• 民報川柳 苫小牧川柳社
    民報川柳 苫小牧川柳社

       丸くなりナニ夢見てる家の猫高野ついこ突然にあなたの言葉我れ忘れ箱崎 倫子国トップ言いたい放題恥ずかしい中津 遊水過ぎた日も生きた歴史と愛おしむ坂本 富子子7人亡父母に感謝仲がいい西内 一幸傑作に出会う喜び旨いお茶福田 正響失敗も恥も恐れず挑戦す前橋せつ子今月も灯油満タンきついなあ酒井

    • 2025年4月22日
  • 民報俳壇 葦牙俳句会
    民報俳壇 葦牙俳句会

       喜寿の子と白寿の母の弥生かな彰 子AIは新しき友風光る典 子よく響くけさの嘶き冴返る幸 代弧を描く水平線や春の虹光 江春の夕つくづく家に帰りたしたつ子うららかや校舎に響く高き声和 美日高路や潮目に乗りし春の波敏 子春落葉雨が似合ひの石畳数 方浮んでは消ゆる思ひ出春の雪由紀子

    • 2025年4月22日
  • 「がらんどう」/大谷朝子著
    「がらんどう」/大谷朝子著

       経理を長年担い、職場で「先生」と呼ばれる平井は、「骨に染み入るような寂しさ」を抱えた菅沼に誘われてアラフォー女性2人の共同生活を始める。奇妙な副業と婚活アプリ、就職氷河期世代の不遇、「推し」アイドルの電撃婚…。結婚や出産といった人生の選択にいや応なく揺れる、独身女性の心の機微を丁寧な筆致ですくい取

    • 2025年4月22日
  • 「河内と船場」/山本昭宏編著/大阪像の変遷、丹念に
    「河内と船場」/山本昭宏編著/大阪像の変遷、丹念に

       JRの大阪・関西万博ガイドブックの表紙には「オモロイがいっぱい」の文字が踊る。おもろいまちという自己規定はいつ頃始まったのか。メディア文化にみる大阪イメージの変遷をたどったのが本書である。 「河内と船場」という題がユニークだ。河内地方は元来、大阪ではなかった。大阪(大坂)は摂津の国に属し、かつて

    • 2025年4月22日
  • 「東京大空襲を指揮した男  /  カーティス・ルメイ」/上岡伸雄著/人間の本質を問う評伝
    「東京大空襲を指揮した男  /  カーティス・ルメイ」/上岡伸雄著/人間の本質を問う評伝

       第2次世界大戦下、東京大空襲を指揮し、10万人を殺りくした人物がいる。名前はカーティス・ルメイ、米陸軍航空軍の将軍である。焼夷(しょうい)弾を用い、軍事施設を狙うのではなく、民間人をも巻き込んだ無差別爆撃を決行した一方で、戦後の航空自衛隊育成への貢献で勲一等を授与されもしたこの男は何者なのか。米国

    • 2025年4月22日
  • 弁護士が描くどんでん返し/「午前零時の評議室」を書いた/衣刀信吾さん
    弁護士が描くどんでん返し/「午前零時の評議室」を書いた/衣刀信吾さん

       「創造的な仕事は大変だが、ひらめくとうれしいし、面白い」と語る衣刀信吾さん=東京都文京区 「午前零時の評議室」で第28回日本ミステリー文学大賞新人賞に選ばれた衣刀信吾さん。現役弁護士の手による本格リーガルミステリーが高く評価され、満場一致での受賞となった。 法律事務所でアルバイトとして働く大学3年

    • 2025年4月22日
  • 「平等とは何か」/田中将人著
    「平等とは何か」/田中将人著

       昨今、「親ガチャ」「社会の分断」などの言葉で論じられる不平等や格差。不平等の何が悪いのか、果たして平等とは何かを、政治哲学的な切り口で明らかにする。キーワードは、誰からも支配、抑圧されない「自尊」「不偏」。満たされない者には、事後に再分配さえすればよいとの考えを戒め、現行の生活保護の在り方にも物申

    • 2025年4月22日
  • 「問題。以下の文章を読んで、  /  家族の幸せの形を答えなさい」/早見和真著/両親巡る少女の葛藤
    「問題。以下の文章を読んで、  /  家族の幸せの形を答えなさい」/早見和真著/両親巡る少女の葛藤

