海岸や港は釣りの対象が限られてくるのが晩秋から冬。今秋は特に10月まで海水温が高く、小サバやフクラギが回遊し、11月は場所によって餌取りの猛攻で釣りにならないほど。このため投げ釣りのカレイやアブラコの情報が薄くなっていたが、11月下旬に白老町の海岸を訪ねると、男性が40センチ弱の良型クロガシラカレイを上げていた。「餌取りはいたが、諦めずに丹念に投げてやっとカレイに当たった」と喜んだ。
10月はサバやフグの餌取りがうるさい―と、厳しい情報が目立った錦岡から白老町の海岸。釣り人の姿が激減した11月下旬、ヨコスト海岸で投げ釣りを楽しんでいた人がいた。声を掛けて釣果を尋ねると、午前10時すぎに38センチのクロガシラが釣れたという。魚の写真を撮らせてもらい、話を聞いた。
釣り人がさおを出したのは午前9時前。4・2メートルの投げざお3本仕立てのカレイ狙いで、そのすべてにカレイ針13号を付けた自作仕掛けをセットしていた。道糸はナイロン3号と遠投用にPE1号。餌はマツカワ狙いでサンマの短冊、クロガシラとイシガレイ向けには塩イソメを用意し、50~100メートルの範囲で左、正面、右に投げ分けていた。
餌取りの状況を見ようと、最初に投げて20分後に仕掛けを回収するとイソメもサンマもほぼなかった。一度だけさお先がごくわずかに震え、他に目立った変化がなかったため、「餌取りの正体はカニかフグか」と男性。
その後は20分置きに餌を確認し、付け替えて打ち返していたところ、80メートルほど投げて2度さびいて誘ったさおの穂先に、たたくような明確な魚信が来た。しばらく待ってもラインがふけなかったため、聞き合わせをすると魚の重みを確信できたという。カレイの体を波に乗せるようにして一気に取り込んだ。
晩秋のクロガシラは、脂が乗ってうま味が増す。男性は「サイズの割に厚みがある。やっぱりこの時期のカレイはうれしい」とニッコリ。見るからに煮付けがおいしそうな太ったカレイだ。丹念に餌を替え、仕掛けを打ち返す熱心さが功を奏した。
投げ釣りで狙う秋のカレイ。寒さをしのぐ工夫は必要だが、気温や風の具合が良ければ、海岸や護岸からの投げ釣りでもうひと勝負できるかもしれない。