教訓の継承
- 2021年3月16日
アイヌ民族には地震発生の前兆を感じ取る鋭い感覚が備わっていたという。しんと静まりかえった真夜中、寝床のござの下の地面から、コーンコーンと空の臼をつくような音が聞こえたならば、やがて地震が起きる。音の間隔が短ければ大きな揺れとなり、津波も襲ってくる。そうした災害の前触れを感知すると、コタン(村)のみ
アイヌ民族には地震発生の前兆を感じ取る鋭い感覚が備わっていたという。しんと静まりかえった真夜中、寝床のござの下の地面から、コーンコーンと空の臼をつくような音が聞こえたならば、やがて地震が起きる。音の間隔が短ければ大きな揺れとなり、津波も襲ってくる。そうした災害の前触れを感知すると、コタン(村)のみ
中央競馬はこの春、G1に向けた前哨戦でダントツの人気馬が敗れる波乱が続いている。昨日は牝馬3冠を昨年制した女王デアリングタクトが、G2金鯱賞で追い込み届かずまさかの2着。五つのレースで1着を当てる「WIN5」の払い戻し金は、史上最高の5億円超えだった。馬たちも何かを感じているのかもしれない。
人の世界の、卒業や自立をめぐる春の別れは心の中に大小の傷を残し時に歌などに姿を変えて歌われる。他の動物たちの別れはどうか。 犬や猫など愛玩動物や家畜との別れのつらさを、東日本大震災から満10年の年の新聞やテレビに繰り返し考えさせられた。大災害時のペットの扱いは飼い主だけでなく、避難所に集ま
この春が10年という節目になることもあって、新聞やテレビなど各メディアの報道は例年以上に東日本大震災に関連した特集や企画が組まれた。本紙でも各面で展開している。癒えることのない悲しみに苦しみ続ける人がいる。その中で希望を見いだし、心の再生、再起につなげた人もいる。その一つ一つに心は打たれる。風化は
2011年3月11日、午後2時46分。その時は取材で千歳市役所にいた。突然の大きな揺れ。収まると、ロビーにあるテレビの周りに人だかりができた。今のは何だったのか。その後、リアルタイムで映し出される衝撃的な映像にしばらくはぼうぜんと立ち尽くすしかなかった。建物も車も津波に押し流され、走って逃げる人た
日が長くなった。札幌のビル街の夕暮れ時に、空を眺めてそう思う。突然、吹雪になったりする日もあるが、コート無しでも歩けそうな暖かな日もある。冬が幼い春に、少しずつ道を空け始めている。 女性シンガー・ソングライター、あいみょんが作った歌に「ハルノヒ」がある。〈僕らは何も見えない 未来を誓い合っ
その瞬間は苫小牧市役所の9階で取材をしていた。高層階だからなのか、ガタガタという揺れではなく、ゆらゆらとうねりのような大きな揺れ。緊急時を知らせる、けたたましいベルの音を聞きながら階段を駆け下りた。 2011年3月11日。10年が経過しても東日本大震災の記憶は鮮明だ。 苫小牧港の漁
毎日声を聞き、姿を見ている野鳥。ふと立ち止まると、驚くほどたくさんの命が、雪や風に負けず元気に飛び回っていることに気付く。 知人のSさんの、この冬の経験。昨年の晩秋、奥さんが「野鳥の餌台を置こうか」。友人から「いろんな鳥が来るんだよ」と聞いていて、興味はあった。すぐに近くの日曜大工店で餌台
年に一度の健康診断を受けると必ず指摘されるのが不整脈の兆候。運動選手によく表れることが多いそうで、最悪の場合は突然死に至る怖い病気だ。数年前にアイドルグループの女子高生が急死したのも不整脈が原因とされ、発症に老若男女の区別は無いようだ。 そんな危険因子を抱え、「血液さらさら」の薬を毎日服用
毎回多くの応募作が集まる全国小・中学校・PTA新聞コンクール。第70回の今年度は苫小牧北光小学校6年1組の作品が小学校学級新聞の部で最優秀賞に輝いた。 このコンクールでは、30年ほど前の第39回で苫小牧勇払中学校1年B組、第40回で苫小牧東中学校3年4組の作品が、中学校学級新聞の部で最優秀
現金を遠方に送る場合、今は大小の金融機関の口座振り込みが主流だが昔は現金封筒。特に農漁村からは郵送が唯一の送金手段だった。 薄茶の紙が何重にもなった頑丈な封筒。この封筒を待つ時間の長さやつらさ、この封筒が到着し空腹から救われた感動を記憶している人は多いはずだ。 Aさんは高校を卒業し
2月28日の日曜午後、帯広の森アイスアリーナの氷上で苫小牧勢チームが歓喜に沸いた。道路建設ペリグリンが第9回女子日本アイスホッケーリーグで初優勝を遂げた。 対戦相手は前回までに8連覇の首都強豪SEIBUプリンセスラビッツだった。試合の全時間で選手が走り続け、わずかな好機を生かして2点を先取
女性蔑視発言の責任を取って森喜朗氏が東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長を辞任し、後任の橋本聖子会長は女性理事の比率を40%以上に引き上げる方針を掲げた。今週にも11人の女性理事を新たに加える案を理事会に示すという。 改めて振り返っても、森氏は自分がどうして辞めなければならないのか分か
公務員による、税金を使った「官官接待」が広く報道されて何年たったろう。補助金や交付金をめぐる、一部の公務員の習性に驚いた。 官庁には中央省庁を頂点に市町村まで続く上下関係があり、その関わりの管の中をお金が動く。上級官庁の現地視察や打ち合わせが官官接待の舞台になったそうだ。当時、取材を担当し
暮らしを支える社会基盤として、住民が最も望むものの一つが医療機関であるのは言うまでもない。住み慣れた地域で生涯を過ごしたいと願う人にとっても必要不可欠な存在であり、安心の生活を保障する役割は高齢社会の進展でより重視されることだろう。体調を崩したときにすぐ診てもらえる病院があるかどうかを、都会からの
