コロナ時代
- 2020年6月2日
災害は社会の素顔をあらわにする。新型コロナウイルスが自然災害か人的要因があるかは別にしても、医療技術や情報伝達の速さが19世紀のペストの頃より格段に進んだ現代でもほとんど無防備なことを認識した。 2002年に重症急性呼吸器症候群(SARS)、12年に中東呼吸器症候群(MERS)の流行はあっ
災害は社会の素顔をあらわにする。新型コロナウイルスが自然災害か人的要因があるかは別にしても、医療技術や情報伝達の速さが19世紀のペストの頃より格段に進んだ現代でもほとんど無防備なことを認識した。 2002年に重症急性呼吸器症候群(SARS)、12年に中東呼吸器症候群(MERS)の流行はあっ
道は1日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて4月20日から道内に出されていた休業要請をすべて解除した。イベントの開催制限も段階的に緩和していく方針だ。ただ、道民には18日まで他の都府県や札幌市との不要不急の往来、これまでに全国でクラスター(感染者集団)が発生した施設の利用などを慎重に行うよう求め
小学生の頃は毎年、結核の予防接種が行われた。まずツベルクリン注射が打たれ、次は痛いBCG。化膿(かのう)した不快の痕跡が今でも腕に残る。 赤痢の大流行もあった。「絶対に川で遊ぶな!」と先生に厳しく言われた記憶がある。井上栄さんの「感染症 広がり方と防ぎ方」(中公新書)によれば、全国で5千人
夜明け方、マンションのベランダに出ると優しい風が吹いている。手を伸ばせば届きそうなオオバボダイジュの緑も、雨が上がるたびに色濃くなっている。例年だと間もなくYOSAKOIソーラン祭りの季節なのだが、今年は中止。新型コロナウイルスの影響で、札幌では少し寂しい初夏へ向かおうとしている。 道内で
小さな体に大きなランドセル。左右に揺らしながら、息を切らしながら通学路を駆けていく。先日行われた分散登校時にそんな姿を見掛けた。 昨年は、学校帰りの数人が歩道に寝そべって、じっとアリの巣を眺める姿も目撃。すべてのものに興味津々の彼らの行動がかわいらしく、毎年のように癒やされている。今年は新
新聞の切り抜きをしていて書籍広告の書名が目に留まった。「人は話し方が9割」。副題は、「1分で人を動かし 100%好かれる話し方のコツ」。 25日の総理記者会見では、1分どころか20分を過ぎても、あまり心が動かなかった。性善説という言葉が耳に残った。広辞苑によれば「人間の本性は善であり、仁・
25日付の本紙によると、新型コロナウイルスの感染防止のため外出自粛や在宅勤務が増えたことなどにより、体重が増加した人が36・5%になるそうだ。民間のアンケート結果を報じたもので、自分も「あるある」と納得しつつ、コロナ太りの解消に取り組んでいる。間もなく健康診断。 政府が新型コロナウイルスの
本紙には、読者に参加してもらう欄が幾つかある。一つが第2社会面のコラム欄「ゆのみ」で、立場や年齢のさまざまな執筆者が仕事、趣味、身近な出来事などについてつづっている。 創設は1981年5月1日。前日の紙面で「読者参加の紙面を一層充実していく趣旨から…」とお知らせして掲載を始め
後悔なら、幾つでもある。その一つは高校野球だ。泥色に染まったぼろぼろの硬球を縫い直し、追いかける友人を見ながら、自分は安いギターをかき鳴らして、10代の3年間を終えた。 小さな高校の野球部はけっこう強く、地区大会では上位に進出することが多かった。自分は球技が苦手だった。硬球の硬さも怖かった
「大学出身者が自分の母校の野球を『最高』と言った。そうした選手はそれ止まり。新しいことを野球の中で見つける。まったく違う野球ができる」と、我喜屋優さんが10年前に語った。 元社会人選手で沖縄興南高校野球部監督。2010年春と夏の甲子園連続優勝の壮挙の狭間、5月に白老町で開かれた講演会の中で
新型コロナウイルス対策の特別定額給付金10万円の苫小牧市の申請書に「金融機関コード」の記入欄がある。これに対し、普段書く機会も無く、高齢の両親には理解できないと指摘し、行政には「庶民感覚が無い」とする投書が寄せられた。「なんでもトーク」に掲載したところ、金融機関コードは通帳に書いてある、という反論
テレワークなどという言葉を聞いたこともない時代に在宅勤務をしていた。新聞業界には1人支局という勤務の形態があって、自分もその一人だった。 30歳代から三つの支局に計11年間、1人で勤務した。通勤時間はゼロ。日常的な会議もない。通常の勤務のほかに、もし事故や火災があれば時間にかかわらず、その
近所のそば屋さんや中華料理店から配られたメニュー表をめくり、家の黒電話のダイヤルを回して注文する。冷えないよう器にラップをかぶせ、アルミ製の箱「岡持ち」で届けてくれる昭和の光景が懐かしい。だが、手間が掛かったり、人手が足りなかったりして、暮らしに溶け込んでいた出前文化は今や衰退。かと思いきや、この
2年ほど前から「家計簿アプリ」を使っている。レシートの読み取り機能が便利そうで始めたことがきっかけ。レシートを撮影すれば金額や品目などが自動的に記録され、買い物の傾向などを図示してくれる。撮影の精度が低いため、結局は手打ちにしているが、家計管理の習慣が身に付いた。 新型コロナウイルスの感染
