• 海、山、野の幸
    海、山、野の幸

       20年ほど前までに、何度か取材で海外へ行った。欧州、北米とその諸島やアジアの島国―。そのときに日々おなかはすくわけで、食事をするために現地の人が行く食堂にたびたび足を踏み入れた。  1990年代にオランダの小都市に滞在した際は肉の主菜と一緒に主食としての芋料理をもりもりと食べる人が多く、まね

    • 2023年12月11日
  • 人手不足
    人手不足

       いろいろな分野で人手不足、働き手減少が問題になっている。それを理由にした「サービスの削減」が問答無用に行われる可能性もある。人ごとではない。  衣料品など購入時期を調整できるものと違い、食料品は高齢者にとっても待った無し。運動も兼ねて買い物に出掛ける人が多い。スーパーで知人と話さないと人と話

    • 2023年12月9日
  • 生まれ変わる
    生まれ変わる

       雪がちらつき、クリスマスムードも高まってきた。けれども今年、JR苫小牧駅前にイルミネーションがない。「とまイルスクエア」は2018年12月に始まり、翌年度から12月1日に点灯されてきた。苫小牧市はホームページで、今年度から「シンボルストリートにぎわい創出事業として新たに生まれ変わります」とし、来年

    • 2023年12月8日
  • 対策を
    対策を

       新型コロナウイルスのワクチンを接種しようか、しないか、迷っている。昨年までは不特定多数と接する仕事柄を踏まえ、条件反射的に受けてきた。副反応がきつかった時もあったが、昨年秋に4回目を打った際は何もなし。5回目も当然のように、接種を検討していた。  しかし、いざ接種券を受け取り、困惑した。過去

    • 2023年12月7日
  • 疑惑
    疑惑

       冬季五輪札幌大会が札幌市を主会場に開かれたのは1972年の2月3日から13日まで。テレビやラジオからは連日、「虹と雪のバラード」が流れていた。壮大な歌詞と美しい旋律、トワ・エ・モアの2人の爽やかな歌声を覚えている。  国際オリンピック委員会(IOC)が11月29日、理事会を開き2030年の冬

    • 2023年12月6日
  • 新基準バット
    新基準バット

       来春の甲子園、各都道府県の春季大会から高校野球の金属バットが新基準に完全移行となる。従来に比べてボールが飛ばなくなるという。日本高野連は新基準の金属バットの採用理由として「打球による負傷事故防止(特に投手)」「投手の負担軽減によるケガ防止」の二つを挙げている。  新基準のバットは従来よりも細

    • 2023年12月4日
  • 寒い
    寒い

       きのう朝のテレビ。アナウンサーが東京の季節を「読書の秋」と表現した。訂正は聞こえなかったから、日中の気温が10度を上回る関東は、まだ秋なのか。「徐々に」という変化には何とか対応できるものの、初めてや記録にないという形容詞の付いた変化には、まず精神的に負けてしまう。この冬の寒さがそうだ。  1

    • 2023年12月2日
  • タオ
    タオ

       札幌の円山動物園で今年8月に生まれたアジアゾウの「タオ」を見に行った。正直そんなに関心はなかったが、実物を見たら興奮した。考えてみればゾウの赤ん坊なんてめったに見られない。平日にもかかわらず開園直後でゾウ舎入館の待ち時間は60分。来園者は柵越しに「見えた」「見えない」と大騒ぎだった。雪虫が異常発生

    • 2023年12月1日
  • 贈り物
    贈り物

       先週末から札幌はぐんと気温が下がり、一気に冬景色となった。大通公園の風物詩「ミュンヘン・クリスマス市」を友人と歩いた。隣接する「ホワイトイルミネーション」と連動し、すごい人出だった。気が付けば11月もきょうで終わり。あすから師走に入る。またジョン・レノンの命日、12月8日が近づいた。  そん

    • 2023年11月30日
  • 飲酒
    飲酒

       酒を、礼儀を失うことなく、きちんと飲むことができる大人になりたいと思っていた。自宅でたまに開かれる大人たちの酒盛りが大好きで、なぜか親の近くに座り、炭坑節の合唱や歌謡曲に合わせてハーモニカで伴奏をしていたのを覚えている。思えば不思議な子どもだった。  20歳の頃、時間があると、訓練のつもりで