2000年から水揚げ日本一を続けている苫小牧市のホッキ貝。新型コロナウイルスの感染拡大で飲食店の需要や消費が落ち込み、取引価格が暴落したことを約1年前の当欄で取り上げた。今なおその影響は変わらない中、個人的に消費の拡大に貢献しようと、スーパーでたびたび殻付きを購入しては、料理を楽しんでいる。
次男が3歳の頃、近所の公園でけがをした。放送事業会社の役員である首相の長男が、所管官庁の総務省幹部を繰り返し接待していたとの報道を読みふと思い出した。 母親が背負って病院まで走り止血処置を受け、今は傷跡もない。お兄ちゃんたちの野球遊びに参加しようとホームベースに近づき、振られたバットが鼻付
むかわ町が、向こう10年を目標にした「第2次まちづくり計画」の策定に取り組んでいる。胆振東部地震の復興計画など個別計画を集約したまちづくりの最上位プラン。条例に基づき、広く町民参加を求めた委員会を常設して議論を積み上げた。戦略的な重点事業をはじめ、雇用対策や農林漁業の振興、子育て環境の充実、中心市
胆振で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されてからきょう22日で1年。その後、パンデミック(世界的流行)期に入り市民生活は大きく変わった。マスク着用の生活が当たり前になり、家族以外との外食機会は極端に減少。日々、自治体単位の感染者数を気にするようになった。道が公表する新規患者の居住地は原則、振
NHK総合テレビで「大人になっても続く? 早生まれの不利」の話題が取り上げられて笑いながら見た。自分は実は早生まれなのだ。 1月から4月1日までに生まれた人が法律上「早生まれ」。4月初旬に生まれた人に比べて成長にほぼ1年の差があり、親は「大丈夫か」と心配する。その差は幼時だけにとどまらず統
ひどい就職難の時代だった。1952年秋。その人が受けた文芸春秋社は3人の採用枠に対し、入社希望の大学卒が約700人も押し掛けた。東大在学中はボート部に熱中し、成績は芳しくなかったが、なぜか通った。「成績不良だが、大化けするかもしれない者」として採用されたという。編集者としての人生を歩みだした。
「どうしてこんなにかわいいのだろう」―。昔流行した演歌のフレーズのようだが、シマエナガの話。小さく白いふわふわな「雪の妖精」とも言われる鳥だ。首をかしげるしぐさは多くの人をとりこにし、よわいを重ねた記者も思わず心を奪われた。一度、本物を見てみたいが、動きが素早くカメラに収めるのも難しいらしい。写真
わが家は、玄関からではなく居間からの階段で2階へ上る造り。子どもの友人を、親も「こんにちは」「またね」と迎え、送ってきた。 いろいろな友人が出入りしていた。菓子作りが趣味という男子高校生は、鍋で焼いたケーキを鍋ごと持って階段を上って行った。定期試験を前に緊急合宿のはずの次男の部屋からは朝ま
最近読んだ本の中に「リバースメンタリング」という言葉があった。リバースは「逆にすること」。衣服で裏と表を逆に着ることができる「リバーシブル」の類似形だ。メンタリングは「人の育成、指導方法の一つ」。メンターと呼ばれる経験豊かな人が若年者や未熟練者を成長させるため継続的に支援することという。
13日深夜に起きた地震は、2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の余震らしかった。宮城県と福島県で最大震度6強を観測、揺れは北海道から中国地方まで広範囲に及んだ。津波こそなかったが、被災者たちは10年前の震災を思い出し、寒中の停電で暖も取れず、震える夜を過ごしたのでは。 私たちは
年齢のせいか。長くコンピューターの日本語文書作成機能に頼り続けたのが悪いのか。漢字を書く能力が、日々衰えていくのが分かる。 新聞の「女性蔑視」という大きな見出しを読みながら、蔑という文字を人差し指で空中に書いてみる。何度か書いてようやく正解らしく思えたものの、書き順には自信がない。小学校高
2000年の夏、苫小牧市民会館一室に約30人の男たちが集まった。当初、場は緊張感に包まれた。オール苫小牧結成時の選手向け説明会で発起人代表があいさつした。 「硬式野球を愛する人が自由に参加できるチームにしたい。経験者も多い。仲良くやれば結果はついてくる」。初代監督になる酒井明さんが呼び掛け
高齢者向け住宅に保育所や学童保育を併設し、高齢者と子育て支援の双方を担う複合施設、さらには障害者や大学生にも対象を広げて多様な世代が交流する拠点づくりを進める動きが各地で広がっている。苫小牧市でも子育てと介護に焦点を当て、まちづくりを考える検討会が発足した。苫小牧港開発が呼び掛け、市や金融機関、不
いわゆる「カタカナ語」の氾濫が気になり始めて半世紀ほどになる。次から次へと湧いてくる新顔たちを追いかける根気もうせてきた。 本棚の奥に三省堂「官公庁のカタカナ語辞典」があり、久しぶりに取り出した。1994年第1刷とあるから、もう四半世紀前のもの。お値段は2400円だから安いものではない。当
コロナ禍の中で道の駅が存在感を高めているという。遠方への旅行は控えるけれど、特産品や地元グルメがそろう道の駅ならちょっとした旅の気分が味わえる。自粛生活のストレスを解消する近場ドライブの立ち寄り先として改めて注目されているようだ。 道の駅は飲食・物販や観光情報発信などの機能を備え、地域のに