予防
- 2023年6月15日
新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが、季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行してから1カ月余り。多くの人がまだマスク姿だが、「コロナ前」の日常を取り戻すように、イベント開催など各所で「3年ぶり」「4年ぶり」の表現が躍る。 新規感染者数の発表方法も変わり、感染情報に接する機会が減った
新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが、季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行してから1カ月余り。多くの人がまだマスク姿だが、「コロナ前」の日常を取り戻すように、イベント開催など各所で「3年ぶり」「4年ぶり」の表現が躍る。 新規感染者数の発表方法も変わり、感染情報に接する機会が減った
先日のテレビに、一人の青年が戦車の進路をふさいで立つ、白黒の画像が映った。中国の「天安門事件」から、もう34年がたったという。事件の数年後に北京や上海を訪ねた。友好訪問団の同行取材で、自分は観光とは違うつもりだったが受け入れる側にとって、変わりはない。学生ら100万人が集まったという広場の大きさ、
この頃は潮の香りをたっぷり含む南風が吹く。太平洋岸は親潮の上を抜けて湿った海風が来るから、まちは霧に覆われる。港の辺りでは霧笛が何度も鳴り響く。港町の風情は昭和の流行歌が詳しい。 苫小牧港が今年、開港60年の節目を刻んだ。本紙は5~12日、60周年にちなんだ連載を展開し、行政や企業、市民団
若いころ先輩記者から教えてもらった話。ある幼稚園でみんなで歌を歌っていると、ある男の園児が泣きだした。 先生が歌をやめて園児に「どうしたの?。具合が悪いの?」と問い掛けると「何でもない」とケロっと答えた。気を取り直して再び歌い始めると、また園児の頬から涙があふれ出る。同じ歌詞に泣きだす不思
108年前の1915(大正4)年12月14日。道北の開拓集落・苫前村三毛別で一頭のヒグマが銃弾に頭を打ち抜かれた。胸から背にかけて白班のある、推定年齢7、8歳の雄。身の丈2・7メートル、体重370キロ、前肢掌幅20センチ。頭の大きな特徴的な体形のクマだった。集落を何度も襲い、母親や子どもを中心に計
脚本の評価が高い映画なので、せりふやシーンの柱を特に意識して見た。是枝裕和監督の最新作「怪物」。シナリオを手掛けた坂元裕二さんが、カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した。 坂元さん脚本のテレビドラマは弱者や孤独な人に焦点を当てた力作が多く、殺人事件の加害者家族と被害者家族が出会う物語などは秀逸
夜明けが早い。若葉の間を吹き抜けて、初夏の薫りを運ぶ風を「薫風(くんぷう)」と呼ぶそうだ。先日はそんな風も吹いた。札幌の自宅マンション前のオオバボダイジュの緑も、日増しに濃くなっている。一番好きな季節の初夏。ただ、今年は夏日になる日もあるが、続かない。ジェットコースターのような気温を繰り返しながら
先日、苫小牧市の新しい津波ハザードマップが郵便受けに入っていた。巨大津波から命を守る新しい指針だ。さっそく広げて自宅付近の予想される津波の高さや避難場所、避難の経路を確かめた。 「発生頻度は低いものの、もし発生すれば大きな被害をもたらす、最大クラスの津波」とされる、日本海溝(三陸沖・日高沖
政府が掲げる異次元の少子化対策。威勢のいい言葉からは、ものすごい対策が打たれると思ってしまう表現だ。果たしてどうなのだろう。少子化対策は待ったなしと言われ続けて30年。今度こそ本気なんだろうね、と言いたくなる。 これまでも国は少子化対策を何度も発表してきた。代表的なのが今から30年前の「エ
おいしい物にはつい手が伸びてしまう若い頃の牛飲馬食のような生活が災いしたのか、面目なく体調を崩して1カ月ほど苫小牧市内の医療機関にお世話になった。発熱を繰り返してコロナ感染ではない体調の異常を感じ、医師の診察を受けた結果、肝臓に疾患が見つかった。 初めての長期入院と病状に不安が募る中、医療
将棋の藤井聡太さんが最年少20歳10カ月で7冠を達成した1日、「うれしい」と声を出して涙を流す白髪の男性が、テレビに映った。外山滋比古著「老いの整理学」(扶桑社新書)を思い出した。 笑うことや泣くこと、怒ることなど感情の発散が老化の防止やストレス解消に良いらしい。泣くのはみっともない。特に
本紙は、警察署などに届いた落とし物を掲載している。毎日何かしらあるのがクレジット、電子マネー、プリペイドなどのカード類で、カードの種類も所持する人も相当増えていると分かる。 そう言えば自分は何枚持っているのかと調べてみると、金融機関のキャッシュカードを除いても10枚近くあり、ほとんど使って
練習中、ある部員の親が差し入れてくれた「たい焼き」がスケートリンクに届き、小休止の間、食べ盛りの高校生たちは焼きたての甘味に舌鼓を打った。やがて監督がその場に現れ、主将に「誰が食べてよいと言った」と雷を落とした。その後、主将はたい焼きを同じ数買ってきて監督に手渡した―。1981年度当時の部活動中に
ヒグマは人が怖い。だから、向こうから人を襲うことはない―。そんな分析を聞いたことのある人は多いはず。分析には「もし遭遇しても背中を見せて逃げては駄目。目をそらさず、後ずさりして距離を開けて」と、生還への心得が続く。それが見直される可能性が出てきた。 「クマから接近し襲撃か」。24日付北海道