       「それで? あんたはここんところ何にイラついてるわけ? 何が不満? 自分の言葉で言ってみ」 本作の主人公長谷川十和は小学3年生が終わる頃、母に聞かれた。優しすぎる父が苦手で、家族4人でのキャンプを当日になって行きたくないと駄々をこねたからだ。黙っている娘に、勝ち気な母は告げる。 「あんた、四月

    • 2025年4月22日
  • 民報俳壇 苫小牧ホトトギス会/アカシヤ俳句会
    民報俳壇 苫小牧ホトトギス会/アカシヤ俳句会

       トラクター駆けて広野の土匂ふ岡澤 草司飯炊きと自嘲の妻や万愚節竹内 直治ここへ来て折り返し点猫柳平尾 芙美昼ひとり雪解しづくの調べかな名取 光恵逃水の中を二匹の猫走る中村千恵子湯の宿の窓をかすむる冬鴎竹内美枝子逃水や記憶のかけら愛ほしみ鹿糠寿恵女逃水の狸小路を出でしより髙木 則

    • 2025年4月15日
  • 民報歌壇 樹の会/銀河短歌会/新墾
    民報歌壇 樹の会/銀河短歌会/新墾

       残雪のつつじの根方に福寿草耐へし命の黄色極だち桐渓 淑子病窓にくも一匹はい出でて啓蟄前に吾を見舞うか岡田 京子啓蟄の意味を教えてくれた父奇しくもその日は命日となり神成 靖子「美味しいよ」いとこ鎌持ち切りくれるハウスに色濃きほうれん草を伊藤 妙子店先で山積みされる教科書に「おめでとう」の幕揺ら

    • 2025年4月15日
  • 「AIに書けない文章を書く」/前田安正著
    「AIに書けない文章を書く」/前田安正著

       AIが「ものを書く」時代。著者は、思考や感情がないAIには「文章を書くことができない」と言う。AIが書くのはネット上にある情報のまとめやデータを読み込んだ「文書」。人間にしか書けない「文章」の構造や技術を解き明かしながら、自分という存在がにじむ「文章」を書く意義を見詰め直す。(ちくまプリマー新書

    • 2025年4月15日
  • 「大人をお休みする日」/文月悠光著/歳月と人のめぐりあい
    「大人をお休みする日」/文月悠光著/歳月と人のめぐりあい

       「大人をお休みする日」とはとても魅力的な響きだ。深呼吸をして肩の力を抜こう。「恋と暮らしに寄り添う」と帯にある。歳月と人とのさまざまなめぐりあい、一つ一つへの愛(いと)しさが手渡された感じをまず受けた。 「風は私の髪を撫(な)でていくが、/心まで撫でているとは知らないだろう」。目に見えない何かを

    • 2025年4月15日
  • 「新しい星」/彩瀬まる著
    「新しい星」/彩瀬まる著

       かつて同じ大学の合気道部に所属していた男女4人は、卒業から約10年を経て再会し、交流を持つ。生まれて間もない娘の死、乳がんの発症など、簡単には説明できない事情をそれぞれに抱える。思いがけない孤独や苦しみに直面し、なおも続く人生。そこに寄り添い、共に歩んでくれる友人がいることの心強さが伝わる連作短編

    • 2025年4月15日
  • 気持ちのトーンに合った本を/心身を改善させる「読書療法」
    気持ちのトーンに合った本を/心身を改善させる「読書療法」

       好きな文章を書き写すことも心の回復につながる 本を読んで心を落ち着かせ、心身を健やかに保つ「読書療法」。好きな本を自身のペースで読むことで、ストレス軽減や癒やしになると、日常に取り入れる人が増えている。 「米国や英国など一部の先進国で導入され、英国では医師が精神的な悩みを抱える患者に本を紹介する政

    • 2025年4月15日
  • 「左川ちか 青空に/指跡をつけて」/川崎賢子著/モダニズムと現代詩つなぐ人
    「左川ちか 青空に/指跡をつけて」/川崎賢子著/モダニズムと現代詩つなぐ人

       1911年北海道に生まれ、36年に若くして世を去った左川ちかは、アイルランドの作家ジェイムズ・ジョイスの翻訳や詩の創作を精力的に発表し、日本のモダニズムに特異な作風を刻んだ詩人だ。兄の友人だった伊藤整と早くから相知り、上京してからは百田宗治や北園克衛、春山行夫らと交友を深めた。 近年、いっそう人