    • 2023年11月29日
  • 高齢者の思い
    高齢者の思い

       苫小牧市内で11月恒例の行事がある。長生大学が主催する高齢者主張発表会だ。5年ぶりに、人生の大先輩がかくしゃくと語る会を聞く機会に恵まれた。  毎年のことながら、主張の題材は多彩だ。「ウオーキング」や「草花図鑑」「環境問題」から「高齢者問題」まで幅広く、苦労してきた自らの歩みを振り返りながら

    • 2023年11月28日
  • 寛容
    寛容

       脳の働きをつかさどる神経細胞ニューロンの回路がぷちぷちと途切れてしまったように感じるときがある。「忘却力」の大切さを唱える人もいるが、なかなか思い起こすことができないとなれば胸にもやもや感が居座り、すっきりしない歯がゆい日々となる。  連れ合いとの会話の中でも「あれ、大丈夫?」「あの人だよ」

    • 2023年11月27日
  • 解放
    解放

       「ガザ人質解放24日以降―戦闘休止も遅れ 戻れる街はもうない」「北軍事措置を再開―境界線に強力な武力」「ウクライナ―日米欧 露と対立鮮明―侵略1年9か月」―。購読している全国紙1面の、きのうの見出し。左下の1段記事も「安保理緊急会合と首相が露非難」。世界の戦争や戦争準備の話題が紙面を埋めた。新聞は

    • 2023年11月25日
  • 衣料ごみ
    衣料ごみ

       服を買いに出掛けると、売り場にはいつも色柄、デザインの多様な品がサイズ違いで並んでいる。量が多いので、つい売れ残りの行方が気になってしまう。  国内の衣料廃棄物は年間約50万トンで、90%以上が焼却、埋め立て処理をされている。こんなに多いのは、30年ほど前から、質はいまいちながら流行を取り入

    • 2023年11月24日
  • 働いた人へ
    働いた人へ

       俳優の高倉健さんが83歳で没したのは2014年11月10日。1980年代の昭和期に一度ご本人を見た。東京に居た学生の頃、帰省から戻って千歳発の便を降りた羽田空港で帽子を目深にかぶり、大股の歩みで雑踏を通り過ぎる人がいた。誰かが「あっ、健さんだ」と叫んだ。歓声が起き、当人は衆目を集めて会釈後、場を去

    • 2023年11月23日
  • トンネル
    トンネル

       青函トンネルが1988年に開業して35年が過ぎた。きのうの北海道新聞の特集の報道。自分は、トンネル掘削の契機となった54年9月の15号=洞爺丸台風を幼時に体験した世代。納屋に避難したことや翌日、台風一過の青空の下で煙突の支柱が倒れていたことを覚えている。  理科年表によると、15号台風は9月

    • 2023年11月22日
  • コーイケルホンディエ
    コーイケルホンディエ

       大谷翔平選手のア・リーグMVP(最優秀選手)受賞が発表された際、脇に抱えていた犬が話題になった。オランダ原産の「コーイケルホンディエ」という犬らしい。最初に聞いた時、小池百合子東京都知事とフォンデアライエンEU欧州委員長を足したようだと思った。一回で覚えられないような片仮名は、似た言葉に置き換えて

    • 2023年11月21日
  • 半世紀
    半世紀

       きのうまで苫小牧市美術博物館が開いた特別展「出光美術館近代美術名品選」。9月23日の開幕から前期と後期に分けたロングラン開催で、日本に西欧の表現が入った明治以降の絵画や工芸品などを無料で公開した。記者も芸術分野は門外漢だが足を運び、芸術の秋に浸った。  個人的に味わい深かったのは、小杉放菴が

    • 2023年11月20日
  • 白熊
    白熊

       胆振東端の小さな町で育った。卒業した高校の校歌は「日高山並み」で始まっていた。晴れた日の放課後に校舎の裏山に登れば、ほぼ真東に日高山脈の主峰・幌尻岳(2052メートル)の頂上付近が見えた。歌詞に「ここは胆振だぞ」と、やぼな批評をする者はいなかったと思う。  道東生まれの詩人・更科源蔵さんは各

    • 2023年11月18日
  • すみ分け
    すみ分け

       先日、苫小牧市西部の海岸でアライグマの死骸にカラスなどが群がっている場面に遭遇した。それも2週続けて別の場所で同様の様子を見た。この時期、河口近くにサケが打ち上げられることはよくある。長途の旅から生まれた川に戻り、上流にたどり着いて次に生命をつなぐ産卵を終え、親魚は果てる。上流から流されてくる、ぼ