自分のことを「独りぼっち」とばかにしていると思った―。長野県中野市で25日、散歩中の女性2人と警察官2人が殺害された事件で、逮捕された31歳の容疑者は県警の調べにそう話したという。 社会学者の上野千鶴子さんが「おひとりさまの老後」を出版してから15年以上がたつ。結婚していようがいまいが、世
亡くなった母が、通院していた病院で投薬される薬の多さにストライキを起こしたことがある。80歳頃のことだ。ある日「もう飲まない」と決心したらしく、薬をごみ籠に捨てた。お医者さんや薬剤師さんには申し訳ないと思いつつ、母の「投薬」を認めて薬が減った。幸い体調に変化はなく、その後10年以上生きた。みとった
思わず膝を打った。本紙掲載の話題だから、同様に感じてくれた読者もいるに違いない。23日付「暮らし」面の「温泉で高齢者のうつ予防?」の記事。週1で通う温泉好きとしては見逃せない。 記事は九州大学病院の別府病院が行ったアンケート調査を基にしている。毎日の温泉利用とうつ病の病歴が少ないことの間に
幼少のころ、公園の砂場の横にコンクリートの壁があり、子どもたちが登って遊んでいた。高さが1・5メートルほどの所から度胸試しで砂場に飛び降りると、ためらった子が段差に尻を引っ掛け、泣きながらしばらく痛さで立てなかった。笑って見ていたが、今考えると大けがになってもおかしくない。 公園や保育園に
ウクライナのゼレンスキー大統領が三十数時間の短い日本滞在を終え、ロシア軍の攻撃が続く祖国へ帰国した。大統領は広島の平和記念資料館を見学後、内外の記者と会見した。戦争当事国の大統領の残した平和を求める言葉の意味が時間を経て重みを増して行く。報道された発言の要旨を繰り返し読みながら、大統領の夢や苦しみ
札幌市中心部の商業ビル「ピヴォ」が16日、営業を終えた。建物の老朽化などが理由という。大学時代、アルバイト先がすぐそばでよく利用していたので寂しい。はやり物が中心のファッションビルらしくテナントの多くが数年で入れ替わっていたのが印象的。まちの活気のシンボルで、新陳代謝の象徴でもあった。 建
〈アルバイト 電車で横浜まで 帰る頃は午前0時…〉。若き日の浜田省吾さんが代表曲「路地裏の少年」を大型スクリーンで歌っている。バブルが終わろうとしていた1988年の夏。5万5000人を集めた静岡県での野外ライブが、35年の歳月を経て映画でよみがえり、全国各地で公開されている。2日間上
大人には決め付ける悪い癖がある。若者が少し自分の意に添わない態度を見せただけで「最近の―」と断定したり。 知人がうれしそうに教えてくれた話。先月末のこと。コンビニの駐車場に車を止めると、入り口近くに中学生ぐらいの男の子が5、6人、退屈そうに立っていた。見ていると、連中が突然、走りだした。近
新型コロナウイルスへの対応が法律的には「日常」に戻った。本紙に載る人の顔写真も、表情が分かるマスク無しが目立つようになった。それでも身に付いたマスク着用や手洗いの徹底をやめようとは思わない。備えの一つと考えている。 新型コロナの流行は備えへの不備が露呈したと指摘される。2009年の新型イン
人の脳は生まれてから4歳までに半分が出来上がり、残りの半分は5~17歳で形成されるという。専門家の間で多少、年齢幅があるものの、おおむね大きな差異はないようだ。これを背景にソニー創業者の一人、井深大氏は1964年に幼児開発協会(現在のソニー教育財団)を設立し、0~4歳の子どもにさまざまな刺激を与え
サッカーのJリーグが開幕したのは30年前。1993年の5月15日。正月以外テレビ中継されることの少なかった、地味な実業団サッカーの変身への熱気や驚くほど簡潔な開幕式典を覚えている。 わが家の息子2人は今40代。中学生の頃と小学校中学年の頃に苫小牧へ転校した。下は小学校から高校までサッカー部
春に親元を離れた学生や社会人の中には、弁当作りを始めた人もいることだろう。早朝から寝ぼけ眼で作るので、昼食時になって口に入れた瞬間、自分の料理の腕を呪うこともあるのでは―。 弁当は日々進化し、人気の「キャラ弁」に動物や乗り物を立体的に表現する「3D版」が登場したり、具を挟んだご飯をのりで包
欧州のエストニアでアイスホッケー男子の世界選手権ディビジョンIグループB=3部相当=が先月30日に閉幕した。同日の最終戦で日本はウクライナを5―3で下し、5戦全勝優勝で8年ぶりの同A=2部相当に昇格した。大会ベストGKにはレッドイーグルス北海道(=REH)守護神の成澤優太、同じくFWには苫小牧出身
「記事、暗いものが多いですねェ」。取材先で、公務員氏に言われたことがある。もう40年も前の話だ。「明るい話題だけを選んで並べて」というわけではない。暗い話題が多くなりがちな世の中を少しずつ変えていくのが、報道の役目なのでは―という指摘だったと思う。思い出しながら、この10日間ほどの新聞やテレビの大
部屋の扉を開け、思わず足が止まった。汚いわけではない。が、明らかに以前とは違った。荒れていた。高齢の母が1人で暮らす施設で8日から居室への訪問が解禁になり、早速訪ねた時のことだ。 コロナ禍で外出禁止、部屋への訪問禁止、食事中の会話禁止―が続いてきた。最初の頃は、運動のためと建物の中を歩いて
土鍋を大事に育てていた。ある漫画のエピソードに引かれ、煮汁を長年にわたり、染み込ませてきた。肉も、魚も、野菜も、どばっと入れて煮込めば、立派な料理。夏を除けば週の半分は、土鍋を使ってきた。一人暮らしの自炊で、わびしさも募ったが、鍋は貫禄を増していた。 そんな手塩にかけた土鍋を、いとも簡単に