女子やり投げの北口が難なく予選を通過した。しなやかなフォームから放たれたやりは62メートル58まで届き、突破ラインを一発クリア。飛び跳ねながら笑顔を振りまき、「いつも通り練習で飛ばなくて焦ったけど、それなりに飛んでほっとした」。
初優勝した昨夏の世界選手権とは違って、緊張はしなかったという。新しい紫色のトラックには助走を手助けしてくれる感触をつかんだ。1投で終えて「もうちょっと練習したかった」と苦笑いを浮かべながらも「パーフェクトではなく予選通過できる力があった。自信になった」と手応えを口にした。
気がかりだった体の状態も上々だ。今季ベストの65メートル21をマークした7月のダイヤモンドリーグ・モナコ大会ほどではないそうだが、持ち前の柔軟性は健在。「動ける状態にいる。消えないように過ごしたい」と表情は明るい。同じ所属でフェンシングの個人で金メダル、団体で銀を獲得した加納虹輝からも大いに刺激を受けた。
6人が北口を上回る記録を出し、65メートル台の選手も。「歴代の五輪メダリストたちが合わせてきた」と気を引き締める。勝負の決勝は10日。「今年のベストは絶対に投げたい。出し切って終わりたい」と誓った。