高く澄み切った青空と白い雪の似合う、爽やかな大地。北海道にはそんな印象が強い。とりわけ5月は、「江差追分」に「江戸にもない」と歌われた。 札幌のアイヌ語の語原は「乾いた(サツ)大きな(ポロ)大地」との説が有力だ。しかし、草風館「アイヌ語地名の研究」で著者の山田秀三さんは「旅行客から意味をよ
全国的に外出自粛が呼び掛けられた今年の大型連休は、老朽化して傷み、破損しているわが家のあちらこちらを直すことにした。気にしながら、ずっと手を着けられずにいた。巣ごもりで持て余す時間があるなら、先延ばしをする言い訳は探せない。一念発起。自分でやるDIY(ディー・アイ・ワイ)で挑むことにした。
新規感染者数が限定的になった地域でも再び感染が拡大しないよう新しい生活様式への移行が必要という。新型コロナウイルス対策を議論する政府の専門家会議が示した長期的な予防のための実践例が話題だ。 「買い物は少人数ですいた時間を選ぶほか、通販や電子決済を利用する」「食事の際は横並びに座る」―。でき
満開のサクラに見とれて散歩をしていて、足元のタンポポや薄紫のスミレ、名も知らぬ黄色い花を踏みそうになり慌てる。北海道に満開の春が広がる。 道内で新型コロナウイルスの感染者が初めて確認されて、間もなく4カ月。サクラの季節が来たのにウイルスの恐怖は消えない。 私たちは騒乱の後にどんな知
桜は散り際が美しいという。札幌でも華やかに咲き誇った後、潔く散った。新型コロナウイルスによる花見自粛要請もあり、今年は咲いている期間も短く感じられた。大通公園ではライラックが色づき始めている。季節は初夏に向かおうとしている。 鈴木直道知事が2月下旬に日本で初めて独自の「緊急事態宣言」を出し
駆け出し時代に、ある病院で夜間勤務の医療関係者をルポ取材した。四半世紀前のことなのでお許しをいただきたいが、当時は白衣の医師に扮(ふん)して夜から翌朝まで救急医療センターや入院病棟に密着。救急車で運び込まれた交通事故のけが人治療や、ナースコールに対応する医療従事者の姿をつぶさに見た。 ほと
新型コロナウイルス感染対策として、国民1人10万円ずつの特別定額給付金支給が決まり、苫小牧や日胆地区でも給付に向けた作業が進められている。 予算が可決される見通しになった頃、わが家に温かい話題が届いた。札幌市に住む、若い知人夫婦が親に現金10万円を進呈した。 結婚してまだ1年ほど。
「ステイホーム」。そう言われた今年の大型連休をどのように過ごされただろうか。知り合いは新型コロナウイルスの影響で国や道の自粛要請から例年以上に長い休みが取れたものの、どこにも行く所がないと皮肉な現実を嘆いていた。こちらも「こんな時期だから」と相づちを打つしかない。 道内のコロナ対策の陣頭指
新型コロナウイルスの新薬やワクチンの研究が、猛スピードで進んでいる。 このうち新薬は、1種類を開発するにも普通は10年以上の期間と数百億円の経費が掛かる。新型コロナでは新薬研究に併せ既存薬から有効な薬を探し出そうとする動きも進んでいるが、これは一刻も早い対応が必要なためだろう。創薬に要した
「新しい生活様式」が報道されている。新型コロナウイルスの感染を防止する対策の基本として、緊急事態宣言の延長に合わせて、政府から示された。 子どもの頃、大人たちが「新生活運動」という言葉を使っていたことを思い出した。衣食住の改善や生活改善運動の総称。1955年、時の内閣が国民に実践を提唱した
カナダ東部のノバスコシア州ハリファクスで行われた女子アイスホッケー世界選手権決勝のカナダ―米国。第2ピリオドの4分、カナダFWが米国ゾーンへ突入し、先制点を奪った。 結局カナダが2―0で勝利。出場9カ国中9位の日本代表を取材した大会で2004年4月6日、記者は同国民の歓喜が渦巻く現地から決
絶対に目をそらさない。人間の方が強いと見せ続ける。餌を与えない―。84歳の漁師さんの話す、ヒグマと共存していくための覚悟と心得にうなった。 山歩きをしていた当時、ヒグマと接近したのだろうと後で思うことが何度かあった。目をそらさない、背中を見せて逃げない―などの心得は知っていたが実践は難しい
日本で初めてメーデーが開催されてから100年の節目を迎えた今年、連合主催の中央大会が動画投稿サイト「ユーチューブ」を使ったインターネット上の開催となった。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、集会もデモ行進もない異例のメーデーだ。 働き方改革は道半ばで、長時間労働の見直しやテレワークを含む多
船で人間の村に近づき、襲おうとした病気のカムイ(神)をウサギのカムイが追い払った。白老町にそんなアイヌ民族の神謡が残されている。「アヨロのコタン(村)に行くな」といった歌詞のウポポ(座り歌)もある。江戸期の出来事と思われるが、白老のアヨロ海岸などにあったコタンで疫病がまん延し、その恐ろしさと警戒を
毎日、朝夕の新聞やテレビで、47都道府県の新型コロナウイルスの感染者数を見る。競争ではないのだが、気になるのは数字の増減や北海道の位置だ。 昨夜、北海道は6位。感染の第2の大波に襲われているとの分析で日々の増加数が大きく、今後が心配だ。一方で岩手県はきのうの夜まで感染者はゼロのまま。なぜな
ペットを飼っている方であれば、思いをはせたことがあるのではないだろうか。ウチの子はきっと言葉を理解しているに違いない、と。当方の15歳になる愛犬は「待て」「お座り」がしっかりできる。お利口さんだ。毎年この時期、試しに声を掛けたくなる。「お注射、行くかい」。うれしそうに尻尾を振る姿に、勝手に落胆する