    • 2023年11月17日
  • 日本シリーズ
    日本シリーズ

       38年前、奇跡的に甲子園球場でのプロ野球日本シリーズの内野席チケットが手に入った。当時は価値がいまひとつ分からず「ラッキー」くらいの感覚だった。それでも応援グッズを買い込み、観戦を楽しみにしていた。  観戦の数日前、大学の先輩からアルバイトの交代を頼まれ、観戦がおしゃかになった。学生寮全体で

    • 2023年11月16日
  • 大人は
    大人は

       将棋を覚えられなかった。駒の動かし方を学んでいる段階で、自分はトンボやドジョウ、カジカを追っている方がきっと楽しいと思ったのだ。師匠が兄という気軽さも原因だったのかもしれない。  将棋の藤井聡太名人がこのほど、小樽市で開かれた第36期竜王戦七番勝負で、竜王3連覇と八冠初防衛を果たした。スポー

    • 2023年11月15日
  • 盲点
    盲点

       見てほしいものと、見られてしまうものは別だ。  店ならばまず見てほしいのは商品だろうが、望むと望まざるとにかかわらず客の目は接客態度からたまたま入ったトイレの清潔度まで細部に及ぶ。  菓子店のレジ前で何気なく見上げた天井付近にクモの巣のようなほこりの塊があるのに気付いたことがある。店員

    • 2023年11月14日
  • メロディー
    メロディー

       うららかな春の日が、スタンドに降り注いでいた。1998年の第70回記念大会のセンバツ高校野球。開会式で新旧の大会歌が歌われた。まだ誕生して5年目だった大会歌が「今ありて」。阿久悠さんが作詞し、谷村新司さんが作曲した。〈ああ甲子園 緑の山脈(やまなみ)〉、〈今ありて 時代も連なり始める〉―。美しいメ

    • 2023年11月13日
  • グラブ
    グラブ

       わが家には親も含めて野球という競技に深く挑戦した者はいない。それでもグラブは2個ある。親が子どもの時に使った物ではなく、結婚した頃に夫婦でキャッチボールをするために買った。グラブは子育ての間中、下駄箱の中で靴と押し合いをしていたがしばらく見ない。どこかにしまったのか、捨てられたのか。  米大

    • 2023年11月11日
  • 薬不足
    薬不足

       ジェネリック薬(後発薬)がないので、代わりの薬を処方します。医師からこう説明を受けた。その時にはとりわけ疑問も湧かずに理解した。国内で起きている薬不足の影響だとは分からなかった。  厚生労働省によると、せき止めやたんを取り除く薬などが非常に不足しているという。同省が各都道府県を通して医療機関

    • 2023年11月10日
  • 経済実験
    経済実験

       岸田文雄首相が打ち出した所得税・住民税の定額減税を含む総合経済政策がいまひとつ評判が良くない。数的優位の政府・与党なので今臨時国会で成立するのだろうが、その論議には注目したい。  政策の一つは可処分所得の増加や物価高対策として1人4万円の定額減税と生活困難世帯への7万円の追加給付。二つ目は企

    • 2023年11月9日
  • 平和
    平和

       北海道は昔、大人も子どもも巨人ファンが多かった。テレビの野球中継がほとんど巨人戦という時代が長かった。人気が分散し、定着したのは1970年代のことだったろうか。85年にはバース、掛布、岡田らが本塁打を連発するタイガースがセ・リーグ優勝し、日本シリーズも制覇した。もう38年前のことになる。  

    • 2023年11月8日
  • つなげる
    つなげる

       子どもは社会の宝なのに、大切にされるどころか、食べ物を与えられなかったり暴行を受けたりして虐待される子がいる。餓死や衰弱死する子もいる。  一人では生きられない小さな命を踏み付けにする行為に背筋が凍るが、児童相談所(児相)に寄せられる児童虐待の相談件数は毎年、過去最多となっている。2022年

    • 2023年11月7日
  • 冬支度
    冬支度

       苫小牧では4日に大規模な市総合防災訓練があった。天災は忘れた頃にやって来る―。心しておくべき警句は物理学者で随筆家の寺田寅彦が残した言葉と言われる。石井正己・東京学芸大名誉教授による本紙連載、1日付「文豪たちの関東大震災」で、その寺田が100年前にした思案が解説されていて興味深かった。  寺

    • 2023年11月6日