    • 2025年4月15日
  • 「謎ときエドガー・/アラン・ポー」/竹内康浩著/知的興奮を引き出す着眼点
    「謎ときエドガー・/アラン・ポー」/竹内康浩著/知的興奮を引き出す着眼点

       19世紀のアメリカの文豪エドガー・アラン・ポーは世界最初の推理小説とされる「モルグ街の殺人」をはじめ数編の推理小説を発表したが、その一つに「犯人はお前だ」という短編がある。 田舎の町で富豪が失踪。捜索の過程でそれが殺人事件と判明し、被害者の甥(おい)に嫌疑がかかるが、実は犯人は他にいたというスト

    • 2025年4月15日
  • 「世界99(上・下)」/村田沙耶香著/傷と憎悪が生み出すもの
    「世界99(上・下)」/村田沙耶香著/傷と憎悪が生み出すもの

       ファシズムに侵食された世界の核心に迫る、鮮烈な長編小説だ。現代社会の憎悪が「傷つきやすさ」から繰り返し生み出されるおぞましい仕組みを、丁寧に解き明かしている。 「私」(空子)は、幼い頃から、瞬間的に世界の基準をキャッチし、相手の規範に呼応するようにして生きている。吸収したデータを組み合わせて現れ

    • 2025年4月8日
  • 民報歌壇 新墾/木曜短歌会/たるまいそう短歌会/銀河短歌会
    民報歌壇 新墾/木曜短歌会/たるまいそう短歌会/銀河短歌会

       美しきものには鬼が棲みをると雛飾り終ふ母はぽつりと木村 福惠魂は山に海にさ迷ふなむ 幼も老も二万二十余名さま栗原 暸子姉妹三人(みたり)育ちし生家のあんなことこんなことありと話題はつきぬ桐渓 淑子カポックは今年も小さき蕾つけやわらか陽ざしに日々開きおり岡田 京子綿帽子かぶる裸木うれしそう融

    • 2025年4月8日
  • 民報俳壇 苫小牧ホトトギス会
    民報俳壇 苫小牧ホトトギス会

       雪解けて雪の魂流れ去る桂 せい久どちらともなく誘ひあい桃の酒長谷川淑子掃くだけで済ますこの頃春の雪千   香人生を重ねるごとく編む毛糸森  美子春の雪跡形も無き午後の庭坂田 敦子立子忌や玉藻の心今に継ぐ ■(吉の士が土) 度 厚彦生かされて苦も楽もあり雛飾る髙橋紀美子大試験ページめ

    • 2025年4月8日
  • 「ひのえうま」/吉川徹著
    「ひのえうま」/吉川徹著

       その年に生まれた女性は災厄に見舞われるとされる「ひのえうま」。江戸時代初期に端を発する迷信ながら、それから6回り目の昭和41(1966)年の出生数が一番減少した理由は? 当時の言説や家族計画の在り方を基に、種々の統計を駆使して解き明かす。来年巡り来るひのえうま。迷信はなお人々を惑わすのか。(光文

    • 2025年4月8日
  • 「WAR3つの戦争」/ボブ・ウッドワード著    伏見威蕃著/情報を基礎にした外交
    「WAR3つの戦争」/ボブ・ウッドワード著    伏見威蕃著/情報を基礎にした外交

       昨秋に本書の原著が米国で発売される直前、一部の内容が報道された。トランプ米大統領が2度目の選挙で落選し、ホワイトハウスを去った2021年1月以降、ロシアのプーチン大統領と約7回電話で話をしたというのだ。両大統領の親密な関係が続いてきたようだ。 本書を手に取り初めて、バイデン前米大統領が関わった三

    • 2025年4月8日
  • 著者に聞く 言葉は魂の乗り物/「俺の文章修行」を書いた町田康さん
    著者に聞く 言葉は魂の乗り物/「俺の文章修行」を書いた町田康さん

       「文章を書くと人は格好つけてしまう。そうした格好つけを外して、残るのは何やねんと考えると、実はゴミカスみたいなもの」―。町田康さんが読み書きの技法を伝授する「俺の文章修行」。大阪弁が入り交じる独特の文体で、文章が生まれ出る際に起きていることを丹念に解きほぐした。 「女にもてたい」「もっと俺をフィ

