで冬を過ごし、北へ帰る鳥たちの渡りはこれからが本番だ。足元に目を向ければ、堅く小さなつぼみを付けた海浜植物が花を咲かせる日をじっと待っている。白老町のヨコスト湿原の早春に心が和む。強権国家が兵器で隣国の街を破壊し続け、世界平和を脅かす非常事態が起きているからか、ことさ
この数日「もずが枯れ木で」の詩と旋律が耳の奥に流れ続けている。「兄(あん)さは満州へ 行っただよ 鉄砲が涙で光っただ もずよ寒いと鳴くがよい 兄さはもっと 寒いだろ」は3番の詩。 1935年、詩人サトウ・ハチローさんの「百舌(もず)よ泣くな」の詩に東京の小学校教師、徳富繁さんが曲を付けたそ
年度末を迎え、官公庁や企業などで、人事異動の発令が相次いでいる。長年にわたりお世話になった方が、定年退職を迎えたり、栄転で苫小牧を離れたり、この春は例年以上にそんな知らせに接する。義理を欠かさぬようあいさつしながら、春の訪れと、人の動きの活発化を、実感する。 新型コロナウイルス感染対策の「
調べ物があって苫小牧市末広町の中央図書館に行った。隣接してサンガーデンがあり、施設内の喫茶店で休憩を取ろうと中を歩くと、通路や階段の脇のシクラメンやツツジ、ランが花を咲かせていた。季節を超えたり、先取りして咲いている花に不意に出合い、気持ちが安らいだ。強い風と雪が春に「待った」をかけた日の午後。癒
16日の午後11時36分、福島県沖を震源に発生した震度6強の地震に考えさせられた。全国的には東北新幹線の脱線が注目を集めている。 幸い減速中の事故。もし高速走行中だったり、停車位置が海底下のトンネル内だったらと想像するとゾッとする。何の根拠もないのに、災害の発生や避難を何となく自分が行動し
知人の話。管理する公共用地に、定期的にビールの空き缶が何本も投棄されていた。怒りを抑えながら毎回始末を続けたという。 ビールの銘柄も同じ。「きっと同一犯だろう」。ある日、その用地の前で停車している不審な車を見つけた。見ていると、ためらいもなく空き缶を投げ捨てて立ち去ろうとした。車で追い掛け
これまでに道内での目立った被害情報は入っていないが、心配で眠れなかった人も多かったのではないか。 16日夜中、宮城県と福島県で震度6強の揺れを観測する地震があった。両県の沿岸に津波注意報が発表されたが、17日午前5時にすべて解除された。まずは東日本大震災の時のような大津波に至らず安堵(あん
ロシアのウクライナ侵攻がテレビに映る。戦車砲が朱色の火を噴き、戦闘機がごう音を上げて空を切り裂く。撃ち抜かれ崩れるビルや高層住宅、炎上する病院や学校。 爆撃も戦闘も、開戦前の緊張も知らない世代なのにニュース画面を見ながら、恐怖に襲われる。避難する母の嘆きと子どもたちの泣き顔がつらい。数日前
国際的な人道支援活動にも力を注ぐシンガー・ソングライター、浜田省吾さんの作品に「初秋」という歌がある。こんな詞だ。〈戦火に倒れた 恋人を抱きしめて 泣き崩れる男を映す TVニュース…〉。海の向こうで戦争が始まり、激しさを増している。 中学生の頃に、苫小牧の映画館で見た「ひまわ
高い。とにかく高い。ガソリンや灯油のレシートを見るたびにため息が出る。昨年と比べるとびっくりするほどの値上がり状況だ。特に今冬は冷え込みが厳しく、暖房を灯油に依存していることも懐具合をさらに寂しくさせている。 ロシア軍のウクライナ侵攻の影響でさらに原油価格の高騰が懸念されている。ロシアは世
10日の本紙最終面「天気概況」によると11日は苫小牧の平年の根雪最終日だという。今年は10日朝でもまだ38センチの雪が残る雪の多い春。 自宅の2階から近所の屋根を見ると、確かに無落雪の水平な屋根には山盛りの雪が残っている。2014年、18年にも30センチ以上の雪が残っていたが、解けるまでに
1980年代に駆け出し記者として地域経済を担当していた頃の話。取材先の企業幹部と、「今の日本ならどこかの国を丸ごと買えるのでは」「欧州の城を買うのはどうか」といったことが話題になったことがある。それほど日本に好景気の風が吹いていた。 当時、苫小牧市に本拠地のあった道央市民生協の幹部から米国
道内の高校の入試が一段落した。合否発表を待つ生徒たちは今、期待と不安の入り交じった気持ちでいるだろう。 今年度の受験生は新型コロナウイルスの感染拡大に大きな影響を受けた。1年生の3学期にマスク生活が始まり、道独自の緊急事態宣言で長期休校を体験。2年生からは、国の緊急事態宣言でたびたび長期休
20歳代から乗り続けた乗用車の名前を指を折って数えてみた。5台目を過ぎたあたりから車名があやふやになった。車には申し訳ない。 それぞれの車に、10万キロほどずつ乗ったと思う。通勤や日常の買い物、盆や正月の家族での帰省、山行など趣味の遠出。車は常に玄関の近くに待機し、家族の乗車を待ってくれて
1945年8月、樺太の北緯50度線付近から南の留加多町まで逃避した男性への取材が忘れ難い。徒歩で単独400キロ強を踏破した人は証言時96歳。旧ソ連軍来襲に遭った状況の記憶も克明だった。 先の大戦後、戦争体験のない日本人としてこれまで生きてきた記者は、もしも「敗走」する軍の一兵卒になったら、
北京冬季パラリンピックの開会式で、国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドルー・パーソンズ会長は「ピース(平和)」と叫んだ。しかし、国際社会が束になっても、ウクライナへの侵攻を続け、核兵器の使用をちらつかせ、原発まで攻撃するロシアの「独裁者」を抑えられずにいる。 IPCはロシアと同盟国ベ