    • 2025年4月8日
  • 「ヒトとヒグマ」/増田隆一著
    「ヒトとヒグマ」/増田隆一著

       北海道を含む北半球の亜寒帯に広く分布するヒグマ。その生態や生息域の拡大をたどりながら、ヒトとのつながりを考察する。アイヌ文化の「イオマンテ」などクマ送りの儀礼は地域を超えて共通するという。「現生人類との出会いは、偶然的かつ運命的なものであった」と著者。怖いだけではないヒグマと人間との関係性の深層に

    • 2025年4月8日
  • 「日本語からの祝福、  /  日本語への祝福」/李琴峰著/言葉へのいちずな思い
    「日本語からの祝福、  /  日本語への祝福」/李琴峰著/言葉へのいちずな思い

       著者にとって第二言語である日本語で最初に書いた小説が新人文学賞の最終候補となった。その知らせを受けたのが2017年2月14日夕刻、社員食堂の片隅。予想もしなかったこの「バレンタインデーの奇跡」の描写から一気に引き込まれる。彼女は、4年後に芥川賞を受賞するのだ。 本書は、台湾の地方の農村に生まれた

    • 2025年4月8日
  • 民報歌壇 原始林苫小牧
    民報歌壇 原始林苫小牧

       ちらちらと雪降る日なり足元に春の陽射しで溶けだす雪よ中井るみ子テレビより春の香りが届きそう桜満開なの花咲きて木村百合子大荒れと言はれし予報も我が町は雪も少なく風も穏やか宮崎 靜恵杖をつく我を支へて息子(こ)は歩く何軒も行く病院めぐり湯浅 悦子癌で逝く共に励みし農友の冥福祈る弥生の夕べ山田 志

    • 2025年4月1日
  • 民報俳壇 苫小牧ホトトギス会/やまなみ俳句会/結ひの会
    民報俳壇 苫小牧ホトトギス会/やまなみ俳句会/結ひの会

       会えばまず天気の話春きざす桂 せい久忘れ雪日向の色に沈みをり長谷川淑子塩若布さらした水の中に色千   香シグナルの揺れて飛び交ふ春の靄森  美子踏みしめるやはらき土下萌ゆる坂田 敦子朝日浴び下萌映える牧場かな ■(吉の士が土) 度 厚彦軒氷柱放つ光のきわだちて髙橋紀美子水温む日差

    • 2025年4月1日
  • 「村上春樹で出会うこころ」/河合俊雄著/私の知らない私の浮上
    「村上春樹で出会うこころ」/河合俊雄著/私の知らない私の浮上

       小説を書く上で最大の困難は、人と人とをどう作中で出会わせるかである、とよく言われる。作家は偶然を自由に行使する特権を持つが、読者は恣意(しい)的な偶然を嫌う。 初期の村上春樹は出会い損ねを描く名人だった。出会っても出会いきらないクールな関係が、ベタベタした人間関係社会では魅力的だった。しかし時を

    • 2025年4月1日
  • 「書く、読む、生きる」/古井由吉著
    「書く、読む、生きる」/古井由吉著

       現代文学をリードした作家の講演録や晩年のエッセー、20年近く選考委員を務めた芥川賞の選評などを収録。「馬券的中の恐ろしさ」では、長年の競馬の楽しみから筆を起こし、運不運や危機一髪を巡る随想を経て、東京大空襲の記憶へとつなぐ。軽みと深み、虚と実を流れるように行き来する語り口に浸れる。(草思社文庫・

    • 2025年4月1日
  • 「地方で拓く女性のキャリア」/野村浩子著
    「地方で拓く女性のキャリア」/野村浩子著

       地方の中小企業で管理職として働く女性11人を紹介し、女性が地方でキャリアを形成するためのヒントを示す。本人の意欲と努力だけでなく、経営者の後押しや自治体の役割も大きいと指摘。性別や雇用形態にかかわらず、すべての従業員が働きやすい制度を導入した企業の成功例は示唆に富む。(光文社新書・1078円)

    • 2025年4月1日
  • 「熊はどこにいるの」/木村紅美著/さまよう者の静かな息吹
    「熊はどこにいるの」/木村紅美著/さまよう者の静かな息吹

       自分の思うままに生きられる者はいない。どこかで折り合いをつけて生きるしかないのが、私たちの生き方でもあるが、そうできずにあらがって生きるのもまた人生である。 長い道のりの人生において、未練や後悔は常に後から追い掛けてくる。寂しさや悲しみも湧き上がってくる。それらの感情を甘受して生きるか、あるいは

    • 2025年4月1日